目次
こんにちは、Shin(@Speedque01)です。今日は戦略コンサルタントという仕事を身近に感じていただくために、SWOT、クロスSWOT、Priority Ratingというツールを使って自己分析をしてみたいと思います。
戦略コンサルタントの仕事ってちょっとわかりづらいですよね。いったい何をしているのか、お客様にどういう価値を提供できているのか、具体的な情報を見かけることがあまりありません。
プロジェクトを進める際には様々なツールを使ってリサーチしたり分析したりするのですが、実際のクライアントの情報はもちろん社外秘です。なので、本当のところがなかなか外部に知られず、「わかりづらい」というイメージに繋がっているかもしれません。ですが、戦略コンサルティングで使うツールのいくつかは、企業分析だけでなく自分の分析にも使えます。それならば別に社外秘でもなんでもないですし、実際のツールの使い方についても理解が進むと思いますので、ちょっとやってみようかと。
今日は非常にメジャーな分析ツールであるSWOTやクロスSWOT、Priority Ratingを使って自己分析および今後の行動計画立案をしてみますね。
SWOT分析とは?
まずはSWOT分析について簡単に説明します。
SWOT分析(-ぶんせき、SWOT analysis)とは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人のプロジェクトやベンチャービジネスなどにおいて、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法の一つである。組織や個人の内外の市場環境を監視、分析している。 フォーチュン500のデータを用いて1960年代から70年代にスタンフォード大学で研究プロジェクトを導いた、アルバート・ハンフリーにより構築された。(Wikipedia)
簡単に説明しますと、企業の状況を、内部の環境(強みと弱み)と外部の環境(機会と脅威)から分析するフレームワークです。非常にわかりやすく使い勝手がいい反面、定性的で議論がまとまらないこともよくあったりします。
各項目については、下記で簡単に説明しますね。
- 強み(Strength):自社の中で、目標達成のために使える強みを表す。
- 弱み(Weakness):自社の中で、目標達成を阻害する可能性がある弱みを表す。
- 機会(Opportunity):外部で、自社の目標達成を助ける機会を表す。
- 脅威(Threat):外部で、自社の目標達成を阻害する可能性がある脅威を表す。
と、こんなかんじです。
具体例がないとよくわからないと思うので、ぼく自身でSWOT分析をしてみましょうか。
自分のSWOTを洗い出す
何を強みで何が弱みなのか、何が機会で何が脅威なのか。これは各人によって認識が異なるので、可能であれば知見のある人を集めてディスカッションをしたり、定量的なデータ分析ができるリサーチファームに頼んだりすべきです。また、OverallでSWOTをするのではなく、いくつかの要素に分けるのもありです。人的視点、財務的視点、戦略視点、オペレーション視点、などなど。(今回はそこまでやりませんが・・・)
では、まずは思いつくままにバーっと洗い出していきましょうか。
強み(Strength)
- 若い(20代中盤)
- 健康体
- ある程度の学歴
- 就職活動/採用への知見
- コンサルティングへの知見
- 大学院で研究していたERPへの知見
- 英語力
- 日本語力
- ブログ
- 書籍への掲載実績
- 自分で金を稼いだ経験
- 現在の会社でのトップマネジメント層との交流
- 他会社のミドルマネジメント層との交流
- 過去インターンでの繋がり
- プレゼンテーション力
- エクセル・パワーポイントなどのオフィススキル
- あきらめずに物事に取り組む
- 穏やか、人と協調することが得意
- 信頼できるパートナーがいる
- 生活には困らない程度のお金
- 緻密なプロジェクトマネジメント
弱み(Weakness)
- 起業経験がない
- 大勢の部下をマネージした経験がない
- 何かを始めるための資金不足
- プログラミングができない
- ケンカ経験が乏しい
- 戦略立案力に乏しい
- 文章力がない
- 教養がない、読書量が足りない
- 最後の最後で人を頼ってしまう甘さがある
- 時間を効率的に使えていない
- あれもこれもになってしまい、選択と集中ができていない
- 英語力が中途半端
- 将来的にどうなるかビジョンが見えていない
- 筋肉に乏しい
- 目が悪い
機会(Opportunity)
- 年功序列の崩壊、若くても上にいけるチャンスがある
- 海外展開を志す日系企業の増加
- ブログを書いてみたい人の増加
- 英語力への需要増加
- コンサルタントへの期待は相変わらず高い
- 若く、かつ基礎スキルを抑えている人材への需要増加
- 方法論に則った就職活動、採用活動への期待
- 自力でビジネスを立ち上げられる人材への需要増加
- フリーランス等新しい働き方の勃興
- IoT、Analyticsなど新たなテクノロジー
脅威(Threat)
- アジア等からの優秀な人材の存在感増
- 資本主義への信頼感減、崩壊の可能性有
- マネジメント層はより一流MBAレベルの学歴が求められる
- 国同士の垣根が低くなることにより、いっそう激しい競争になる
- テクノロジがビジネスを主導するようになる
- 人工知能やData Analyticsによる、人間の知的生産の価値の低下
なんとなく洗い出しただけなので荒いですが、いったんこんなものにしておきましょう。本来は、これら上記で上げたものが本当なのかどうか緻密にリサーチ、分析し、クライアントとつめていく必要があります。
SWOTをまとめてみる
では、先ほど上げたSWOTをまとめてみましょう。こんな感じになりますね。

