こんにちは、Shin(@Speedque01)です。「分裂勘違い君劇場」というモンスターブログの著者であるふろむだ氏の処女作「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」を引き続きまとめていきます。
ブログに負けず劣らず濃く、本質的な内容が書いてある本です。
「一般的なビジネス書にはもう飽きた」という方も、ぜひ手にとってみて欲しいです。
本日ご紹介するのは、脳の特性と、それが引き起こす認知バイアスの話です。
「なんか退屈そう・・・」と思ったそこのあなた。だまされたと思って読んでみてください。
ビジネスにおける心理の動き、なぜうまくいく人はうまく行き続けるのか。その秘密がわかります。
脳には3つの過剰性がある
まず、ふろむだ氏は「脳には3つの過剰性がある」と語っています。
それがこちら。
- 【一貫性】…過剰に一貫性を求める。
- 【原因】…過剰に原因を求める。
- 【結論】…過剰に結論を急ぐ。
自分のことを振り返ってみても、これは納得できますよね。
世の中には一貫していることなんてほとんどないのですが、みな一貫性を求めます。
- この人は過去に犯罪を起こした → この人は、いつも悪いことしかしない。信頼できない。
- 仕事において結果を出し続けている人がいる → この人は、家庭でもいいパパなんだろう。
冷静に考えると、そんなことはありません。
犯罪を過去に犯したからといって、その人がすることがすべて「悪いこと」であるはずはありませんし、
仕事で結果を出せる人でも、家庭では虐待をしているかもしれません。
「原因を過剰に求める」というのもそうですよね。
物事を整理して、その原因を特定することを「意味がない」と断じるつもりはありません。
ぼくもコンサルティングという仕事をしていますが、その仕事を簡単に紹介すると、原因を特定し、打ち手を作成し、実行を支援するというものです。もし「物事に原因などない、すべては偶然である」とすると、ご飯が食べられなくなってしまいます。
しかしながら、「すべてに明確な原因がある」というのは、かなり無理があります。
この人はXXXをやったから成功した、という明確な要因があれば、みんなXXXを追い求めるでしょう。しかし、今のところそのようなものは存在しません。
結論を急ぐのもそうです。
みな、「で、つまりなんなの?」を知りたがります。
「オチ」を知りたがり、オチがない話は「つまらない」「意味がない」といわれてしまうのです。
だから、「わかりやすい話をするには結論ファーストで」というプレゼン手法がまかりとおるんですよね。
これを意識的に利用して、結論を言い切ることで人の心理を誘導する手法もあります。
まず、脳にはこれら3つの特性があることを理解しましょう。
脳の過剰性が引き起こす10の認知バイアス
では、そのような脳の特性により、どのようなことが起こるのでしょうか。
この本のテーマそのもので、具体例とともに語られていたことが、ここで一気にまとめられています。
- 【ハロー効果】…1つのプラスの属性値に引っ張られて、他の属性値も底上げされてしまう現象。マイナスのハロー効果もある点に注意。
- 【少数の法則】…統計的には、ぜんぜん有意といえないようなごく少数のサンプル数のデータから、そのデータが示す法則性が真実だと思いこんでしまうこと。
- 【運を実力だと錯覚する】…PV向上とCVR向上への時間の投資配分を誤らせるなど、極めて有害性の高い認知バイアスなので、とくに注意が必要。
- 【後知恵バイアス】…物事が起きてから、自分はそれが起きることを予測していたと考える傾向。
- 【利用可能性ヒューリスティック】…「利用可能性ヒューリスティック(availabilityheuristic)」とは、脳がすぐに利用できる情報だけを使って答えを出すことだ。もっとわかりやすく言うと、「思い浮かびやすい」情報だけを使って、答えを出す認知バイアスのことだ。「すぐに思い浮かばない」情報は、無視して判断を行なってしまう。判断に必要な情報が欠落していることに気がつかないという点が、非常に危険。
- 【デフォルト値バイアス】…取りうる選択肢の中で、過剰にデフォルト値を選んでしまう傾向。デフォルト値を選ぶのが損な場合にまで、デフォルト値を選んでしまうので、これも、非常に有害。
- 【認知的不協和の理論】…自分の中で矛盾や葛藤(認知的不協和)があるとき、無意識のうちに、その矛盾を解消しようとする。現実を変えることで認知的不協和を変えられる場合は、健全な結果になる。しかし、それが困難な場合、無意識は、認識や記憶の書きかえによって矛盾を解消する。この場合、不健康な状態に陥ることがあるので、注意が必要。
- 【感情ヒューリスティック】…好きなものはメリットだらけでリスクがほとんどなく、嫌いなものにはメリットはほとんどなくリスクだらけだと思いこむ認知バイアス。
- 【置き換え】…答えるのが難しい質問を突き付けられると、無意識のうちにそれを簡単な質問に置き換え、簡単な質問の答えを、元の難しい質問の答えだと思いこむ認知バイアス。
- 【一貫して偏ったストーリーを真実だと思いこむ】…すべての情報を与えられるより、一貫して偏った情報だけを与えられたほうが、魅力的で説得力があり正しいと感じる認知バイアス。
こまかな説明は本書を読んでいただきたいのですが、ある程度年齢を重ねた人であれば少なくとも3つ程度は思い当たる節があるでしょう。
- 世の中は実力である
- 世の中は金である
- 世の中は人脈である
- 世の中は権威である
実は、そのどれでもなく、この「認知バイアス」について理解し、うまくつかいこなした人が上に行くような仕組みになっているのではないか。
この本を読んで、ぼくはそうおもいました。
また、この本は実際の仕事にも生かせます。
「一貫して偏ったストーリーを語る」というのは、ある意味コンサルティングファームで要求される「メッセージを出す」「スタンスを取る」と非常に近い概念です。
なんとなくデータを並べても、お客様を納得させることも、実際の行動に落としていただくこともできません。
この認知バイアスを活用することで、「これはただしい」「やらなければ」とお客様に思わせて、さらに次のアクションを起こしていただくことができるのです。
「デフォルト値バイアス」も、何かしらのアンケートやインタビューをするときに、「いろいろな人に聞いた」という客観性を持たせながらも、実はデフォルト値を変化させることで自分の意思を入れることも可能になります。
悪用しようと思えばいくらでもできそうで、とても恐ろしいですね。
10個の認知バイアスを「ステルス兵器」にしよう
ふろむだ氏は、こうも述べています。
思考の錯覚を武器として使いこなせば、それはステルス兵器のような、強力な武器になる。
認知バイアスの不可視性は、諸刃の剣なのだ。思考の錯覚を敵に回すか、味方につけられるかで、人生は劇的に違ってくる。
10個の思考バイアスを悪用して、「ほぼ詐欺じゃないか!」というやり方でうまくやっている人は、あなたの周りにもいると思います。
しかし、本書で思考バイアスについてしっかりと学び、自分で使いこなせるようになれば、そのように騙されることもなくなります。
また、自分でも活用することで、仕事や人生をよりよい方向に導くこともできるでしょう。
ただ、くれぐれも悪用してはいけないと思います・・・本当に強力な武器なので。
認知バイアスについてしっかりと学びたいと思った方は、ぜひ読んでみて下さい。