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トランプ大統領の公約39個を紹介する

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。ついに大統領となったトランプ氏、その過激な言動から注目されていますが、果たしてどのような政策を実行するのでしょうか。

「トランプやばい!」「世界終わった!」と騒ぐのもいいですが、まずは彼がどのようなことを言っているのか、それを理解するのが一番最初にくるべきとぼくは考えています。何も知らずに批判しても、得るものはないですからね。

アメリカのニュースサイト、Mashable.comでトランプ氏の公約が39個にまとまっていましたので、日本語に訳していこうかと。

mashable.com

公約1:メキシコ-米国間へのグレートウォール建設

The Great Wall, of course! And he swears he'll make Mexico pay for it no matter what Mexico says.

きましたね、グレートウォール。日本語に訳すとこんなかんじ。

グレートウォール!トランプ氏は、メキシコが何を言おうとその建築費を負担させようとしている。

ある意味とてもわかりやすい不法入国禁止政策ではあります。しかしながら、これがどれだけ不法移民対策になるのかは不透明なところ。後のほうに出てきますが、生体認証システム導入のほうが幾分コストパフォーマンスが良いのではないでしょうか。

そして、メチャクチャなのはそのコストをメキシコに負担させようとしていることですね。これはさすがにムリでしょう。メキシコがアメリカの州の一部とかならまだしも、独立した別国家に何十億ドルもかかるであろう大工事をやらせるのは筋が通りません。

トランプ氏はこの政策に何を見出しているのか、正直いまだにしっくり来ていません。不法移民対策として非常に派手なので、選挙の撒き餌として使った、というのがもっとも納得できる説明であるとは考えています。とすると、この政策は実現しないと見るのが正しいのではないでしょうか。

もしこれを強制的に実施したとしても、誰も幸せにならない気がしますしね。

公約2:不法移民への取り締まり強化

Besides expanding the border patrol and preventing immigrants from coming in to the country, Trump also wants to boot at least 5 million undocumented immigrants out.

不法移民の侵入防止および、国内にいる不法移民の強制退去ですね。

国境巡回を強化し、不法移民の国内進入を防ぐ。また少なくとも500万人の不法移民を国外退去させる。

具体的にどうやるのだろう、という疑問は残りますが、不法移民を退去させるということそれ自体には妥当性はあると考えています。

アメリカはもともと「人種のるつぼ」といわれるぐらい多くの人種が共生している国ではありますが、だからといって不法滞在が黙認されるべきだとは思いません。特にISIS等によるテロ不安が増大している現在、ある程度支持を得られる政策なのではないでしょうか。だからこそ、グレートウォールのような非現実的な主張は控えたほうがいいのではないか、と個人的には思うのですが・・・。

また、「不法滞在」の定義を捻じ曲げて、まっとうに生きている移民をも排斥するような動きには繋がらないようにして欲しいですね。そうでないと、さらにアメリカ国内での軋轢が増加する可能性があります。

公約3:「サンクチュアリ・シティ」の撤廃

Trump also made a priority of ending "sanctuary cities," those places that have policies or laws limiting how much local government agencies can work with federal authorities on immigration issues.

3つ目も移民関連。サンクチュアリ・シティの撤廃ですね。

「サンクチュアリ・シティ」の撤廃。これらの都市は、移民関連問題に関して、地方自治体の連邦機関との協力を制限する方針や条例を有している。

サンクチュアリ・シティについては国内でも批判があるようです。

newsphere.jp

“サンクチュアリ・シティ”と呼ばれる移民保護を掲げる全米の主要都市(ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンDCなど31都市)では、警察は容疑者の不法滞在歴を調べたり、滞在状況に影響を受けてはならない、としている。サンフランシスコ市当局も今回、複数のメディアの取材に対し、「未登録移民に対する寛大な方針により、これまでも必ずしも連邦当局の引き渡し要求には応じていない」と答えている。

もともとアメリカはイギリスからの移民が作った国でもあり、移民こそが国力のベースであるという意見も根強いのではないでしょうか。だからこそ、このような「サンクチュアリ・シティ」ができたのだと考えられます。

しかしながら、不法移民による治安悪化に耐えかね、これらの撤廃を望む人々がいたとしても不思議ではありません。州の権力が強いアメリカでこれを実現するのは難しいですが、そこはトランプ氏の手腕が問われるところでしょう。

公約4:移民の成功可能性に基づいた入国審査

He promised to vet and select immigrants to admit to the U.S. based on the likelihood of their success in the U.S., turning immigration into an audition process.

