マッキンゼーが予測する未来 – 近未来を支配する4つの力

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。世界最強のコンサルティングファームであるマッキンゼーのリサーチ部門であるマッキンゼー・グローバル・インスティテュートが書いた、世界のトレンドを研究した本を読んでみました。

こちらです。

膨大なリサーチによりファクトを積み上げ、そこから論理を展開していく手法はさすがの一言でした。具体的なケーススタディと数字とともに、世界の現状と今後の方向性が理解できるような構成になっています。

この記事では、タイトルにもなっている「4つの力」について紹介していきます。

異次元の都市化のパワー

過去何世紀もの間、世界中の人々が、もっと高い所得、向上の機会、より良い生活を求めて、都市へと移動してきた。しかし、今日の都市化のスピードと規模は、過去に類を見ないものである。私たちは、地方から都市へという歴史上最大の、巨大な人口移動の只中にいる。

過去 30 年の間、世界中の都市人口は、平均すると毎年6500万人増加してきた。この年間都市人口増加数はイギリスの総人口に匹敵し、また都市人口の成長のほとんどは、中国とインドの急速な都市化によるものであった。

ヨーロッパとアメリカの都市化が 18 世紀と 19 世紀に起こり、ラテンアメリカの都市化が 20 世紀後半であったのに対し、それぞれ 10 億人以上の人口を擁する中国とインドは、現在がまさに都市への人口移動の真っ最中なのである。

中国の李克強首相はこう語っている。「都市化は、単なる都市住民の増加や都市地域の拡大ではない。もっと重要なことは、産業構造、雇用、住環境それに社会保障といったものすべてを、地方型から都市型へと変えなければならないということなのです。」

グローバルビジネスを考える上では、今までメインとなるのは先進国の主要都市でした。ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京等々ですね。それが、どんどん軸足がアジア太平洋地域に移り、アフリカや南米の進出戦略についても考える企業が多くなってきた印象があります。

MGIの調査によると、このトレンドはさらに加速し、現在私たちがほとんど知らないようなメガ都市が生まれていき、そこをどう攻めるかが重要になっていくとのことです。

「スーラット」「フォーシャン」「ポスト・アレグレ」・・・どこにあるのか想像もつかないような都市ですが、近いうちに人口は400万人を超え、経済を牽引していくと見られているのです。

これらの新しい都市でのビジネスを考えるときに重要なポイントが、スマートシティやイノベーション促進の文脈でいくつか語られていますが、その中でも特に大事なのが「都市に住む才能を発掘し、イノベーション集団を組織する」という節です。

ロンドンにはテックシティ、シカゴには1871ビル、ワシントン特別地区には1776ビル、バルセロナには22@ビルなど、地域行政主導で技術志向のベンチャー企業を誘致する動きがありますが、今後生まれてくるメガ都市でも同じような動きは必要になってくるでしょう。都市に優良な人材をひきつけて、そこで新たなビジネスを生んでいくための環境整備が欠かせないのです。

さらに加速する技術進化のスピード

デジタル化は私たちの身の回りの世界を変えていくが、その変化は三つにまとめられる。

まず、デジタル化は物理的な物体をバーチャルな品物に変換する。電子書籍、ウェブサイト上のニュース報道、MP3音楽ファイル、といったデジタルメディアは、LPレコード、カセットテープ、CDやDVD、それに印刷媒体を駆逐してしまうという大変化をもたらした。3‐Dプリンタも将来、物理的製品の販売方法や物流の手法の定義を変えるかもしれない。たとえば、靴、宝飾類、各種の道具などは、電子ファイルの形で販売され、購入者は送られたデータを3‐Dプリント・サービスや、自宅のプリンタを使って、モノとしてプリントアウトするようになるかもしれない。

第2に、デジタル化により、私たちが日常行う取引の多くに伴う情報のコンテンツ量を増やし、効率的にその処理ができるようになる。例としては、物品の物理的な輸送や管理において、微弱な電波を用いて情報を読み書きできるRFタグを物品に付け、デジタル・トラッキングを行ったり、2次元バーコードを消費者に送付し、配送情報を伝えたりすることがある。

第3に、モノづくりや取引増大を促進するさまざまなオンライン・プラットフォームが創出された結果、小魚にも巨大なサメと直接、しかも対等に競争できる場が提供されていることだ。インターネット上のオークション・サイトや、イーベイやアリババのようなインターネット市場は、グローバルeコマースの要となり、そこでは、いかに小企業であっても即座にグローバル企業になることが可能だ。イーベイを活用する小売販売業者の平均海外輸出比率は 90%を超えており、リアルな店舗での販売のみに依存する伝統的な中小小売業の平均である 25%以下を、大きく上回っている。

デジタル化が進んでいることは私たち自身肌感覚としてよくわかっていることですし、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション」はどの企業も標榜しています。そのデジタル化の意味を、この本ではうまく3つにまとめてくれています。

物体をデジタルに変換する、というのも若い世代にとっては当たり前ですが、少し上の世代にとってはなかなか衝撃的なようです。未だにプリントアウトして納品しなくてはいけない・・・というような嘆きが聞こえますが、それはこのデジタル化に本質的にはついていけていないからなのかもしれません。モノがあると安心、という感覚でしょうか。