これだけでは、「で?」となってしまいます。いろいろと洗い出せたはいいものの、これをもとに何をどうすればいいのかが全く見えてこない。
なので、これをもとに「クロスSWOT」を実施します。
クロスSWOTとは?
クロスSWOTとは、4要素をクロスさせることで、効果的な戦略をあぶりだす為のフレームです。下記の4つの観点から、「具体的にやるべきこと」をあぶりだすことができます。
- 強みx機会
- 強みx脅威
- 弱みx機会
- 弱みx脅威
重要そうなものを抜粋して、クロスSWOTを実施した結果が以下です。

※SO = Strength x Opportunity、ST = Strength x Threat、WO = Weakness x Opportunity、WT = Weakness x Threatの略です。
これでやるべきことが洗い出せました。分析前では絶対に思いつかなかったことであろう行動も、SWOTで要素を洗い出し、クロスSWOTで組み合わせることによっていろいろ思いつくことができます。
ただ、まだ問題があります。
時間やお金、自分の体力が無限であればこれを全部やっていけばいいのですが、残念ながらそうではない。自分の現在の状況、持てるリソースを勘案した上で、何をやっていくべきか優先順位(Priority)をつけていかなければならないのです。
優先順位付け:Priority Ratingとは?
SWOTとは外れますが、せっかくなので優先順位付け(Priority Rating)もやってしまいましょうか。考えるべきは大きく分けて二つ。「コスト」と「パフォーマンス」です。いくらそれをやることで莫大な見返りがあったとしても、コストが異常なまでに大きければ実効性のある戦略とはいえません。
例えば、ダイエットをしたい!という人に、「毎日ササミとサラダしか食べないで、腹筋500回、スクワット1000回、遠泳5キロ、マラソン20キロやってね。で、それを半年間続けてね」というアドバイスをしたらどうでしょうか。
「そりゃもちろん痩せると思うけど、そんなことできるか!」となりますよね。あまりにも精神的コスト、体力的コストが高すぎるのです。
ということで、コストとパフォーマンスのレーティングをエクセルで作ってみましょう。

※コストは心理的、時間的、金銭的の3つ、パフォーマンスは金銭的、非金銭的の2つに分けました。点数が高いほうが「良い」とご理解ください。(点数が高いほうがコストが低い、もしくはパフォーマンスが高い)
これだけではよくわからないので、コストとパフォーマンスをX軸とY軸に取ったグラフも作ってみましょうか。こんなかんじ!

結果として、こんなかんじにまとまりました。
最優先すべきもの
- SO1:海外進出支援コンサルタント特化
- WT1:アジア人材との協働
- WO6:インターンや新卒学生を下につけたうえでのプロジェクト推進
- ST4:IoTやAnalytics関連のコンサルティングプロジェクト実施
- ST2:ブログの継続的執筆による無形資産構築
やってみよう!
さて、SWOT -> Cross SWOT -> Priority Ratingという順序でコンサルティングフレームワークを使って自己分析をしてみましたが、いかがだったでしょうか。そこまで難しいものではなかったと思います。(当たり前ですが、実際のプロジェクトはもっといろんなプロセスを踏みますし、定量データ分析ももっとちゃんとやります。笑)
なかなか会社の分析は難しいと思いますが、自分自身のことであれば強みや弱みはどんどん出てくるはず。コンサルタント疑似体験として、やってみてはいかがでしょうか。
ちなみに、こういうフレームワークをリアルに学べる書籍としては、元アーサー・D・リトルの高田氏が著した「問題解決」がオススメです。