目次
- 1 ポリシー1:方針を明確に打ち出し、部門の成果を最大化する
- 2 ポリシー2:部下の持つ力を最大限引き出し、成果を出す
- 3 ポリシー3:成果を出しつつ、部下を最速、最大限育成する
- 4 ポリシー4:部下の成長可能性を信じ、常にポジティブに接する
- 5 ポリシー5:一人ひとりに合わせて部下育成を進める
- 6 ポリシー6:部下育成は、上司の自己満足で行うものではない
- 7 ポリシー7:部下を罵倒したり感情の発散対象にはしない
- 8 ポリシー8:部下は上司の奴隷ではない
- 9 ポリシー9:部下育成は上司の責任、成長は部下の責任
- 10 ポリシー10:部下に上司の意図を汲み、よいところだけ前向きに学ぶように教える
- 11 ひとつひとつ、理想の上司になるべく努力する
こんにちは、Shin(@Speedque01)です。突然ですが、あなたには部下がいますか?部下との関係は良好でしょうか?
ぼくも部下を数名持っていますが、最初のころはなかなかうまくいかなかった覚えがあります。自分一人で仕事を進めるときとは頭の使い方が全く違い、どうすべきか困ってしまったことも・・・。そのときのメンバには申し訳ないのですが、「自分一人だったらもっと楽なのに」と思ってしまったことがあることも否定できません。
同じように、部下との関わり方、育成方法について悩んでいる人はかなりの数いるのではないでしょうか。そのような人のためのおすすめ書籍が下記「世界基準の上司」です。
元マッキンゼーの赤羽さんが、世界で通用する上司となるための心構えや具体的なTipsについて、非常に丁寧に解説している本です。部下を持つ人は必読です。
今回はこの本の中から、上司が持つべき根本的な10の考え方について紹介します。
ポリシー1:方針を明確に打ち出し、部門の成果を最大化する
上司となったからには、自社がいったいどのような目的を持ったうえでどういう戦略を立案しているのか、またそれに応じてどのように市場を攻略していようとしているのか、理解してそれを伝える責任があります。また、その理解を基に自分のチームのミッションを明確化し、部下をモチベートする必要もあります。上司となったからには、単純な作業者でいることはもはや許されないのです。
世界基準で活躍する上司は、全社方針を理解したうえで、常に自部門の必達目標、目標達成のための施策、取り組み方針、投入資源の考え方等を明確に打ち出し、部門の成果を最大化する。
顧客・競合状況がダイナミックに変化するのに合わせ、方針を柔軟に見直し必要に応じて修正し、理想と現実のバランスを取って当初の目標を達成する。
ポリシー2:部下の持つ力を最大限引き出し、成果を出す
部下を持つことになったあなたは、今や立派なチームリーダーです。チームリーダーとなったからには、自分が死ぬ気で成果を出しても評価は得られません。チーム全体のパフォーマンスを最大化することが、あなたに期待されていることなのです。
そうした場合、部下の力を引き出せるかどうかが境目となります。いくらあなたが優秀でも、部下の力を引き出せなかったらチームとしてのパフォーマンスはいまひとつなものとなってしまいます。
世界基準で活躍する上司は、部下の持つ力を最大限引き出すことに全力を挙げる。そのほうが間違いなく闘いを有利に進めることができるからだ。皆が熱狂するサッカー、野球、アメリカンフットボールなどの監督の仕事もすべて、同じだ。
トレードや選手獲得はプロスポーツほど頻繁に行うことはないが、それでも優れた上司はあの手この手を使って部下の力を最大限引き出し、成果を出す。
ポリシー3:成果を出しつつ、部下を最速、最大限育成する
上司となった場合にぶつかる壁の一つは、「部下の育成」です。
自分がゴリゴリやっていけばよかったときとは大きく異なり、部下にどのような特性・強みがあり、どう伸ばしていけばいいか、またそれをどう成果につなげていくか常に考え、改善していかないといけません。
ぼくもここには大きく苦労した経験があります。なかなか部下の強みや志向を理解することができず、成果を上げさせてあげることができなかったことは、大きな反省点のひとつです。
世界基準で活躍する上司は、成果を出しつつ、部下を最速、最大限育成する。部下は使い捨てではなく、接し方、チャンスの与え方によってどのようにでも育つと考えている。
一人ひとりの特長、性格、得意不得意を考え、数年先をにらんで最も効果的な仕事の与え方、経験のさせ方、ローテーションの仕方などを工夫する。
近視眼的に部下を酷使してつぶすようなことは絶対にしない。高いハードルではあっても、本人がやる気を持って取り組めるギリギリの高さのハードルを設定する。
ポリシー4:部下の成長可能性を信じ、常にポジティブに接する
これが自然とできる上司は心から素晴らしいです。
もし周りにそのような方がいたら、ぜひずっと良い関係を築いておくことをお勧めします。が、残念ながら多くの上司はどちらかというと部下にネガティブに接することのほうが多いようです。
- なんでそれぐらいもできないの?