これは面白いですね。「成功可能性に基づいた入国審査」です。

アメリカでの成功可能性に基づき、移民の入国審査を強化すること。

言い方は悪いですが、「金儲けの才能ないヤツはアメリカに入れないよ」ということですね。犯罪歴などで移民を却下するのはまあよいですが、これはいかがなものでしょうか。

「成功可能性」なんてものを定量的に判断できるとは思えないので、実質的には移民をいれないための口実に使われる気もします。入国審査時点で持っている資産で判断したりするのでしょうか。厳密にはそれは「成功可能性」とはいえませんが、あり得る政策かもしれませんね。

公約5:生体認証ビザ追跡システム導入

Trump wants to implement a "biometric entry-exit visa tracking system," an idea that's been on the table for some time but still hasn't come to fruition.

生体認証ビザ追跡システムの導入。しかし、まだうまくはいっていないとのこと。

「生体認証ビザ追跡システム」の実装と導入。昔から議題にはあがっているものの、成果は上がっていない。

すでに、アメリカ入国時には指紋や顔写真などの生体情報は取られていますが、これをもとに国内および国外での動向も把握できるようなシステムでしょうか。遅かれ早かれこれは導入されそうです。

テクノロジの進化は目覚しいスピードで行われていて、一度写真や指紋などの生体データをとられたら、その後ずっとトラッキングされるような世界はもうすぐそこまで来ています。アメリカの先進テクノロジが「テロとの戦い」という大義名分を得て、多くの人を監視するために使われるのかもしれません。

公約6:テロ対象の国からの移民禁止

He's soften his anti-Muslim stance, though only a little, calling to ban immigration "from any nation that has been compromised by terrorism" (which would, presumably, include countries the Great Britain and France).

これもまた過激ですね。

トランプ氏は反イスラムの若干姿勢を和らげているが、テロ対象となっている国家からの移民を禁止するよう呼びかけている(おそらく、イギリスとフランスをも含む)。

テロを完全に抑止するため、友好国である西側諸国からの移民すら禁ずるという意図がトランプ氏にはあるようです。テロがよく起こる国にはテロリストが潜伏している可能性が高い、というのは正しそうな推論ですので、わからなくはないです。しかし、これがもとでアメリカが孤立する可能性もあるのではないでしょうか。

もともと移民により発展したアメリカですが、このように全世界から移民を禁ずることにより、長期的に衰退していってしまう可能性もあるかなと。今までの開放的なイメージを捨ててしまうのは、果たして得なのかどうか。

公約7:モスクの監視

Trump suggested the controversial practice of surveilling mosques, behavior that some have said is unconstitutional.

イスラム教徒が多く集まるモスクについてもトランプ氏は言及しています。

トランプ氏は、今までも論争の種となってきた「モスク監視」の導入を推奨している。たびたび、これは違憲ではないかともいわれるものだ。

下記の記事が参考になるかもしれません。

jp.sputniknews.com

米大統領選で共和党の指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏は、テレビ局フォックス&フレンズのインタビューで、米国にある全てのモスクを検査する必要があると述べた。

過激派イスラム教徒が潜伏する可能性を徹底的に排除してやる、という強い意思を感じる政策です。

具体的に「検査」とは何をやるのでしょうか。ムスリムにとってモスクは非常に神聖な祈りの場であり、そこに土足で踏み込んで「検査」をするのは新たな火種を撒き散らすことに繋がりはしないでしょうか。

宗教がらみの問題を軽率に扱うと、一気に大問題に発展するので、軽率な政策にならないことを祈っています。

公約8:シリア難民救済プログラム撤廃

The immigration policy proposals also extend to suspending the Syrian Refugee program and either removing refugees or creating a database of refugees already in the U.S.

