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こんにちは、Shinです。テクノロジーがどんどん進歩していっても、人と人が完璧に意思を通わせるようになれるにはまだまだ時間がかかるようですね。
そこかしこで認識の齟齬に端を発する言い争いや勘違いが発生し、組織のパフォーマンスを著しく下げています。
- 自分はちゃんと伝えているのに全く伝わっていない、あいつはバカだ
- なんかいろいろ言ってくるけど何を言いたいのかわからない
- 何度言ってもおんなじミスをする、死ねばいいのに
などなど。
同じチームや上司部下の間でも起こるのですから、クライアントやベンダーなど直接的な利害関係にある対象とのコミュニケーションはさらに難しくなります。
大学生の考える力のレベルは決して高くない
縁あって大学生の就職活動用エントリーシートを数十枚添削したことがありますが、正直かなりレベルが低いものもありました。
「学生時代頑張ったことは?」という質問に対して、「あるばいとをがんばりました。ひととうまくなじめなかったけど、なんかおわりのころにはなかよくなれました。ひととなかよくすることはだいじだとおもいました。」
「学生時代に辛いと感じた経験は?」という質問に対して、「じゅけんがつらかったです。ろうにんしてしまったのですが、もういちねんかんがんばって、いまのだいがくにうかることができました。どりょくすることはだいじだとおもいました。」
・・・小学生ですか?と思ってしまいました。
このレベルの学生から選抜しなければならない採用担当の気持ちを考えると、切なくて切なくて震えます。
考える力は、大体の人が持っていない
とはいえ、選ぶ側の社会人で彼らを真っ向から否定できる人もそんなにはいないはずです。いわゆる社会人の大半はどうしようもなく愚鈍で口ばっかりのコミュニケーション障碍者です。悲しいことにね。
自分のことを棚に上げて他者を批判し、本来考えるべき問題から目をそらせて些末な議論に走り、責任転嫁のタネがあればそれに喜んで飛びついて寄ってたかって弱者をいじめ、そうこうしている間に業務時間が終了して家に帰る。
そんなくだらないことをしている人が大半ではないですか?
自分が何をしているか、何のために生きているかもわからないまま、とりあえず目の前のことを無難にこなそうとびくびくし、とりあえず責任逃れをする・・・。
まるでニーチェの著作にある”末人”のようです。末人とは、すべての価値観が崩壊した世界で、何も目指すものもなく達成したいこともなく、ただただなんとなくその日を生きている「終わっている人」のことを指します。
ぐだぐだするのが楽だ、というのはもちろんわかりますよ。わかりますけど、そんな「終わっている」毎日を過ごしてほんとに楽しいですか?「何をしようとすべては変わらない、そもそもすべては存在しない(全は無である)」的な東洋思想のもとにそう生きるならばそれはそれでいいかもしれないですが、背後に何の考えもなく何もなすことなく、ただただ終わっていくことは、ぼくならば何をしてでも避けたい最悪の状態です。
考える力を今すぐつけよう
「終わっている人」が、「始まってる人」になるためにはどうすればいいのでしょう。
もう難しいことは考えなくてもいいから、人に伝えるときでも何かやるときでもいつでも、とりあえず3ステップ踏むことを徹底的に意識してみましょう。それだけでいいんです。
- Where(問題自体を考える)
- Why(問題の原因を考える)
- How(問題を解決する打ち手を考える)
この3つをやってください。
考える力をつけるステップその1:Where(問題自体を考える)
ここが一番大事で、かつほとんどの人ができていないところです。
「そもそも問題はなにか?」ということを考えましょう。
問題もとらえずに「とりあえずみーてぃんぐひらいてみんなのいけんをきこうよ」「かっこいいぽすたーたくさんつくったらうりあげがあがりました」「よくわかんないけどなんとなく開発環境から試験環境に全コンフィグ移送しました」とか、本当にやめてくださいね。。。
具体例で見てみますか。たとえば・・・
英語ができない?しゃべれるようになりたい?
・・・まずその前にWhereを特定しましょう。
- 英語ができないことが問題なのか?
- 英語ができないと昇進できないことが問題なのか?
- 英語は昇進に必須なのか?
- まてまてそもそも昇進はこのボクに必要なのか?
- 昇進するとどんないいことがある?金ってそんなに増えるんだっけ?
- 金をただ増やすだけなら昇進とかまどろっこしいこと考えずに転職していい会社行けばいいだけじゃね?
- あ、そもそもなんのスキルもないし英語すらしゃべれないからやっぱり英語しゃべれないとダメなんじゃないかな?
- ん、とすると英語の前にちゃんとプロフェッショナルとしての仕事をできるようになるのが最初なんじゃないの?
