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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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北朝鮮を支配する金正恩の意図とは。「北朝鮮で何が起きているのか」を読んでみた。

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。お騒がせ国家として有名な北朝鮮ですが、最近ますます動きが活性化しています。

アメリカが北朝鮮近海に空母を派遣したりと、まさに一触即発といった趣があります。

www.newsweekjapan.jp

トランプ氏はこれまで「中国が(北朝鮮への圧力を)強化しなければ、独自に行動する準備ができている」と発言してきた。いよいよしびれを切らしたら、どのような行動に出るのだろうか。考えられるオプションのひとつに金正恩党委員長に対する「斬首作戦」があるが、これは韓国軍の協力なしに実行することは不可能だろう。

ほかにも、韓国の意向によって、米国が対北朝鮮で出来ることと出来ないことには大きな差が出てくる。ということは、5月に行われる韓国大統領選の結果が正恩氏の運命に大きく影響する可能性があるということだ。

韓国大統領選ではこれまで、北朝鮮に融和的とされる文在寅(ムン・ジェイン)候補が独走してきたが、中道系の安哲秀(アン・チョルス)候補が猛追するなど、風雲急を告げる展開となってきた。

正恩氏はおそらく、トイレさえ自由にならない厳戒態勢の中、自身を取り巻く情勢の成り行きを、固唾をのんで見守っていると思われる。

現在北朝鮮を支配しているのは金正恩氏。北朝鮮の第3代最高指導者です。

ただ、いったい彼がどのように北朝鮮を支配しているのか、何を考えているのか、明確に語れる人は少ないのではないでしょうか。ぼくも恥ずかしながら通り一遍の知識しかないため、下記書籍を購入して読んでみました。

今まで知らなかった金正恩体制のことがかなり良く理解できました。今後の北朝鮮をめぐる動きについていくためにも、一読をお勧めしたい良書です。

以下で内容を紹介していきます。

金正恩に見られる「特異性」とは

金正恩には、過去二人の指導者には見られない「特異性」もあると言ってよい。それは後継者として経験を積まないままに父親の突然の死を迎えたという特異な条件を背負っていることである。彼は父親の急死によって急遽、北朝鮮のナンバーワンにならざるを得なくなった。権力・政策を継承するための準備もまったくと言ってよいほどできていなかったため、彼は祖父、父の時代とは異なる国家指導のアプローチをとることを余儀なくされたのである。

度重なる好戦的な言辞や挑発行為も、この一環と考えれば理解できるところがある。後継指導者としての準備期間がほとんどなかったことに加えて、年齢も二〇一三年でおそらく三十歳と非常に若い。このような人物が、権威あるいは威信といったものをただちに身につけるのは至難の業である。

独裁的な指導者にはカリスマ性が不可欠である。言うまでもなく、金日成にはある種の強いカリスマ性があったが、金正日になった時点でそれはだいぶ薄れていた。ましてや金正恩という若い指導者に、カリスマ性は望むべくもないだろう。

それゆえ、国内において指導者の権威を高めるために対外的な挑発行為が必要となったと考えられる。要するに、金正恩に権威が不足しているという事実がそのまま、現在の北朝鮮の政策を大きく規定していると見るべきであろう。したがって、今後も祖父、父の政権の時とは異なる政策・姿勢が続く可能性をわれわれは無視できない。

金正恩の時代になってから、北朝鮮はますます過激度を増しています。

news.biglobe.ne.jp

北朝鮮は西太平洋で海上自衛隊の護衛艦と共同訓練を行っている米空母カール・ビンソンについて「沈める用意がある」と宣言し、挑発的な態度をエスカレートさせている。また21日には韓国系米国人の身柄を拘束していたことが新たに分かった。

端から見ると自殺行為にも取れるこれらの挑発ですが、ある程度仕方なしにやっている可能性も高いのではないか、という話があるようです。金正恩の父であり、第2代最高指導者であった金正日は、初代最高指導者である金日成からかなりの時間をかけて権力と地盤を引き継ぐことができました。

それとは対照的に、金正恩はそのような準備期間もなく、また最高指導者の地位についたとき非常に若かったのです。まだ政権の基盤がぐらついているのにもかかわらず、いきなりカリスマとして国を率いる責任を有してしまったわけですね。

そうなると、金正恩および彼の支持者たちはなるべく早く地盤を固めようとします。そのためにもっとも効果的な戦略のひとつが「強い北朝鮮」をアピールすることであり、超大国であるアメリカにも喧嘩を売り、カリスマ性を高めようとしているということになるのでしょう。

これは、今までの最高指導者になかった金正恩の特徴といえます。

金正恩が最高指導者として実施すべき3つのこと

最高領導者としての権威を身につけるには、第一に指導者としての能力を国民に示し、それを認めさせることが必要である。そして第二に指導者としての業績を積み上げ、国民から評価を得ることも不可欠である。業績を積み上げるのはもちろん簡単ではないし、時間もかかる。