移民への厳しい政策が続きますね。

移民政策は、シリア難民プログラムの中止、難民排除、米国内に存在する難民データベースの作成まで拡大している。

トランプ氏にとって、移民への締め付け = テロ対策という図式が成り立っているようです。100%それが成り立つとは思いませんが、一定の効果はあげられるでしょう。

ただ、それが移民からの怨嗟の声を招き、憎しみの連鎖になる可能性もありますね。ここで言及されている「難民データベース」は、公約5で述べられている生体認証システムと紐づいたものとなるでしょう。難民のみならず、すべての入国者の生体データが取られ、データベース管理されるのかもしれません。

公約9:オバマ大統領令キャンセル

Trump has promised to cancel executive orders issued by President Obama, which include increased regulations on greenhouse gas emissions from plants and applying the Family Medical Leave Act to same-sex couples.

次はオバマ氏の政策の撤回です。

トランプ氏は、工場からの温室効果ガス排出規制の強化、同性カップルへの育児介護休暇法の適用などの、オバマ大統領による大統領令をキャンセルすると約束した。

閣僚一覧を見てみてもわかりますが、トランプ政権はオバマ氏の政策に真っ向から反対する保守主義者が多いです。温室効果ガス排出規制や同性婚への反対などは、ほぼすべての閣僚が明確に主張しています。

★参考記事

特に富裕層はオバマ氏の政策には反対しており、一定の支持は得られるものと考えています。ただ、オバマ氏のもとで推進されてきたグリーン政策が振り出しに戻ってしまうのは少々残念ですね。

トランプ氏とオバマ氏の思想はまさに正反対といってもいいもの。良い悪いはさておき、アメリカが劇的に変化するであろうことはほぼ確実といえるでしょう。

公約10:ヒラリー・クリントンのメール漏洩問題の継続調査

Throughout the campaign, including at presidential debates, Trump has promised to appoint a special prosecutor to continue the investigation of Hillary Clinton and her private email server.

ヒラリー・クリントンの追い込みについても言及していますね。

トランプ氏は、ヒラリー・クリントン自身およびメールサーバーの私的利用に関する調査を続けるために特別検事を任命すると約束した。

クリントン氏のメール問題については、下記の記事がわかりやすいです。

jp.wsj.com

プライバシーと国家の安全保障という例外はあるものの、米政府の文書は国民が所有するもので、いずれは報道陣や研究者に公開される。

政府は自動的に文書を収集するメカニズムを整えている。これには政府のシステムを通過する電子メールのアーカイブ保管も含まれる。

クリントン氏が私的な電子メールアカウントを使用していたことで、連邦政府の公文書保管人の仕事が複雑になる可能性がある。さらに、2012年9月にリビアのベンガジで起きた米領事館襲撃事件を調査している下院特別委員会の作業に支障が生じる可能性がある。

ヒラリー氏のメール問題は大統領選挙中にも非常に大きな問題となっていました。ここをしっかりと究明することで、今後のセキュリティ対策の一助となる可能性はあります。ヒラリー氏だけでなく、過去の政治家たちも私的にメールを使っていたという報道もありましたので、再発防止のためにある程度追加調査するのは良いことでしょう。

これは、今まで政治に携わってこなかったトランプ氏だからこそ、徹底的に追求できるのでしょうね。

公約11:オバマケア廃止

Another staple of Trump's domestic platform is the long-standing Republican threat to repeal the Affordable Care Act (aka "Obamacare") and create a "dynamic" national market rather than the current regional market.

これも有名な政策の一つ、「オバマケア」の廃止ですね。オバマケアには賛否両論ありましたが、トランプ氏はこれを完全に廃止すると主張しています。

トランプ氏の重要な政策の一つは、長い間共和党の脅威となっていた、患者保護並びに医療費負担適正化法(いわゆるオバマケア)を廃止し、地域限定の市場ではなくダイナミックな国家市場を作り出そうとするものである。

オバマケアとはいったいなんなのか。一言でいうと、民間より安価な公的医療保険への加入を国民に義務付ける制度のことです。

kotobank.jp

では、なぜこの制度がアメリカの保守派によって批判されるのでしょうか。この記事がわかりやすいですね。

www.newsweekjapan.jp

それにしても、国民皆保険が「ない」社会というのはどう考えても不安なはずですが、どうしてアメリカの保守派は「平気で反対」するのでしょうか?

