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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。RADWIMPSの最新アルバム「人間開花」、非常に良いです。
「君の名は。」効果で全国民が知ることになったといっても過言ではない前前前世やスパークルを擁したこのアルバム。他の曲も負けず劣らず最高です。
参考:RADWIMPS最新アルバム「人間開花」を全曲レビューしてみた – Outward Matrix
その中で一曲だけ、ずば抜けているものがあります。それが、9曲目に収録されている「棒人間」。これはハンパない。
人間にそっくりの「棒人間」。彼の悩みとは。
ノリとしてはバンプの「ラフ・メイカー」に似ているなーと思いました。架空のキャラクターを作り出し、そのキャラクターの心情を歌い上げるタイプの曲。
RADWIMPSの「棒人間」、主人公は曲名そのまま棒人間です。
この曲での彼の最初の一言がいきなり衝撃的です。
ねぇ ぼくは人間じゃないんです ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんで よく間違われるのです
棒人間として生まれた彼。彼は他の人に良く間違われるぐらい人間に似てはいるのですが、残念ながら人間ではないのです。
もちろん現実世界に「棒人間」が歩いていることはありません。しかし、いうまでもありませんが棒人間は「どこかずれてしまっている人間すべて」の比喩だと捉えることができます。
- いつもいつも劣等感を感じている人
- 周りができることをできない人
- 何度も何度も挫折し、蔑まれ続けた人
- 自尊心をなくし、自分はダメなヤツだと思い込まざるを得ない人
そういう人は、棒人間の冒頭のワンフレーズを聞いただけで心臓をきゅっとつかまれるでしょう。みな同じ想いをしたことがあるからです。
参考:ダメ人間から脱出するための3つのポイントをマジで考えてみた – Outward Matrix
- ダメで本当にすみません
- ぼくなんかいないほうが良かったんだ
- 今すぐいなくなればみんな幸せになれるかな
そういう気持ちになったことがある人すべてに、棒人間の独白は響きます。
ねぇ ぼくは人間じゃないんです ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんで よく間違われるのです
人間になるため、一生懸命努力する棒人間
人間として生まれることができなかった棒人間。しかし、彼は諦めません。
見た目が人間なもんで 皆人並みに相手してくれます
ぼくも期待に応えたくて 日々努力を惜しまないのです笑顔と同情と謙遜と自己犠牲 朝起床に優しさと
優に1億は超えそうな 必要事項を生きるのです
棒人間は見た目が人間そっくりです。だから、周りの人々も彼を人間として扱いたがります。だから、棒人間は一生懸命に努力するのです。
- 何が面白いのかもわからないけど笑ったり
- 人の痛みなんかわからないけど同情してみたり
- 褒められたらとりあえず謙遜してみたり
- 誰かのために自分がしたいことを諦めてみたり
- 毎朝ちゃんと起きてみたり
- 他の人のために何かをしてみたり
彼は人間ではないのに、そのようなことを一生懸命やっていきます。人間でなくとも、その姿は徹底的に美しい、ぼくはそう思います。
他の人より劣後しているけども、その事実を認めながらも、「まとも」になろうとする人の姿はとてもとても美しいです。
ぼくもずっとずっと、今もずっと「自分は出来損ないである」という強い自己否定にとらわれています。おそらくそれは何があろうとも、今後ずっと消えないのでしょう。でも、だからといって「自分は何も出来ない、ダメなヤツだ」と諦めたくはありません。
どうせならば、徹底的にあがいてみたい、そんなふうに思うのです。
だからこそ、棒人間の一生懸命さに胸を打たれるのかもしれません。
棒人間は、人間にはなれない
そんな風に毎日がんばっている棒人間。しかし・・。
しかしまったくもってその甲斐もなく
結局モノマネはモノマネでしかなく
一人、また一人と去ってゆき
人間が剥がれ落ちるのです
彼はいくら努力しても、人間になることはできませんでした。
結局出来損ないの棒人間のまま、周りの人から失望され、失笑され、嘲られ、そんな毎日は続きます。
棒人間に期待してくれていた周りの人たちも、変われなかった棒人間のもとからひとりまたひとりと去っていきます。その様を彼は「人間が剥がれ落ちる」と表現しています。
棒人間のような何かが欠落している人は、結局いくら努力してもまともな人間にはなれないのでしょうか。人間がどんどん剥がれ落ちていき、周りの人が誰もいなくなっていく、そういう結末をたどるしかないのでしょうか。
それでも棒人間は諦めない
結局人間になれなかった棒人間。しかし、彼は最後にこう歌います。
僕は人間じゃないんです
ほんとにごめんなさいそっくりにできてるもんで
バッタもんのわりにですが何度も諦めたつもりでも 人間でありたいのです
いつか彼が、欠落しているものをもっているすべての人が、人間になれる日が来ることを。
追記:「棒人間」がドラマ「フランケンシュタインの恋」の主題歌に!
「棒人間」がドラマ「フランシュタインの恋」の主題歌になるそうです!
RADWIMPSの最新アルバム『人間開花』に収録されている「棒人間」が、4月からスタートする日本テレビ系ドラマ『フランケンシュタインの恋』の主題歌に決定した。RADWIMPSにとって、初のドラマ主題歌となる。
ドラマ『フランケンシュタインの恋』は、綾野剛が永遠の命をもつ怪物を演じるという前代未聞の作品ということで、放送前から話題となっている。
今回主題歌に大抜擢されたRADWIMPSの「棒人間」は、まさに人間ではない怪物が主人公となる本作に、歌詞も、メロディーも奇跡的なほどにマッチした一曲。注目の第一話は、4月23日(日)22時~23時25分オンエアとなっている。
RADWIMPSは現在、最新アルバムを引っ提げた全国ツアー『Human Bloom Tour 2017』を敢行中。5月9・10日の東京・日本武道館2daysまでに12ヶ所21公演を駆け抜けたあとには、早くも5月にニューシングルのリリース、そして6月にはアジアツアーも決定している。今年もRADWIMPSの怒涛の動向から目が離せない。
RADWIMPSにとってこれがはじめてのドラマ主題歌なのですね。思い入れもさらに深くなるのではないでしょうか。
RADWIMPSのボーカル、野田洋次郎のコメントもあります。
「僕は人間じゃないんです」
人間が歌うからこそのこの「棒人間」という楽曲だと思っていたので最初この曲でお話を頂いた時は少し驚きました。
ただ、人間だらけの中で懸命に生きるたった一人の「自分」という主人公の物語なのだとしたら、それは僕たちもフランケンも一緒なのかもしれません。どんなふうに現代を生きる怪物とこの楽曲が共鳴するのか、今からとても楽しみです。
棒人間は本当に素晴らしい楽曲です。もっともっといろんな人に届くといいな。