まず金日成時代からの懸案である国民の生活水準の向上と経済建設において一定の成果をあげなければならない。

それに加えて、「祖国統一問題」にかんする成果も重要である。統一できれば言うことはないが、それが無理であるならば少なくとも南北関係の和解、韓国との平和的共存というものが担保されなければならない。そうすれば、統一に向かう道筋の中で韓国からさまざまなかたちで経済支援を受けることができる。

第三には、安全保障上の成果をあげることが必要となる。これは要するに、「アメリカ帝国主義の脅威」から国を守るということである

先述のとおり、金正恩はまだ若く、国内での権威をさらに高めていく必要があります。そのために必要なことは「生活水準向上ならびに経済建設」「祖国統一問題」「アメリカ帝国主義からの防衛」という3点が必要であると筆者は語ります。

最近の北朝鮮の動きを見ると、特に3点目に力を入れているといえます。これはオバマ政権からトランプ政権に移行し、トランプ氏のアメリカ一極主義が強くなったことも原因のひとつではないでしょうか。

★参考記事

上記の記事でトランプ大統領の公約をまとめています。トランプ大統領からは「強いアメリカ」を取り戻すためにはなんでもしてやる、という強い決意を感じられます。アジアで核を振り回して他国を威嚇する北朝鮮を威圧するのは当然の帰結ですね。

アメリカから圧力をかけられた場合、金正恩もそれを受け入れるわけにはいきません。「アメリカに屈した」という印象を与えてしまったその瞬間に、金正恩は国内での求心力を失ってしまうのです。だからこそ、過激な挑発を繰り返して威厳を保とうとしているのでしょう。

とはいえ、本気でアメリカを怒らせた瞬間に国自体が崩壊することを北朝鮮もよく理解しているようです。結局、2017年4月25日には核実験やミサイルの発射はしなかったのです。

www.nikkei.com

北朝鮮は25日、朝鮮人民軍の創建85年の節目を迎えた。韓国軍は同日、北朝鮮が日本海沿岸付近で過去最大規模の砲撃訓練を実施したことを確認した。ただ、核実験や弾道ミサイル発射など重大な挑発は確認されていない。関係国は引き続き、警戒を強めている。 

金正恩は「核能力の向上」を目指している

二〇一二年に二度行われた人工衛星打ち上げは「金正日の遺訓」だが、二〇一三年二月十二日の核実験は既定路線に含まれていなかったはずである。

また、寧辺のウラン濃縮施設にかんしてもモラトリアムは実行に移されておらず、二〇一三年四月二日には、六者会合(六カ国協議)の合意に基づいて二〇〇七年に稼動を停止していた、同じく寧辺にある五メガワットの黒鉛減速原子炉を再稼動させると表明した。

つまり祖父・父親から受け継いだ課題に加えて、彼は核能力の向上という新たな課題に手をつけたことになる。

金正恩指導部は三月三十一日の党中央委員会総会で、経済建設と核武力建設を並行して行う「並進路線」を打ち出し、核武力を引き続き強化・拡大していくことを宣言した。そして、翌四月一日の最高人民会議で核保有国としての地位を法制化した。つまり核兵器を持ち続け、なおかつ発展させることを法令で定めたのである。こうした流れをたどる限りも、少なくとも核兵器にかんしては金正日の最初の構想からだいぶ逸脱してきていることが指摘されよう。

とはいえ、金正恩の権威をなるべく早く高めようとする金正恩指導部の立場からすれば、これはきわめて合理的な方法であったと思われる。対米関係におけるマイナスを差し引いても、二〇一二年以来の一連の挑発行為は、金正恩指導部にとってプラスに作用するものであったと言ってよい。

「具体的に金正恩がプレゼンスを高めるためにやっていることとして特筆すべきは、核能力向上である」と筆者は述べています。国際社会を震撼させ、内部から尊敬を集めるのに手っ取り早いのは核開発であり、具体的な行動にも落とし込んでいる、ということです。

本来はそこにかける予算を国内の経済再建に振り向けるべきなのではないか、という疑念が振り払えないのですが、そのような足の長い政策を打てるような状況ではない、ということではないかとぼくは推測をしています。

金正日からいきなり最高指導者としての地位を引き継いだはいいものの、まだまだ国内で権力を掌握し切れていない。そのために、早く国内外から認められる「実績」を作りたい。そのツールとしてもっとも適切だったのが「核開発」であるという流れですね。

北朝鮮は、アメリカの影響力が強い日本や韓国、超大国である中国やロシアに囲まれ、しかも経済レベルも低いというきわめて不安定な立場にある国です。なんとか国としての体裁を保つためにも、「核開発」をアピールし続けるしかないということなのでしょう。

とはいえ、これだと泥沼ですよね。「核開発を実施し続けることは本当に損なのだ」ということを北朝鮮ないしは金正恩に納得させるような状況を作らない限り、緊迫した状況は継続することでしょう。

北朝鮮を理解したいなら「北朝鮮で何が起きているのか」はオススメ

今回は金正恩にかかわるところを中心に紹介しましたが、他にも事実に基づいた記載が多い良書です。北朝鮮は過激な活動がピックアップされがちですが、その背後にあるロジックを理解したい方は一読してみてはいかがでしょうか。

 

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