その前提には、多くのアメリカ人は現在でも保険に入っており、自分たちは医療費の心配は余りしなくていいという状況があります。つまり基本的にフルタイムの雇用があって職場の保険に加入している人、自営業で高額の自己負担保険を買って入っている人、つまり既存の「民間の医療保険に加入している人」というのは、基本的には「オバマケア」がなくてもいいのです。

これに加えて、今回の「オバマケア」が導入される中で、民間の医療保険に関しては微妙に「不利益変更」が出ています。例えば、新しい法律では「民間の保険でも加入前の健康状態で契約を拒否してはならない」という制度が動き出しているのですが、民間の保険の場合はその分だけ保険料がアップという現象も起きています。

また、「オバマケア」全体の制度改訂の中には「医療費抑制策」も入っていて、そこに引っかかると「過去に受けられていた治療が受けられない」というケースもあるのです。

つまり、元々民間の保険に入っていた人間は、新しい制度になることで「仮に失業しても政府の主管する安い保険に入れる」とか、成人した子供がフルタイム雇用に就く前の期間に入る保険ができたという「万が一の保障」が加わっただけで、基本的には余りメリットはない、事実関係として見ればそういうことになります。

公約12:プランド・ペアレントフッドへの資金供給停止およびロー対ウェイド事件への判決変更

The previously pro-choice Trump has promised to defund Planned Parenthood and appoint Supreme Court Judges to overturn Roe v Wade.

こちらは中絶に関するトランプ氏の発言ですね。

トランプ氏は、プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟)への資金供給を打ち切り、ロー対ウェイド事件を覆すために最高裁判事を任命するだろう。

まず、プランド・ペアレントフッドについて。これは中絶や避妊を推進するNPO団体です。

forbesjapan.com

トランプは選挙戦の間、プランド・ペアレントフッドに対する連邦助成金の支給停止を主張する共和党の方針を支持する考えを表明してきた。

新大統領が就任後にこの問題にどのように対応するかは明らかになっていないものの、「公約」を深刻に受け止めている人たちが、処置を求めて医療施設に押し寄せているのだ。

ロー対ウェイド事件は、妊娠中絶を規制するアメリカの国内法を違憲とした、1973年の最高裁の判決のことです。トランプ氏は、これを覆そうとしています。

ロー対ウェイド事件(ローたいウェイドじけん、Roe v. Wade, 410 U.S. 113 (1973))は、「妊娠を継続するか否かに関する女性の決定はプライバシー権に含まれる」として、アメリカ合衆国憲法修正第14条が女性の堕胎の権利を保障していると初めて判示し、妊娠中絶を規制するアメリカ国内法の大部分を違憲無効とした、1973年のアメリカ合衆国最高裁判所の判決である。

中絶を憲法により保障された権利として堕胎禁止を原則違憲としたロー判決はアメリカ合衆国の法律および政治・社会に多大な影響を及ぼした。中絶を合法化すべきか、憲法裁判における最高裁の役割、政治における宗教のあり方など、判決は様々な分野で大きな議論を巻き起こした。ロー判決はアメリカ史上最も政治論争の対象となっている判例の一つである。

ロー対ウェイド事件 - Wikipedia

キリスト教徒にとって、中絶可否は非常に大きなトピックのようです。個人的には、望まぬ妊娠をしてしまったら中絶もやむをえないかと思いますが、反対する人の気持ちもわかります。

公約13:環境保護庁および教育省の役割削減

Trimming up the federal government has been promised, most notably in a promise to eliminate or reduce the roles of the Environmental Protection Agency and the Department of Education.

環境保護庁と教育省の権限を下げることについて。

環境保護庁と教育省の権限や役割を排除または削減する。

オバマ氏の主張を実現するために動いてきた環境保護庁と教育省の権限をなるべく削ぎ、自分の政策を実現しやすくしようとする動きの一環ですね。

トランプ氏は一貫して経済政策を重視し、アメリカ企業のサポートをしようとしています。特に石油や電力関連の企業の成長を後押しするためには、オバマ氏が進めてきたグリーン政策は邪魔になるという意見を強く持っています。

二酸化炭素排出規制をはじめとする政策はなんとしても中断したいというトランプ氏の意向が強く反映されている公約だといえるのではないでしょうか。

公約14:新たな教育プログラム導入

Trump wants to provide $20 billion for a new school choice program with a "national goal of providing school choice to every one of the 11 million school aged children living in poverty," which would expand charter and private school options for low-income students.

