「戦略コンサルタントの仕事の5ステップ」を丁寧に解説してみる

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。ぼくは普段「戦略コンサルタント」という肩書きで仕事をしています。

「コンサルタント」という仕事は、一般的に何をしているのか非常にわかりづらいといわれています。「企業のお医者さんだよ」とたとえられることもありますが、そのたとえをもってしても、いったい何をしているのかよくわかりません。

コンサルタントは、弁護士や医者とは違って特定の資格はありません。「中小企業診断士」や「MBA」はコンサルタントが持っている割合が高いですが、これらの資格を持っておらずとも堂々とコンサルタントを名乗ることができますし、逆に持っているからといって有能なコンサルタントであるとも限りません。

特定の資格が不要であり、かつなんとなく凄そうに見えるからなのか、「○○コンサルタント」という人はたくさんいます。Webマーケティングコンサルタント、起業コンサルタント、ITコンサルタント、効率化コンサルタント、断捨離コンサルタント・・・挙げていけばキリがありません。

ぼくの仕事はその中でも「戦略コンサルタント」といわれる職業になります。上記にあげた○○コンサルタントの中でも、もっともイメージがしづらいもののひとつでしょう。その割りに、現在でも学生さんからは人気の職業のひとつであるようです。

人気の職業であることはうれしいのですが、いったい何をするのかいまひとつわからず就職活動をしてしまうのはあまり幸せなことではないですし、イメージだけで「コンサルタントなんか虚業である」といわれるのもうれしいものではありません。

ですので、今回はぼくの目線から「戦略コンサルタント」とは何をする仕事なのか、詳細に書いていきたいと思います。あくまでもぼくの経験上ですので、あしからず。

ステップ1:ヒアリング(お客様のご要望伺い)

戦略コンサルタントの仕事は、伝手や講演、著書や偉い人経由で入ってきたお客様と打ち合わせをするところから始まります。その要望は千差万別です。

  • 自社の製品を海外に拡販していきたいのだが、どこの国をターゲットにするべきだろうか
  • 最近国内の売り上げが落ちてきているのだが、それを何とかする方法はないだろうか
  • ある国に進出したいと思っているのだが、そのために現地の企業を買収したい。どこがよいだろうか。
  • 新たなビジネスをスタートするために子会社を新しく作りたい。そのサポートをしてくれないだろうか。

上記のようなお話をお客様から伺います。お客様は部長や役員、ときには社長のこともあります。部署でいうと、新規事業企画部やマーケティング本部、経営企画室といった、経営に近い部署の方々からお話をいただくことが多いです。

ここで次のステップの「提案書作成」につなげるため、なるべく詳細にお客様からお話を伺う必要があります。

  • 具体的にどのぐらいの売り上げをあげていきたいのか?それはなぜか?
  • なぜM&Aという手段をとろうとしているのか?他の手段は検討したのか?
  • マーケティング費用はどのぐらい使おうとしているのか?その費用回収は何年で実施するつもりか?
  • このプロジェクトを中心となって推進している人は誰か?
  • このプロジェクトは社内全体が一丸となって推進しているのか?それとも秘密裏に遂行すべきものか?
  • このプロジェクトの次のステップはどのように考えているのか?5年後までのマイルストン(重要な節目)はどのようなものか?
  • このプロジェクトに出せるお金はどのぐらいか?また、コンサルティングファームに求めるアウトプットはどのようなものか?

上記のような質問をお客様にお伺いし、可能な限り具体的にプロジェクトの形を作っていきます。お客様も、相談したときにそこまで明確なイメージを描けていないことがあるので、ヒアリング時点ですべてがしっくりくることはあまりないです。

だとしても、プロジェクトの背景や目的、アウトプットイメージ、スケジュール、費用感等について可能な限り明確化することは非常に大事になってきます。ここで得た情報を元に、次のステップである「提案書作成」に移るのですが、もしヒアリングでの情報が不足していると、お客様に「そうそう、これがしたかったんだよ!」と頷いていただけるような提案書は作れません。

ステップ2:プロポーザル(提案書作成&プレゼン)

ヒアリングで得た情報に、自社の強みや自分自身の経験を詰め込んでプロポーザル(提案書)を作っていきます。提案書の中身はプロジェクトによって千差万別ですが、章立てはかなり似通ってきます。

だいたい下記のような感じ。

  1. プロジェクトの背景と目的
  2. プロジェクトの推進プロセス
  3. アウトプットイメージ
  4. 実行スケジュール
  5. 実行体制
  6. 必要費用
  7. 弊社の過去の類似経験
  8. プロジェクトメンバーの経験

これらの各章に、どれだけの内容をわかりやすく詰め込めるか、が勝負の分かれ目になります。

大規模なプロジェクトの場合は、ひとつだけのコンサルティングファームに依頼することはほぼありません。複数のコンサルティングファームに声をかけ、提案書を出してもらうのが普通のプロセスです。

お客様は、わざわざ高いお金と時間を費やしてプロジェクトをやるのです。なるべく成功確率を高めてくれる良いコンサルティングファームに仕事を頼みたい、と考えるのが普通ですよね。そして、コンサルティングファームの良し悪しが明確になるのがこの「提案書作成&プレゼン」というステップになるのです。