2つ目のデジタルトランザクションもどんどん発達してきていますね。RFIDタグやバーコードをいろいろなものにつけて、商品や材料をトラッキングするのは珍しくありません。これの精度をさらに高めたり、改竄を防いだり、自動で取引が進むように考えられているのがブロックチェーンといえるでしょう。ブロックチェーンがそのまますべての電子取引に適用されるとは思いませんが、徐々に研究が進んでいるのもまた事実です。

オンラインプラットフォームの創出も見逃せないトレンドです。ぼくもオンラインでビジネスコミュニティ「Players」を運営していますが、これはオンライン上でさまざまなツール(Facebook、Google Drive、Gmail、Paypal、Zoom等)が活用できるからこそなりたっています。少し前だったら、有名人でもない人がコミュニティを主宰することなど夢物語だったでしょう。技術の発展により、どのような人でもビジネスを容易に展開できる環境が整ってきているのです。

年齢を重ねる意味が変わる

平均余命が長くなるという予測と、投資収益率の低下という予測の組み合わせが持つ意味は、高齢者が引退生活に移行する余裕がなくなっていくということだ。

さらに、働く人が減り、年金や社会保険の受給者が増えるという不利な人口構成により、国家予算の赤字が増大する可能性は高く、各国政府にも退職年齢を上げるようプレッシャーが強くなる。

したがって、世界中で労働力人口に占める高齢労働者( 55 歳超) の比率は、2010年には 14%であったものが、2030年までには 22%に上昇すると予測される。労働力の高齢化は、先進経済諸国と中国で最も切迫して感じられ、高齢労働者比率は前者では2030年までに 27%、後者では 31%に達するものと考えられる。

超高齢化社会の到来は、日本だけのトレンドではありません。アフリカを除くほとんどすべての国で、高齢化がどんどん進んいきます。

その結果、年金や社会保険の受給者が増え、国家予算の赤字が増大し、退職年齢が上がるだろう・・・というのが、MGIが予測するトレンドです。

このような時代にどう備えるか、私たち働く側も真剣に考えなければなりません。今までのように60歳まで一生懸命働いて、後は退職金でローンを返して悠々自適・・・となることはほとんどないのです。大部分の人は、70歳や80歳まで働く必要が出てくるでしょう。

若いうちならまだしも、老齢になってまで肉体的・精神的なストレスを感じながら働き続けることはほぼ不可能です。高齢でも働く必要がある社会で自分がどのように立ち回るか、今のうちに思いを馳せるのも悪いことではないでしょう。

貿易、人間、金融とデータの価値

もう何年もの間、たいていの経営者はグローバルを念頭に考えてきていることだろう。だが、主に先進経済諸国を出自とするすでに地歩を確立した多国籍企業は、新興国では著しく影が薄いままである。その一方で、新興国の新規企業は積極的に拡大を続けている。グローバルな相互結合を加速するには、企業の側でこれまでの直観力をリセットしなければならない。

企業は、グローバルな規模拡大を早期から計画し、新市場に合わせてビジネスモデルを調整・変更し、新しい競合を知り、グローバルに活躍できる人材を育成し、相互結合の強まった世界経済につきものであるショックな出来事や、不安定な変化の数々に備えなければならない。

グローバルなサプライチェーンの効果的なコスト削減に重きを置いてきた企業は、今や「バリュー」チェーンが今後どう発展し、変わっていくのかを考えなければならない。具体的には、どのような企業が参入してくるのか、どの地域がどういう役割を果たすのか、そして、バリューチェーンに沿って価値がどこに、どのように移動していくのかを構想しなければならないのだ。

IT技術はもちろんのこと、実際の物流や移動技術も発達していることで、世界は相互につながるようになってきています。その相互結合のスピードを活かして世界中に網目を広げようとグローバル企業は一生懸命ですが、残念ながら今後の経済のメインプレイヤーになっていく新興国では、一部を除いて影が薄いままだとMGIは説きます。

グローバル企業の新興国の捉え方は、「安い労働力や資源の獲得先」であり、サプライチェーン全体のコストを下げるためにドウ活用するか、というものでした。しかし、今後先進国の人口が高齢化および減少していく際に、新興国をマーケットとして真剣に捉える必要があります。まだその準備は十分にできていないようです。

日本という視点で考えると、かなりまずい状況であるといえるでしょう。もちろんいくつかの企業はアジアやヨーロッパ、北米に進出していますが、十分に知見をためていると言い切れる企業はほとんどないでしょう。今も海外進出に四苦八苦している企業は少なくありません。

そのような状態で、次世代の新興国にマーケットを作れるかといわれると、かなり厳しいのではないでしょうか。グローバルで地位を築きたいのであれば、一刻も早く海外でビジネスを立ち上げ、伸ばせる人材を社内に多数抱えることが重要になるかと思います。

世界のトレンドを大きく把握したい人にオススメ

「マッキンゼーが予測する未来」ですが、さくさく読み進めるというよりも、ある種の研究レポートに近いもので人によっては退屈に感じるかもしれません。しかし、世界が現状どうなっているのか、今後どう進むのか、しっかり理解しておきたい人にはオススメです。

仕事で大きなレベルの経営戦略や海外進出企画をする人には特にオススメですね。良ければ読んでみてください。