こんにちは、Shin(@Speedque01)です。ぼくはコンサルタントとしていくつかの企業の戦略策定のお手伝いをする一方、このブログやオンラインコミュニティ運営など自らビジネスを実践しています。
大企業であるクライアントのサポートと、自ら実践しているマイクロビジネスでは勘所もやり方も違う一方、「モノ・サービスを提供し、対価としてお金をいただく」という構造自体は変わりません。
今は本当に多くのモノやサービス、ビジネスモデルがありますが、どのようなモデルも究極的には「何かを与える代わりに、対価をいただく」という形に集約されます。
同じコンテンツでも成果が違う不思議
仕事をしていく中で、同じような製品やサービスを売っているのに売上が全然上がらない企業と、ガンガン成果を出す企業があることについて、ぼくは不思議に思ってきました。
また、この構造は自分でやっているビジネスにも当てはまります。同じようなモノやサービスを売っている人でも、閑古鳥が鳴いている場合もあれば、ガンガンに売れていっている場合もあります。
一般には「良いコンテンツを与えれば結果が出る」とされています。ほぼ同じクオリティのコンテンツを売っていれば、その成果も最終的には同じぐらいになるはずです。しかしながら、現実はそうなっていない。それはなぜでしょうか?
- そもそも使えるリソース(時間や知名度)の差
- マーケティングの巧拙
- ぱっと見は同じように見えてもかゆいところに手が届いていない
などなどいろいろそれっぽい理由はありますが、どうもしっくりきません。自分で試行錯誤したり、本を読んで理由を探ってみたところ、「これだ!」という理論にたどり着きました。
それがクレイトン・クリステンセン教授のJobs To Be Done(JTBD)理論です。
Jobs To Be Done(JTBD)とは?
Jobs To Be Done(JTBD)とは、ハーバードビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセン教授が著書「イノベーションの解」のなかで提唱した理論です。
JTBDとは、モノやサービス、クライアントのペルソナ等に注目するのではなく、「クライアントが片付けたい用事 = Job」に注目し、それを解決する方法を提示すべきだという理論です。
クリステンセンは顧客のデモグラフィーや性格を理解することよりも、顧客が成し遂げようとしている仕事や事柄を理解することこそが人に選ばれる商品を作るのに必要であると説く。
一般的にデザイン思考やユーザー中心的デザインの手法ではターゲットユーザーのペルソナをまず設定したり、ユーザーを集めて直接フィードバックをもらったりすることが多いが、それでは労力がかかりすぎる。それよりも実際に製品が使われている、又はサービスが提供されている現場に出向いて、それを買っている人たちが本当に達成しようとしていることは何かを探ることが重要だという。
実際に自分自身のことを考えてみればわかると思います。ぼくたちは「モノ」や「サービス」そのものを欲しがるわけではないですよね。それを使って何らかの目的を果たそうとしているわけです。
- 飢えを満たしたいという目的があるから、レストランに行く
- きれいに見られたいと思うから、化粧品を買う
- 早く目的地に着きたいと思うから、飛行機のチケットを買う
などなど。
もっともわかりやすい例として引用されるのが「ミルクシェイク」のケーススタディです。
あるファストフード企業がミルクシェイクの売上を改善したいと思った。
ミルクシェイクの購入者属性を整理し、同一の属性を持つ人を対象に、重めがいいか軽めがいいか、フルーツ味かチョコレート味か、など、どんなミルクシェイクが理想的か尋ねた。調査はうまく進み、特定したターゲットの好みをもとに製品を改善したが、売上は全く改善しなかった。
そこで別のチームが再び調査を行った。調査チームは店舗で来客を一日中観察した。すると早朝にミルクシェイクを買う客が多いことに気がついた。早朝の購入者になぜミルクシェイクを買ったかを尋ねると、
- 長い車通勤の間に片手で手間なく飲める
- 一気に飲めないので暇つぶしになる
- 腹持ちが良い
といった理由だとわかった。
この調査結果をもとに製品開発を再度行ったところ売上を改善することができた。
ミルクシェイクを購入する人たちが片付けたい用事は、「車の中で手間なくおなかをみたしたい」「暇つぶしをしたい」「なるべく腹持ちをよくしたい」というものですね。このような目的を効率よく満たせることができれば、さらに多くの売上が見込めるようになるというわけです。
逆に、これらの用事に関係ない改善を繰り返しても意味はありません。いくら味を改善しても、売上にはほとんど影響がないのです。
あなたはどんな「用事」を持つユーザを助けたい?
最近はブログ単体でマネタイズするのではなく、ブログをテコにして自分で作ったモノやサービスを売り、それで収益を上げようとしている人が多くなっているように見受けられます。
そのこと自体は間違っていません。ブログ単体で上げられる収益などたかが知れていますし、Googleの機嫌次第で収益は乱高下するでしょう。そこにリソースを突っ込みまくるのはあまりいい手とはいえません。
しかし、ただ自分のサービスを売ればそれでいいかというと、そんなに甘いものでもないこともまた事実。なんとなく「自分がやりたいサービス」を広報するものの、そのままになっている人が多いのです。
- 30分相談に乗ります
- 昔の経験をまとめた本を売ります
- 英語レッスンをします
これらのサービス説明を見て「ぜひ買いたい!」と思う人はいないでしょう。これはただ「サービスの内容」を解説しているだけで、「どんな『用事』を片付けることができるのか?」というところにまったく踏み込めていないからです。
ぼくが今注力しているPlayersというサービスでは、「仕事に関する悩みを解決する」という売り言葉を掲げています。
独立している人でも、サラリーマンでも、仕事に関して何らかの悩みを有しているはず。その悩みについて、オンラインコミュニティ内にある各種ツールや専門家、ぼくの知見を生かして解決していくのです。「仕事の悩みを何とかしたい」という用事を持っている人に向けて、解決策を打ち込みまくるというモデルですね。
あなたはどうでしょう。どのような「用事」を解決していきたいですか?
もしモノやサービスの売上が伸び悩んでいるのであれば、JTBD理論をもとにやり方を考え直してみてもいいかもしれません。