- あ、でもプロフェッショナルとしての仕事をするのと英語の勉強を両立するのは不可能じゃないな、どっちもやればいいな
- つまりだ、今の自分がやるべきは「プロフェッショナルになること」と「英語を使えるようになること」の両方だな
- そもそもなんで30過ぎて「自分がプロである」と胸を張れないようなダメ人間になってんだっけ
- いつまでもいろいろ口で言っているだけで、結局自分一人では何もできないダメ人間になってしまった、そういうメンタリティが一番の問題なんじゃないの?
- まずそこを解決することが一番の優先度だよね
- ちょっと気づくの遅かったかもしれないけど、「30過ぎまで何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態である」ってのが自分の一番の問題なんじゃないの?
考える力をつけるステップその2:Why(問題の原因を考える)
おっけー、Whereは特定できましたね。英語ができないとかそんなことはただの結果に過ぎず、「30過ぎまで何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態である」ことが一番の問題っぽいということが判明しました。
*てか、英語ができない!とかいって英会話スクールに通う人種の大体の問題がコレである。学歴コンプレックスとか給料が低いとか自己啓発や婚活にハマるとか、そういう人もそうです。
ここで「え、どうしよどうしよどうすればいいかな」とパニくるのはまだ早いです。落ち着いて原因を特定しましょう。Whyの深堀です。
- おっけー、自分は30過ぎまで適当にだらだらやってきて、結局何者にもなっていないただの末人みたいっぽいな
- 問題が明確になってよかったけど、じゃあなんでそんなことになったんだっけ?
- 悪くない大学を出て、一流とは言えないけどまあ微妙に名前を知られている会社には入ったな
- なんとなく同期とも仲良くして上司とうまがあったりあわなかったりして、他の人よりはちょっと遅れて昇進したり部下育成に悩んだり
- あれ、ボク結構ちゃんとやってるんじゃないか?
- いやまてまて、問題はなんだったかもういちどちゃんと振り返ってみなさいよ
- 「30過ぎまで何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態である」・・・
- これあれだ、パッと見じぶんちゃんとやってきているって思っていたけど、全然本気でやってなかったから結局なんも残ってないんだな
- 日々自分を振り返って改善することもなければ、自分の業務領域を超えた専門知識をつけることもせず、チームをリードする立場となってどんどん改善案を出すこともなく、土日や帰った後に自主的に仕事の勉強やガチで役に立つ勉強をすることもなく、無為に過ごしていた
- 完全に末人としての毎日を送っていた
- じゃあなんでそんなことになったんだろう、そもそもあれだな、今やっている仕事に興味を持っているわけでもなかったから本気になれなかったんだな
- あれ、じゃあボクが「興味を持っている」ことってなんだ?
- あれ?
- あれ???
- 興味を持っているものもなければ打ち込めるものもない、だから今のような末人状態に陥ってしまっている?
- なんで興味を持っているものも打ち込めるものもないんだろう?
- 幅広い知識を持っていたり仕事を頑張っている人は、単純に好奇心が強い人なのか?
- それもひとつだけど、そこはクリティカルなポイントでもない気がするな
- 彼らがすごいのは、どんなものにも深く強い興味を持ち、かつ自分がそれをリードする気概を持ち、周りの人をサポートし自らを成長させるサイクルを構築しているからだ
- 翻ってみて自分はどうだ
- ただ与えられるがままになんとなく日々を乗り切っているだけではないか
- 原因はこれじゃない?
- 「他の始まっている人のように、どんなものにも深く強い興味を持ち、かつすべてを主体的にとらえ自分がリードする気概を持ち、周りの人をサポートし自らを成長させるサイクルを構築していない」から「30過ぎまで何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態」になってしまった
考える力をつけるステップその3:How(問題を解決する打ち手を考える)
はい、やっとWhereとHowが特定できました。つまり今のぼくの状態はこうなのです。
「他の始まっている人のように、どんなものにも深く強い興味を持ち、かつすべてを主体的にとらえ自分がリードする気概を持ち、周りの人をサポートし自らを成長させるサイクルを構築していない」から「何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態」になってしまった。ここまでくれば後は楽勝、ぼくらがいつもやっているHowをちょっとラディカルに考えましょう。
「かっこいいぽすたーつくりました」「みーてぃんぐでみんなのいけんをきくようにしました」なんて二度と言わないように、ちゃんと重いインパクトを放つHowを必死に考え抜いてみましょう。WhereとWhyが明確であれば、Howはいくらでも出てきます。
また、Howを実現するときにこそ、いつもいわれている古典LifehackのPDCAが効いてきます。
「他の始まっている人のように、どんなものにも深く強い興味を持ち、かつすべてを主体的にとらえ自分がリードする気概を持ち、周りの人をサポートし自らを成長させるサイクルを構築していない」から「何も気づかず何にも打ち込まずだらだらし、不幸の深淵を覗き見だしたヤバい状態」になってしまった人たちへ。
ここから考えるのはあなたたちの仕事です。今の状況を、何としても抜け出しましょう。
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