トランプ氏は、新たな教育プログラムを導入しようともしています。

トランプ氏は、新しい学校選択プログラムに200億ドルを提供する考えがある。その目的は、「貧困状態にある1,100万人の子どもすべてに学校の選択肢を提供する」ことであり、チャーター・スクールと私立学校を自由に選べるようにしようとしている。

貧困状態にある家庭にとって、チャンスが広がる政策であるのではないでしょうか。200億ドルもの財源拠出が課題になりそうですが。

ちなみに、チャーター・スクールの説明は下記になります。

チャータースクールは新しいタイプの公立校という説明の仕方がされることもあるが、正しくは公募型研究開発校という方が分かりやすい。

保護者、地域住民、教師、市民活動家などが、その地域で新しいタイプの学校の設立を希望し、その運営のための教員やスタッフを集め、その学校の特徴や設立数年後の到達目標を定めて設立の申請を行う。認可された場合、公的な資金の援助を受けて学校が設立される。運営は設立申請を行った民間のグループが担当する。その意味では、公設民間運営校である。

ただし、所定の年限の内に目標の達成や就学児童が集まらない事態に陥った時には学校は閉校になり、その場合の負債は運営者たちが負うことになる。

チャーター・スクール - Wikipedia

公約15:国内インフラの改善

With talk of filling potholes and fixing bridges, Trump has promised to to redirect globalization funds to rebuilding and improving domestic infrastructure.

ガタガタになってきているアメリカ国内のインフラ改善も目的の一つです。

トランプ氏は、舗装を改善し、橋を修繕するという話のなかで、海外援助のための資金を国内インフラの再構築と改善のために振り向けるという約束をした。

対外的に多くの国をサポートしてきたアメリカですが、その資金を国内向けに振り向けるという話ですね。グレートアメリカ実現のためには必要なことなのでしょう。

移民排斥や中国への増税、グリーン政策撤廃などが大きく取り上げられるトランプ氏ですが、このように国内全体に目を向けたまともな政策もあります。このような公約はあまり目立ちませんが、こういうものにもキチンと目を向けて、トランプ氏の政策について評価を下していきたいところですね。

公約16:国家による業界規制の撤廃

Trump has promised to side with powerful industry interest and roll back what he considers intrusive federal regulations, like the Waters of the U.S. Rule, which determines which waterways are overseen by the EPA, and the EPA's Clean-Power Plan, which regulates the amount of carbon dioxide power plants produce.

業界規制を撤廃し、インフラ企業への経済活動を自由にさせたいという思惑もあるようです。

トランプ氏は、業界側の立場に立ち、侵害的な業界規制撤廃をしようと考えている。環境保護庁によって監督されてきた水路や、二酸化炭素排出量を規制するクリーンパワープランなどがその好例だ。

しかしトランプ氏は環境保護庁が嫌いですね。オバマ氏が進めてきたグリーン政策が本当に嫌いなのか、もしくは自分のビジネスに何かしらの影響を与えてきたという可能性もあります。

幅広くビジネスを展開しているトランプ氏が、オバマ氏ならびにその意向を受けた環境保護庁によって煮え湯を飲まされる、ということがあったのかもしれませんね。もしそうだとすると、この厳しいやり方も理解はできます。

公約17:NAFTAへの姿勢を再定義

A vocal critic of NAFTA, the free trade agreement between the United States, Canada, and Mexico, Trump has said he will renegotiate terms of the treaty or will pull the country out of the agreement.

NAFTAに対してもトランプ氏は批判的なようです。

トランプ氏は、NAFTA(米国、カナダ、メキシコの自由貿易協定)の声明の中で、同条約の再交渉もしくはアメリカの脱退を述べた。

特にメキシコとの不平等な貿易、また自動車業界の利益とバッティングしていることがきっかけのようですね。

jp.wsj.com

次期大統領になることが決まったドナルド・トランプ氏は、就任したらまず、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に着手すると述べてきた。

NAFTAはカナダ、米国とメキシコを結ぶ協定だ。トランプ氏は、メキシコが米国に有利になるような条件変更に同意しないのであれば、協定から離脱すると述べていた。同氏はとりわけメキシコおよび中国との不公平な貿易を批判し、何百万人もの工場労働者の職が失われていると主張している。

公約18:NAFTAによる関税緩和

To the NAFTA point, he's specifically pledged to prevent Ford Motor Company from opening a factory in Mexico or levy huge tariffs against the automaker.