- もうさっき頼んでから1時間たってるんだけど、いつ終わるんだっけ?
- 同じミス何回したっけ?アドバイスする時間がもったいないんだけど
- やる気ないならもうやめればいいんじゃない?
こんな言葉をずっと聞いていたらそりゃ鬱病にもなりますよね。
世界基準で活躍する上司は、部下が成長すると心から信じ、ポジティブに接する。少しくらい失敗をしても意地悪な、底意地の悪い接し方をしない。常に最強のチームで闘えるわけではないので、今いるメンバーを最大限生かそうとする。
ポリシー5:一人ひとりに合わせて部下育成を進める
残念ながら、すべての部下に合わせた最強育成プログラム的な便利なものは存在しません。スキルセットも違えば、キャリアプランも違います。そんなバラバラの人たち全員に適用できるマニュアルなど存在しないのです。
そうなると、必然的に部下一人ひとりのことをよく観察し、個々人に合わせたやり方を考え、実行する必要があります。言葉にすると当たり前のことですが、これがなかなか難しいのです。
世界基準で活躍する上司は、部下一人ひとりが皆違う人間であり、それぞれの個性を尊重すべきことをよく理解している。
やや高めの目標設定を好み、そのほうが余計にがんばることのできる部下、 そこまで背伸びをしない目標を好み、それを必ず大きく超える結果を出すことを好む部下など、目標設定一つをとっても人それぞれだ。
それに対して、自分自身の経験は折に触れ共有するものの、あくまでそれぞれの個性や価値観を尊重して部下育成を進める。
ポリシー6:部下育成は、上司の自己満足で行うものではない
部下を持つというのは、一種の麻薬でもあります。
(基本的には、もしくは表面的には)自分の言うことをよく聞き、動いてくれる人がいたら、人は多かれ少なかれコントロールしたいという欲求を持ちます。「ぼくがかんがえたさいきょうのびじねすぱーそん」に部下を仕立てあげようとする上司が多いのも、そんなに不思議なことではありません。
もちろん部下をかわいがって育成すること自体はいいことですが、それが果たして本当に部下の特性や志向に合っているのか、常に冷静に振り返る必要があります。
世界基準で活躍する上司は、自部門のため、部下本人のため、そして会社のために部下育成を行う。決して自身の自己満足のために行うわけではない。
自己満足のために行うと、部下本人にとって最適な育成プランではなく、上司のエゴを満たす行き当たりばったりの育成になる。あるいは、部下を15年囲って同じ仕事ばかりさせる、というようなことにもなる。自分でかわいがって育成しているつもりでも、部下の成長は大きく阻害されている。
ポリシー7:部下を罵倒したり感情の発散対象にはしない
うわあ。
若い新人マネジャー等にたまにいますね。。部下を怒鳴ったりねちねちいじめたりするのが趣味な人。ぼくもかつていろいろ言われた経験がありますが、本当にきつかったです。
部下は基本的に立場が弱いので、口答えもあまりできません。部下が悪いように見えても、感情のままに怒鳴り散らしたりいじめたりは絶対しないように心掛けたいところですね。
世界基準で活躍する上司は、結果が出なくても、また忙しすぎてイライラしていても、決して部下を罵倒したり感情をぶつけたりしない。部下は仕事として会社に勤め、たまたま部下でいるだけであって、罵倒してよい対象でもなければ、 感情をぶつけていい相手でもない。
部下に対して「給料泥棒!」「寝ている時間があるのか?24時間働け!」という言葉を投げつけたり、残業や休日出勤を強要することは、どういう理由があっても許されることはない。何かと理由をつけて、自分の暴言を正当化しようとする上司があまりにも多いが、勘違いも甚だしい。
ポリシー8:部下は上司の奴隷ではない
部下を自分の所有物のように思い、まるで奴隷のように扱う上司が一定数存在します。もしあなたが部下をそのように扱ったとしたら、おそらく彼は一生あなたを恨み続け、もしかしたら復讐されることもあるかもしれません。当たり前中の当り前ですが、部下のことは独立した一つの人格として、ちゃんと扱う必要があります。
