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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。仕事をしていると「問題を解決しなくてはならない場面」に多く遭遇します。
多くの人は「問題を解くこと」に集中してしまうのですが、その前段階として実施すべきことは「解くべき問題 = イシュー」を特定することなのです。問題解決に取り組む前に「そもそも問題はどこにあるのか?なにが考えるべき課題なんだろうか?」と考えておくのです。
このイシューの特定がスムーズに出来ない場合、「解決すべき問題かどうかわからないけどとりあえずやってみる」となってしまい、本当に解決が必要な問題にたどり着くことができません。
では、そのイシューを解決するにはどうすればいいのか。オンラインコミュニティ「Players」のメンバーでもあり、IT企業に勤務してらっしゃる谷脇秀海さん(わっきーさん)にご相談いただき、それを記事にしてみました。
また、イシューについての名著「イシューからはじめよ」についての記事も書いていますので、そちらもあわせてどうぞ。
仕事で「イシュー」を意識することが必要である理由
Shin:わっきーさん、本日はよろしくお願いします!
わっきー:よろしくお願いします。
わっきー:ではまず、私の簡単な自己紹介からさせて頂きます。私はですね、いわゆるブラック業界といわれているIT企業に勤務しております。ブラック企業で残業多いっていうイメージがあると思うんですが。わたし自身は非常に残業少なく過ごしています。
Shin:おお、素晴らしいですね。
わっきー:その際に大切にしていることがありまして、それがこの「イシューを特定する」ってところなんですよね。で、そんな中でPlayersでのShinさんの発言を見ていたら、「この人はすごい!自分の一歩、二歩先を行っている!」と思ったのです。なので、今日はShinさんご自身がどのようにイシューを特定して、思考を整理されているのかっていうのをお伺いしたく、時間をとっていただいました。
Shin:恐縮です。ありがとうございます!
わっきー:まず最初の質問なんですが、Shinさんは、イシュー、つまり本当に解決すべき問題や本質に関して、仕事ではどのように取り組んでおられるんでしょうか。
Shin:はい。まず前提として、僕の周りでは常に複数のプロジェクトが進行していて、どうしても時間が足りない状況になってしまいがちなのです。ひとりですべてやることはほぼ不可能です。
Shin:とすると、ほぼ確実に他のメンバーの力を借りなければなりません。そのときには、常に下記のことを伝えるように気をつけています。
- プロジェクトの目的 / ゴール
- 各メンバーに期待している役割
- アウトプットのフォーマット
Shin:ここで「解決すべき問題 = イシュー」を間違えて指示を出してしまうと、それがシンプルに「お金の無駄遣い」になってしまうのです。3人が三日かけてする仕事に対して指示を間違えてしまったら、9人日分のコンサルタントのコストが無駄になってしまいます。
わっきー:ですねぇ。
Shin:なのでまずここでイシューをしっかりと捉えることができないと、難易度が高い仕事を遂行することはほぼ不可能になります。そうしてしまうと、もちろんぼくの評価も上がらないですし、部下の子達のモチベーションも下がってしまい、全員不幸になってしまいます。
わっきー:うんうん。
Shin:ですので、ぼくは「イシューを特定する」ということは非常に大切だと考えています。
- 今回解決すべき問題はなんなのか
- 何故それを解決すべきだと考えるのか
- それを解決することでお客様はどのように幸せになるのか
- 社会にはどのようなインパクトを与えられるのか
上記のようなことは、常に考えようと意識しています。
イシューの特定と業務経験
わっきーさん:ありがとうございます。もう一つ質問させていただきます。Shinさんの部下の人たちは、どのぐらい自分で考えて仕事をされているのでしょうか。イシューの特定に関しては、全部Shinさん任せなんでしょうか。
Shin:人にはよりますが、確かに経験が浅いとそうなってしまいがちですね。本来は全員が出来るとラクではあるのですが、なかなかそううまくはいかないというのが実際のところです。
わっきー:やっぱり下の人たちが考えてくれるようになると楽な部分はありますよね。
Shin:そうですね。ただ、完全に任せて放置するというわけにはいかないので、自分が出張で不在にしなければいけないとき等は、経験があるメンバーに経験の浅いメンバーのメンタリングを頼んだりすることはよくありますね。
わっきー:なるほど。イシューの特定に関しては、やはり経験がモノをいう可能性が高いのですね。