判断基準はお客様によって変わりますが、主に下記のようなポイントで判断されているように思います。

  • ヒアリング時の要望をしっかりと噛み砕けているか
  • ヒアリングの情報に加え、良い意味のサプライズがある提案ができているか
  • プロジェクトがどのように進み、どう終わるか明確にイメージできるようになっているか
  • 過去にどれだけ似たようなプロジェクトの実行経験があるか
  • プロジェクトメンバーの経験やスキルは必要十分か
  • 費用が予算内に収まっているか

上記を読んでわかるように、ヒアリング時点でなるべく多くの情報を収集することは非常に大事です。それに加えて、想像力や過去にどれだけ似たような経験を積んできたのか、もプロジェクトを受注するためには重要ですね。

提案書を作るのは、ヒアリング時から1週間~2週間以内であることが多いです。他のプロジェクト作業で忙しいときにヒアリングや提案が入ってしまうと、残業をせざるを得ないときがあります。大規模な提案が重なると、控えめにいっても大変です。

落とすわけにはいかないので、自分のみならずチームメンバーの工数も使って提案書を作成しなければいけませんが、普段のプロジェクトも滞りなく進めなければならないのですから。

提案書の章立てを見て「そんなに難しくなくない?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は想像以上に難しいです。お客様は「簡単なこと」をわざわざ高いお金を払ってコンサルティングファームに依頼することはありません。今までに社内で考えてみたけど解が出ないようなことだからこそコンサルティングを依頼するわけです。

コンサルティングに要する費用というのは、決して安くはありません。その安くはないお金を、自社の成長のために出せるような企業は、多くの優秀な人材を抱えている会社である場合がほとんどです。そのような方々をもってしても、「これは自社だけでは難しい。コンサルティングファームに頼もう。」と考えるような案件に対して、「このようなプロセスでやっていけばいいですよ」と限られた情報をもとに提案するのがこの提案書作成というステップなのです。

提案書作成は、まだお金をいただいていない段階です。それでも、高品質な提案書を作成するためには、自分たちがもともと持っている知識だけではなく、追加でリサーチをしたり社内外の専門家に話を伺うというプロセスも必要になってくる場合が多いです。それを1週間や2週間という限られた時間で実施するのは、なかなか大変なのです。

一生懸命提案書を作り上げたら、次はお客様にプレゼンテーションをしに行く必要があります。(まれに提案書を送付するだけ、という場合もありますが)

だいたい1時間ほどの時間の中で、自分たちが精魂こめて作り上げた提案書を抜け漏れなく説明し、お客様からの質問に答えたら、このステップは完了となります。早ければプレゼンテーションの翌日、長いときは1ヶ月後、だいたいは1週間から2週間以内に、プロジェクトを受注できたかどうかがわかります。

無事プロジェクトを受注できたら、すぐに次のステップであるキックオフの準備をします。

ステップ3:キックオフ(お客様との初回ミーティング)

キックオフは、プロジェクト受注後のお客様とのはじめてのミーティングのことです。ここをうまくこなせるかどうかが、プロジェクトの成否を左右するといっても過言ではありません。

コンサルタントになって日が浅いころは、「なぜ先輩や上司は、キックオフ準備に血眼になるのだろう?」と不思議でした。キックオフは最初のミーティングであり、現段階でそこまで高品質なアウトプットを出す必要はないはずです。そもそも契約を結ぶ前のヒアリングでしかお客様の要望は聞けていないため、たくさんの労力を費やしても「いや、それはちょっと違うんだよね」とやり直しになってしまう可能性があります。

それにも関わらず、上司や先輩は「それはもはや中間報告で良いのでは」と思うレベルまで調査を実施し、仮の最終結論を出せるぐらいのところまで作業を進めていました。ぼくは、「なぜそこまでやるのだろう」と不思議でしょうがなかったのです。

しかし、自分がプロジェクトを率いる立場になってから、このキックオフが非常に重要な意味を持つことに気づきました。

コンサルティングプロジェクトは形のないものであり、お客様の要望も毎回微妙に変わってくるのです。それを早い段階で明確にして言葉や絵に落とし、「やること」と「やらないこと」を明確にしないと、いつまで経ってもプロジェクトが終わらず、お互い不幸になってしまいます。(ちなみに、コンサルティングプロジェクトにおいて「やること」と「やらないこと」を明確にすることを、「スコープを切る」と表現します)

そのためには、なるべく早い段階で仮の成果物を作り、お客様からの反応をいただく必要があるのです。

キックオフ時点の成果物がほぼイメージどおりだったとしたら、後は当初の想定どおり調査と分析を粛々と進めていけば、スケジュールやお客様の満足度を保ちつつプロジェクトを進めていくことができます。もしイメージどおりでなかったとしても、すでに成果物はあるのですから、お客様から非常に具体的な指摘をいただくくことができます。

もしキックオフ時点で提案書と同じレベルの内容(どうプロジェクトを進めていくか、アウトプットイメージはどのようなものか)しかない場合、そこで具体的な指摘をいただくことはほぼ不可能です。「まあ、だいたいいいんじゃないかな?」ぐらいのコメントしかいただけません。

