部下から「撤退」することは許されるのだろうか。

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。独立して仕事をするフリーランスでない限り、ある程度キャリアを重ねると「部下」ができるタイミングがきます。

そして、上司となった瞬間に、「部下育成」という新たな仕事が降りかかってくることになるわけです。

★参考記事

上司は部下をキチンと見て、育成する必要があります。

「部下育成?そんなのおれのしごとじゃねーよ」みたいな空気を漂わせている人も散見されますが、上司となったからにはそのようなワガママは許されません。どうしても部下育成をしたくないのであれば、管理職という立場を返上する必要があります。

そして、残念ながら部下育成が完全にスムーズに進む例などほとんどありません。

  • 部下に何回注意しても同じミスをしてしまう
  • やる気も主体性も見られず、キャリア相応の仕事を任せることができない
  • 将来のキャリアプランを聞いても何も出てこない
  • とにかく反抗的な態度を取られてしまい、コントロールができない

などなど、いろいろな人から悩みを聞きます。

これは部下だけの問題ではなく、上司側の問題も大いにあります。心から部下の成長や幸せを願い、通常業務にプラスして頭や時間を使わなければ、よいチームを作ることはできません。また、成長スピードには個人差があるので、ある程度長いスパンで見てあげる必要もあります。

しかし、自分ができる限りのことをし、かけられるだけの時間をかけても、まったく成長の兆しが見えない部下に対して、「育成を放棄して撤退すること」は許されるのでしょうか。それとも、それは決してしてはならない禁忌なのでしょうか。

事業からの撤退はひとつのオプションだが・・・

「これは!」という新規事業案にエース級社員を配置、人員や資金や時間を与えて推進、というのは企業の成長のオプションのひとつとして一般的なものです。

新規事業創出に積極的な日本企業のひとつは、富士フィルム株式会社ですね。

www.fujifilm.co.jp

イノベーション戦略企画部の設立
事業戦略と技術戦略の機能を集結することで、新規事業創出のスピードを加速化させるとともに、オープンイノベーションのグローバル展開を推進する部門として、2015年に設立しました。
イノベーション戦略企画部では、研究開発に必要な投資規模などのリソース配分を経営視点から精査し、研究テーマによっては外部に研究開発を委託するという判断も行います。

Open Innovation Hub(オープンイノベーションハブ)

Open Innovation Hubは、これまで富士フイルムグループが開発してきた優れた材料・製品を支える基盤技術やコア技術、開発中の新しい技術・材料・製品などに直接触れていただきながら、さまざまな分野の企業とフェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションすることで、新しい価値の創造のきっかけを共に作る「共創」の場として、グローバルに展開しています。

イノベーションアイデア提案制度
全世界の富士フイルム社員が、自由な発想でイノベーションアイデアを提案する社内制度です。 「新製品・サービス」や「技術革新」、部門を横断する業務プロセスの改善など、新たな価値の創出につながるアイデアを募り実現をサポートすることで、イノベーション創出、アイデアを自由に出し合える企業風土醸成につなげていきます。

このような制度を通じて新規事業をいくつも立ち上げ、芽があるものにはどんどん追加投資をして新たな収益源としている会社はいくつもあります。 

そして、もちろんですがすべての新規事業がうまくいくわけではありません。

市場規模の読み違え、自社のリソース不足、競合が強すぎた、製品がクライアントニーズに沿っていなかった、などなど失敗の原因はいくつもあります。成功よりも、むしろ失敗のほうが多いのです。

それを必死に立て直そう、なんとかしようとするのが事業責任者の義務ですが、いくらがんばってもダメなものはダメです。

なので、ある程度の期間中に一定の成果を出すことができなければ、その事業からの撤退をするというのが普通です。それは、なんら責められるものではなく、非常にまっとうな経営判断です。

言い方は悪いですが、社員も会社に利益をもたらすための手段のひとつです。なので、上司は事業責任者として、その手段を使えるものにするために一生懸命取り組む必要があります。

それで芽が出たらよし、芽が出なかったらさまざまな手段を講じて芽を出すために努力し続ける。ここまではよいです。

しかし、どのような手を尽くしても、もっと経験豊富な人にアドバイスをもらったり育成を代行してもらっても、何をしてもその部下を伸ばすことができなかったとき、その部下から「撤退」することは許されるのでしょうか。

ぼくはまだ答えを出せていない。

部下も社員という利益創出手段のひとつである、という前提から考えると、いつまでも結果を出すことができない部下の育成は放棄し、しっかりと結果を出し始めている人の育成に時間を使うべきなのです。

しかし、本当にそんなに簡単に決め付けていいのか?人を切り捨てていいのか?

ぼくは、残念ながら成長スピードが速いほうではありませんでした。会社に入った当初、クビにされても仕方がないようなパフォーマンスしか出せませんでしたし。

★参考記事

事業のように、「ある程度の期間である程度の収益が見込めなければ切る」というクライテリアが設定されていたとしたら、ぼくは完全にその対象になっていたことでしょう。先輩や上司たちが長い目で見てくれて、いろいろチャンスを与えてくれたからこそ、いまは少しだけ会社にも貢献できている気がします。

そういう個人的な体験から考えても、「1年以内にxxができなかったらクビor配置転換ね」みたいなものは、なんとなく受け入れ難い提案なのです。

しかしながら、本当にやる気も改善するつもりも、スキルもプロフェッショナリズムもないという人が一定数いることもまた事実です。そして、それが他人からの力ではどうにも変わらないという場合も少なくありません。

そういう人にいくら時間をかけて何回も何回もフィードバックをしても、残念ながらリソースの無駄遣いです。

元マッキンゼーの赤羽さんも、著書「世界基準の上司」で「部下から見切りをつけること」について語られています。

とはいえ、できない部下の中には、真面目に仕事に取り組む気がなく、成長意欲がなく、人生適当に送れればいいとしか考えていない人も交じっている。

上司が誠意を持って接しても、相手が完全に勝負を投げている場合、どうしようもない。そういう場合は、本人に問題と改善案を伝え、合意し、3カ月ごとに評価、フィードバックして本人がやる気を出すかどうかを見極める必要がある。

2度以上(6カ月間)きっちりとフィードバックをして全く改善する気がない場合は、上司としては手に負えず、人事部等の支援が必要になる。経営者がこういった社員への対処法を上司に任せきっており、同時に部門リーダーとしての業績責任を厳しく追及しているとしたら、やや無責任だし、一方的だと言わざるを得ない。

会社によっては、部署ごとに毎年、業績が下から10%の社員には退職勧告を出すところもある。会社はボランティアではなく業績を上げる必要があるので、改善する気がない社員にはあるところで見切りをつけることはやむを得ないと考えている。

赤羽さんの考えでは、6ヶ月間2度以上フィードバックをしてもまったく改善が見られない場合、上司としてはもうなす術がないとのこと。 

ただ、おそらくぼくは半年以上成果を出せていなかったと思います。

果たして、部下から撤退することは許されるのか。許されるとしたら、それはいったいどのようなときなのか。

ぼくにはまだ答えが出せません。

★参考記事