Shin:おっしゃるとおりですね。
わっきー:Shinさんは、最初にある程度方向を上司が示してあげないと、仕事がうまく進まないと思われますか。
Shin:人によりますね。結構細かい指示を出して欲しい人もいれば、自分で考えたい人もいますので。一般化はできないですけれども、ある程度の規模のプロジェクトをマネージしないといけない場合は、責任者がしっかりとその意義や方向性を示して、常に周りの人に伝えていかないといけないと思っていますね。
わっきー:わかりました。ありがとうございます。
イシューを特定するために必要なスキルとマインド
わっきー:次にこのイシューを特定するために必要なスキルとかマインドについてお伺いしたいと思います。このようなはなしになると、どうしてもロジカル・シンキングとか論理的思考に関する話になっていく場合が多いと思います。Shinさんがイシューの特定をする際のプロセスについてお教えいただいてもよろしいでしょうか。
Shin:なるほど。ぼくが考える、問題特定に役立つ方法は3つあると思っています。
- 問いを重ねていくこと
- お客様の立場や気持ちを想像して、問いを深めていくこと。
- 実際にお客様に聞いて、答え合わせをしてみること
なのかなと。
1:問いを重ねていく
Shin:シンプルなことなんですけど、常に疑問を持ち、深めていくことは重要です。縦のロジックとして「背景を見る」ことと、横のロジックとして「他にはないか?」という問いを重ねていくことが大事ですね。
2:お客様の気持ちを想像し、問いを深めていく
Shin:2つ目に、ぼくはお客様の立場で「なんでこれを解決したいと思うんだろう」「あえてここにお金を払って私達に依頼してきた背景って何なんだろう」と考えていきます。人の立場で想像すると、本当に解決すべき問題の輪郭が浮かび上がってくるのです。
3:答え合わせをしてみる
Shin:さらに、実際に依頼者と話してみるとなおよいですね。「今こうおっしゃってましたけど、その背景はこういうことですよね」とか、「なんでこうなったかというと、二つ理由があると思うんですけ、これを深く追っていくと、こういうコンセプトにいきつきますよね」とか。そうしていくと、自分のひとりよがりな考え方も修正されていきます。
クリティカルにモノゴトを捉えてみる
わっきーさん:なるほど。論理的な思考のみならず、人の気持ちを汲み取るエモーショナルなところも大事なのですね。
Shin:はい。ぼくは「論理的思考がすべて」「いやいや人の気持ちを考えるほうがだいじ」とかいう話は少しずれていると思います。明確な論理で積み上げていくことと、人の気持ちを想像することは対立するものではなく、両立するものなんですよね。
わっきー:なるほど。ありがとうございます。Shinさんはクリティカルシンキングについてよくおっしゃっていますが、こちらについて伺わせていただけますか。
Shin:クリティカルシンキングは、「ほんとにそうなの?」「100%そうは言えないよね」とモノゴトについて茶々をいれていく感じで捉えています。「何でも疑え」に近いですが、僕はあんまりその表現好きじゃないのです。「何でも疑え」って言われて疑えるほど、人って賢くないと思ってるんです。
わっきー:あはは。はい。
Shin:だから、「これってほんとだっけ」とか、「100%はないよね」っていう言葉をシンプルに繰り返すようにすればいいんじゃないかなと思ってます。「これについて疑問を持て」ってオープンに色々考えるように言われてもすごい難しいじゃないですか。
わっきー:確かに。そうですね。
Shin:でも、「100%はない」って考えるだけだったら、シンプルで簡単ですよね。で、そうしていると自然に質問が出てくるので、それでいいんじゃないかなと思ってて。
わっきー:なるほど。「100%ではないよね」だけで。
Shin:シンプルに考えるってとても大事だなあと思っていて。難しいことをらくらく出来る人はあまりいないとぼくは思っているので、なるべく効果的かつシンプルな方法を常に探していますね。
わっきー:ありがとうございます。非常に勉強になりました。
Shin:こちらこそ、ありがとうございました。
オンラインコミュニティ「Players」の紹介
イシューの特定について、いろいろな観点から話させていただきました。少しでも「なるほど!活かしてみよう!」と思っていただけるところがあれば幸いです。
私は運営しているオンラインコミュニティ「Players」で、希望される方にテーマを頂き、今回のわっきーさんのように相談に乗らせていただいています。他にも、現役のコンサルタントやビジネス書著者の方、経営者等が活発に議論をしている非常に面白いコミュニティです。仕事や思考術について興味がある人は、詳細を見てみてくださいね。