そうすると、ぼくたちはそのままプロジェクトをすすめていいのか、方向性が間違っているのか、判断することができないのです。そのまま中間報告や最終報告に進んでしまい、「ぜんぜん違うじゃないか」となると、それまでの努力が水泡に帰すことになるのです。

キックオフ時点でなるべく最終成果物に近いものを作り、お客様にお見せすること。それができれば、その後のプロジェクトはスムーズに進捗しますし、できない場合は中間報告や最終報告で心臓が痛くなる思いをしなければなりませんし、最悪炎上します。

「キックオフは最終報告のつもりで準備しろ」というのはお世話になった上司の言ですが、今でも常に意識している言葉です。

ステップ4:プロジェクトデリバリー(調査・分析・成果物作成)

キックオフが無事に完了したら、プロジェクトデリバリーが開始します。ここで実施する内容はプロジェクトによって千差万別です。

ネットやデータベースを用いたデスクリサーチをすることもあるし、社内外の専門家にヒアリングをすることもあります。プロジェクトの途中でお客様とワークショップを開き、要望を再度深く抽出していくこともあります。

プロジェクトデリバリーの際に気をつけなければいけないのは、「プロジェクトの目的」を常に強く意識しておくことです。特にプロジェクトを率いる立場の人が、この目的を忘れるとどんどんおかしな方向にプロジェクトが進んでいってしまいます。

大量のデスクリサーチをすることも、いろんな人にヒアリングをすることも、綺麗な資料を作ることも、それ自体は目的ではなくただの手段です。プロポーザルやヒアリング、キックオフで明確にしたお客様の要望にちゃんと沿っているか、確認しながらプロジェクトを進めていく必要があります。

と、いうのは簡単なのですがこれがなかなか難しいのです。大量の作業をやっていると、「よいものを時間どおりに作りこんでいく」というところに目が向いてしまいます。最終報告や中間報告以外にも、お客様に定期的に進捗報告をする場合がほとんどですので、毎週小さな締め切りがあるようなものです。

そこで変なものを出すわけにはいかないので、つい「なんとか終わらせなければ」「体裁を整えなければ」と考えてしまうわけです。

それ自体は悪いことではないですし、プロとしては当然のことです。しかし、作業を終わらせることに気をとられすぎて、その作業自体が本当に必要なものなのか、もっとも良い方法で進めているのかわからなくなってしまうと本末転倒です。

経験豊富な上司に適宜確認を取りつつ、「やるべきことには全力投球する」「やらなくていいことはやらない」としっかり区分けして進めていくことが大事になっていきます。

ステップ5:プレゼンテーション(最終報告)

そんなこんなで調査を進め、分析をし、お客様と適宜確認をし、成果物を作り上げていきます。

その成果物を出して終わりとなることはなく、最後にお客様に「最終報告」という形でプレゼンテーションをする必要があります。

コンサルティングファームに高いお金を払った成果物のプレゼンテーションですから、最終報告には担当役員の方や社長が出席されることも珍しくありません。そこで「これは素晴らしい」と思っていただき、実際のアクションに移していただくことができなければ、そのプロジェクトをやった甲斐がないのです。

最終報告前に、今までやり取りをしていた担当者の方に内容の確認をしてもらい、事前にその担当者の上司の方に代わりに説明をしていただく、というプロセスを挟むことが多いです。人は誰でも「よくわからないこと」について不安を覚えるものです。担当役員や社長が、いきなり最終報告にだけ出席してプレゼンを聞いても、「よくわからないな」となってしまうリスクがあるため、担当者の方から事前に説明をしていただくことで、それを回避するのです。

それらの事前準備が完了したら、後は今までの努力をプレゼンテーションにぶつけるだけです。さらに、最終報告プレゼンの後に「次のプロポーザル」をプレゼンすることもよくあります。

今までプロジェクトを実施してきたことで、お客様の要望やその業界、サービスに対する知識が増えています。それをベースに「次はこれをやるといいですよね」というプロポーザルを出すことで、他のコンサルティングファームと競合せずにプロジェクトを受注できる可能性が高まるのです。

お客様としても、今まで一緒にやってきたコンサルティングファームであれば、社内事情を再度説明する手間も省けますし、仕事ぶりもよくわかっているのでラクですよね。

このように、最終報告で成果のご報告と次のプロジェクトの営業をして、いったんプロジェクトは完了となります。

大変だけどエキサイティングな戦略コンサルティング

戦略コンサルタントの仕事について、5ステップに分けて解説してみました。

やることも考えることも多くてなかなか大変ですが、毎回いろんな業界やお客様のことを知ることができ、新たな学びが非常に多いエキサイティングな仕事であることは確かです。

さらに具体的な話が知りたい方はぜひ連絡をくださいね。オンラインコミュニティ「Players」では、現役コンサルタントやコンサルタント志望者が集まっていろいろとディスカッションする「コンサルティングチーム」というものもありますので、そこで疑問をぶつけていただいても面白いかもしれません。

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