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戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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企業改革のリアルを小説で学べる!「戦略参謀」は最強のコンサル小説だ。

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。ぼくの個人的意見ですが、本は「面白い」か「役に立つ」のどちらかの性質を備えている必要があると考えています。

もちろん読み方は人それぞれ自由なのですが、「面白みもなく役に立つわけでもない本」を読んでも時間の無駄じゃないかとぼくは思っています。ですのでぼくは「面白い」もしくは「役に立つ」という本を読み、息抜きをしたり自分の知識増強に役立てたりしているわけです。

最近この二つの性質を超ハイレベルにバランスさせている本に出会いましたので、みなさんにも強くオススメさせてください。それが「戦略参謀」です。

めっちゃ面白い、かつメチャクチャに勉強になる本です。これからも何度も読み返すんだろうな。

アマゾンでの本紹介は下記のとおり。

紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。

だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。

社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組む姿を描くビジネスストーリー。 

実際にあった企業改革の話をベースに、経営改革のプロセスを手に汗握るストーリーとともに解説してくれる小説です。

著者は元マッキンゼーの稲田将人氏。キラキラのキャリアですね。

稲田将人(いなだ・まさと) 株式会社RE-Engineering Partners代表、経営コンサルタント 早稲田大学大学院理工学研究科修了。豊田自動織機製作所よりの企業派遣で米国コロンビア大学大学院コンピューターサイエンス科にて修士号を取得した後、マッキンゼーアンドカンパニーに入社。

マッキンゼー時代は、大手電気企業、大手建設業、大手流通企業などの戦略策定や経営改革などに携わる。その後は、企業側の依頼により、大手企業の代表取締役社長、役員、事業・営業責任者として売上V字回復、収益性強化などの企業改革を行う。

これまで経営改革に携わったおもな企業には、アオキインターナショナル(現Aoki HD)、ワールド、ロック・フィールド、日本コカ・コーラ、三城、卑弥呼などがある。 2008年8月に㈱RE-Engineering Partnersを設立。成長軌道入れのための企業変革を外部スタッフや役員などの役目で請け負う。

戦略構築、しくみづくりにとどまらず、社内に機動的な参謀チーム、改革スタッフを養成し、企業が永続的に発展するための社内の習慣づけ、文化づくりを行い、事業の着実な成長軌道入れまでを行えるのが強み。ワールドでは、低迷していた大型ブランドを再活性化し、再成長軌道入れを実現する。

この本はいわゆる「マッキンゼー本」とは一線を画す、超良質な小説でありビジネス書です。ビジネスパーソンである稲田氏ですが、そこらの小説家の数倍話の組み立てもうまいですし、心が動かされる場面も多々あります。主人公の高山や室長の伊奈木、コンサルタントの安倍野や悪役の阿久津など、リアルかつキャラ立ちしていて読んでいてとてもわくわくしますね。

さらに実際にあったケースを扱っているので、経営改革に必要な生きた知識をどんどん吸収することができる非常にコストパフォーマンスの良い本だともいえます。

では、紹介していきます!

PDCAを回せない企業には明日がない

「戦略参謀」ではとにかくPDCAの重要性が語られます。「いまさらPDCA?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「戦略参謀」を読み進めていくとその真の威力、重要性に気づかされることでしょう。

「今日の話である、この手の資料の書き方は、実は、ある程度の規模を超えた企業が正しくPDCAを回すために必要な技術のことなんだ。PDCAは、状況に応じた修正行動をとるための基本動作でもあり、企業にとっての学習行動だ。PDCAを回せない会社は学習できない、つまり企業の能力が高まっていかないと言っても過言ではない」

「そうなんですか」

高山には正直なところ、ピンとこなかった。

「なんだか、不思議そうな顔をしているな。大会社には、いい学校を出た、まわりからは優秀と言われる人材が集まってくる。でも、この話はその組織にいる個人のIQや学力の話とは全く関係ない。企業が優秀かどうかは、組織としてPDCAを回す能力を、謙虚な姿勢で体得し、実践しようとしているかどうかだけの話だ」

「謙虚な姿勢で、ですか?」

「意外に皆、これができないんだ。『自分はまちがった、できていない』っていうことを認めたくない。『幼稚なプライド』だな。人間なんて、どんな年になってもできていないことのほうが圧倒的に多いはずなのに。このしょうもないプライドのせいで、成長が止まったり、判断を誤っていく会社や組織は結構多いな。」