NAFTAに関する話では、特に関税についての条件変更が急務の様です。

彼は特に、フォードがメキシコに工場を建設したり、自動車メーカーに対して巨額の関税を課すのを防ごうとしている。

これについては、日本の自動車メーカーへも影響がありそうです。

newswitch.jp

「うちのメキシコ新工場は、どうなるのか…」。トヨタ自動車首脳は、もしトランプ氏が大統領に就任したらと、こんな不安を漏らしていた。トヨタが19年の稼働に向けメキシコ・グアナフアト州に建設を進めている新工場のことだ。

新工場は北米自由貿易協定(NAFTA)の存在が大前提。年間20万台という生産能力は当然のことながらメキシコ国内の需要を賄うためだけではない。トヨタは新工場を機に米国とカナダを含めた北米全体の生産体制を再編する計画。新工場はトヨタの北米戦略全体に関わる重要拠点となる。

メキシコではトヨタだけでなく日産自動車やホンダ、マツダも近年、新工場を相次ぎ稼働している。選挙期間中、NAFTA離脱を主張してきたトランプ氏。TPPも含めたトランプ氏の貿易政策が実際どうなるのか、日系自動車メーカー各社が注視している。

予想通り、トランプ氏は日本を代表する自動車メーカーであるトヨタにも非常に強硬な姿勢を見せてきました。

toyokeizai.net

米国のドナルド・トランプ次期大統領は1月5日、トヨタ自動車がメキシコ工場の建設を進めていることに関して、ツイッターで「トヨタはアメリカ向けのカローラを生産するため、メキシコのバハ(・カリフォルニア州)に新しい工場を作るという。ありえない!アメリカ国内に工場を作らないなら、高い関税を払え」と警告。メキシコ工場新設の撤回を強く求めた。

(中略)

実際にはトヨタが工場を新設するのはメキシコのバハ・カリフォルニア州ではなく、グアナファト州。トランプ氏のツイッターは正確性を欠いている。ただトヨタはトランプ氏に指摘されたバハの工場でも、1.5億ドル(約172億円)を投じて、2017年末をメドに米国で人気が高いピックアップトラック「タコマ」の生産能力を6割増の年間約16万台に増やす計画で、どちらにしても米国向け輸出を見込んだメキシコへの投資を増やす方向にある。

トヨタとしては、アメリカでもたくさんの人を雇用しているし、いったんメキシコで工場建設を決定し、話も進めてしまっているため、撤退する意向はないようです。しかし、日本を代表する自動車メーカーに対して次期アメリカ大統領が大上段で恫喝するというのは、不穏な空気を感じますね。

トヨタからのコメントを受けて、トランプ氏が「はいそうですか」と引き下がるとは到底思えません。また、この件はトヨタのみならず他の企業も同様に考えるべき問題でもあります。今後の展開に目が離せないですね。

公約19:TPPからの脱退

His other economic policies are just as far-reaching, including the pledge to label China a "currency manipulator" and exit the Trans-Pacific Partnership.

中国への強力な批判、およびTPPからの脱退もトランプ氏の主張の一つです。

彼は、中国を「為替操作国」と名づけると同時に、TPPからの脱退を試みている。

gendai.ismedia.jp

しかも、今回は、米国でのトランプ新政権への政権交代をにらんでの行動かもしれない。トランプ氏は就任早々、中国を「為替操作国」に認定し、米国にとって不当にドル高人民元安である現在の為替レートの是正を求めてくる可能性が高いからだ。

さらに安全保障・外交関連の閣僚に対中強硬派が参画すれば、軍事的な圧力を高めていく可能性も否定できない。

この事態を回避するためには、トランプ新大統領の就任前に人民元安を是正する必要があると認識しているのかもしれない。それゆえ、中国政府は、短期金利の高め誘導に乗り出した可能性がある。

TPPの主目的は、協定を結んだ国同士での関税撤廃が主目的です。トランプ氏は、アメリカ国内の産業を活性化させるため、他国へ高い関税をがんがん導入しようとしているため、TPPで関税が撤廃されたらそれまでの努力が水の泡です。

そういう背景もあり、トランプ氏はTPPを毛嫌いし、脱退を表明しているというわけです。アメリカはTPPの主要参加国ですから、本当に脱退するとなると非常に大きな影響がありますね。

公約20:中国への45%の関税導入

Trump has also promised to implement steep taxes on imports, including a rate of 45% on China.