部下を罵倒したり感情の発散対象にするどころか、「部下は何でも自分の言うことを聞くものだ」「給料をもらっているのだから、部下は言われた通り、何だってやるべきだ」と勘違いしている上司が多い。
口にしないまでも、態度にはそこまで出さないまでも、心の中で思っている人はもっと多いのではないだろうか。
「自分もそういう扱いを受けてきた」というのは何ら正当化の理由にならない。「部下は罵倒しないと仕事をしない」と勝手に思い込んで、好き放題することは世界基準では全く通用しない。
ポリシー9:部下育成は上司の責任、成長は部下の責任
とはいえ、部下側にも責任の一端はあるものです。
上司は常に部下の成長を考えつつ、成果を最大化するという非常に重大な責任に苦しみながら、毎日頑張っているものです。部下は、自分が成長しないことを上司の責任にすることはできません。上司は一生懸命育成を試みる責任はありますが、その結果本当に成長するかどうかは、最終的には部下にかかっているのです。
世界基準で活躍する上司は、部下を徹底的に育成する。上司の仕事の重要な一部として、部下育成があり、部門のミッションを効果的に遂行するためには、部下育成が必須だと考える。
目の前の結果を出すためにも部下を育成し、半年後、1年後、あるいは3年後の業容拡大に向けて部下を育成する。「部下育成は上司の責任」と心底信じており、一貫して取り組む。
一方、成長するのは部下の責任だ。上司がどんなに一生懸命になって助言し、コーチングしても、部下が本気で成長する気にならなければ成長しない。スポーツ競技でコーチがどんなに熱心に的確な助言をしても、選手本人が誰よりもがんばって努力をし、練習をしなければ成果が出ないのと同じだ。
ポリシー10:部下に上司の意図を汲み、よいところだけ前向きに学ぶように教える
残念ながら完璧な上司というのはこの世に存在しません。
しっかりと部下育成のことを考え、ポジティブにフィードバックをし、自部門の業績拡大も同時に果している素晴らしい上司であったとしても、たまには間違えることもあるものです。そのようなときに、部下は「あ、この上司はだめだな」と思わずに、よいところだけを吸収するように心掛ける必要があります。最終的に、それは部下のためにもなることなのです。
世界基準の上司であっても、指示が常に的確で文句のつけようがない、という時ばかりではない。人間なので、体調が悪いこともあるのはやむを得ない。したがって、部下は上司のあら探しをするのではなく、上司の指示が不明確でもその意図を極力汲み取って、仕事をするほうが建設的だ。
あまりに抽象的な指示とか、前日の指示と真逆の場合は確認せざるを得ないが、多くの場合は、上司が何を求めているか、意図を汲もうとしていればわかる。いつまでも我慢する必要はないし、すべきではないが、差し当たりの業務に関しては、 上司の意図を汲み、かゆいところに手が届く感じで、意図に沿った仕事をするほうが成長できる。
これは当然ながら、上司の指示があいまいでもいいという意味では全くなく、部下から見て、できる限りのことをし、よいところだけ前向きに学ぶほうが自分自身成長するし、組織も過剰にぎすぎすしないという意味だ。
ひとつひとつ、理想の上司になるべく努力する
上司に指示を受けて作業をこなしていくときと、部下を持ちながらチームのパフォーマンスを最大化するときでは、使うスキルや考え方がまったく違います。最初は戸惑うかもしれませんし、部下との関係で悩むことも多々あると思います。
しかしながら、そこで諦めずここで挙げたようなポリシーを毎回思い出し、自分の行動や言動がそれに沿っているか確認することで、だんだんと理想の上司に近づいていけるのではないでしょうか。
他にもいろいろ有益な助言が記載されているので、興味がある方はぜひ実際に買ってお読みください。
※ぼくが実践している、具体的な育成方法については以下にまとめています。よければどうぞ!
新入社員に叩き込んでいる13の具体的な仕事術を紹介するよ – Outward Matrix