組織や個人の能力が高いほうがいいのは当たり前ですが、それよりも重要なのはしっかりとプランをたて、実行し、それを定量的に計測し、改善していくPDCAサイクルをまわすことです。いくら初期能力が高かったとしても、ずさんな計画を立てたりそもそも実行しなかったりした場合、組織の力はどんどん落ちていってしまいます。

これは実際に働いていても感じることです。もともと立てたプランがしっかりと組織の全員の頭の中に叩き込まれていて、それにもとづいて行動&計測ができている組織は非常に強いです。逆にふわふわしたお題目を掲げるばかりでその実自分の保身しか考えていないような組織の脆さもまた驚くべきものです。

しっかりとPDCAをまわせるかどうか。簡単なようで実際にできている組織はほとんどないといってもよいでしょう。

一人一人が前向きなエネルギーを発揮できているか

企業改革を進めていく中で主人公の高山はさまざまな疑問を持つようになります。そのうちのひとつが「人を大切にする会社」とはいったいなんだろう、というものです。

「うちは人を大事にしますよ」「人こそがわが社の資産ですよ」という会社は枚挙に暇がありませんが、具体的にはどういうことなのかよくわかりませんよね。このことについてコンサルタントの安倍野がびしっと答えてくれます。

「企業は、働く者がそこで力を高め、自身の力を発揮して事業に貢献し、そして企業が市場に貢献する。結果としてその存在自体が意義のある会社として発展していく。こう考えるのが一番収まりがいいと思う。市場も企業も、そしてそこで働く者も皆が幸せになれるからだ」

「今の説明、といいますか定義はわかりやすいです」

「君の質問である、人を大切にする会社、っていうのは、こういう考えを持つ会社じゃないか。そして、簡単なことではないが、こういう会社づくりにチャレンジするっていうのもいい生き方だと思うがな」

高山は笑顔になりながら、安部野の話のメモを取っていた。

「世の中に足跡を残してきたのは、保身に走った人たちではなく、道を開こうとあがいた人たちだ。どういう人生にするかは、自分で選ぶことだ。」

日々サラリーマンとして働いていると、どうしても普段の生活をどうやって乗り切ろうかなど「俗っぽい」ことが気になってしまいます。「自分の企業が社会に貢献するためには何をすればいいか」と真剣に考えながら自分の力を高めているような人はほとんどいないでしょう。

しかし、自分の給料や地位のことばかりを考えて仕事をしている人が増えると、企業全体としても「社会に貢献しよう」という方向性がなくなってしまい、クライアントから愛想をつかされることになりかねません。そうなって一番困るのはそこに勤めているサラリーマン自身なのです。

狭すぎる視点を持って働くと最終的に自分の首を絞めることになります。自分の企業がどうやって社会に貢献すべきか、そのためには自分には何ができるのか、深く考えながら仕事をしていきたいものですね。

戦略参謀は「成功した創業者」の精神にのっとって行動する

企業改革を進めていく途上で成長していく高山。創業者が彼の働きに目を見張り、下記のようなコメントを残します。

「大久保からも、経緯は聞きました。確かに、伊奈木さん、そして高山君の動きは、創業者ならば、こう動くだろうという動きをしてくれたと思いますな。社長のやるべき仕事の一部、つまり重要な課題への対応を自ら代行して、自分で判断をしながら動いてくれたと思うとります。企業の中の戦略参謀ちゅうのは、まさにこういうものなんやろなと思いました。」

ただ外から口を出すだけでなく、重要な課題に対して自ら切り込んでいき、正当な判断をしながら結果を出し続ける。それが「戦略参謀」の仕事なのです。

会社でただ働いているだけでは「何が自分の会社の課題なのか」ということがそもそもわかりません。自社の強みや弱み、これから改善していかなければいけないこと等を意識している人はほとんどいないのではないでしょうか。「それは上が考えればいいことだよね」という風に逃げてしまっている人が大半だと思います。

せっかく会社という場があるのですから、そこを良くしようと一生懸命がんばってみる、そういう経験をしてもいいですよね。つらいことも多いかもしれませんが、チャレンジする価値はあるでしょう。

企業改革やコンサルティングのリアルに興味がある人は必読。

小説として抜群の面白さを持ちつつ、リアルな企業改革の現場を疑似体験できる良書が「戦略参謀」です。非常に面白いですし勉強にもなるので、企業改革やコンサルティングについて興味がある人は読んでみることをお勧めします。

ぼくも早くこのレベルにまで達せられるといいな。

 

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