これもだいぶ強烈な政策です。中国へ45%の関税導入を検討しているとのこと。

トランプ氏はまた、中国に対する45%の関税導入など、関税を急増させることを約束している。

もちろん、中国もだまってはいません。これを本気で実施するのであれば、中国もまたアメリカからの輸入をストップさせる報復措置が取られることは間違いないでしょう。

gigazine.net

大統領選挙戦中にトランプ氏は「中国が人民元の対ドル市場を不正に低水準に保っている」として、中国を為替操作国として認定し、対抗措置として中国からの輸入品に45%もの関税をかけるという経済政策を主張してきました。

トランプ氏が大統領就任後にこの政策を実行するかどうかは、中国の経済にも大きな影響を与える決定となるわけですが、中国当局の機関誌では「トランプ氏は中国に対して貿易戦争を仕掛けるのか?」という記事の中で、「もし経済政策が実行されれば、中国は報復的アプローチを取るでしょう。飛行機の発注はアメリカのボーイングからヨーロッパのエアバスに置き換えられ、アメリカの自動車とiPhoneの売上は転落し、大豆とトウモロコシの輸入は停止するでしょう」と述べています。

中国の経済成長率は飛ぶ鳥を落とす勢いです。そして、中国産の安い製品が全世界の製造業を圧迫していることもまた事実。その流れを食い止めようと、トランプ氏は「中国に45%の関税をかける!」と息巻いているのです。

ただ、そのような強攻策に出たら、もちろん中国は反発します。そういうところで無駄な摩擦が発生してしまうと、世界全体という観点では損失となってしまうのではないでしょうか。自国のみを見るのではなく、世界全体としてどのようにバランスをとっていくのが良いのか、考えてみるべきなのでしょうね。

公約21:2,500万人の新規雇用創出

Without many details, if any, he's promised to create 25 million new jobs.

トランプ氏は莫大な雇用創出を約束しています。

詳細は不明だが、2,500万の新しい雇用創出も約束されている。

実現できれば素敵ですが、これは不可能であるという調査結果もあります。移民排斥を進めつつ、2500万人もの新規雇用というのは、確かに常識的に無理な気が・・・。

www.bloomberg.co.jp

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は気前の良い公約を掲げた。向こう10年間にわたり年間平均250万人の雇用を創出するというものだ。現時点の失業者数が780万人であることを考えれば、実現は困難かもしれない。

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ氏によれば、ベビーブーム世代が引退する中、トランプ氏が目標を達成する唯一の方法は「移民を2倍以上に増やす」ことだ。これはトランプ氏が現在計画している外国人労働者への取り締まり強化と相反する。取り締まりが強化されれば、かえって人手は減ることになろう。

雇用創出を掲げることは簡単ですが、それを実現させるのは想像以上に難しいことです。移民を取り締まりつつ、雇用を増やすという矛盾した政策をどう実行するのか、トランプ政権は目星がついているのでしょうか。

公約22:安定した経済成長

Trump has made a similarly specifics-light pledge to reach a 4 percent growth rate for the economy after initial 3.5 percent growth per year.

経済全体については、安定した成長を約束していますね。

トランプ氏は、まず年率3.5%の成長を目指し、その後4%の成長率に達することを目的としています。

安定的な経済成長は非常に重要なことでありますが、結局は個別具体的な政策の結果として出てくるものですから、ここについては何とも言えませんね。

経済成長に大切な要素のひとつが労働投入量の増加なのですが、労働力の一角を担っている移民を増やすどころか排斥するという政策を採ろうとしているトランプ政権に、これを実現させることができるのでしょうか。テクノロジの進化があるとはいえ、少々疑問符がつくところではありますね。

公約23:大幅な減税

He's said he will implement major tax cuts, including reduction of seven tax brackets down to three, but hasn't offered how he would offset the increased debts that cuts would incur.

大幅な減税も実施するとのことです。

7つの累進税率を3つに減らすことを含む、大規模な減税を実施するとしている。ただ、その現在の影響をどう相殺するかについては言及していない。

トランプ氏の大幅減税についての全容については、下記の記事がわかりやすいです。

jp.reuters.com

私の目を引いたのはトランプ減税の規模を推計した報告だった。減税案は大きく分けて、

1)法人税減税(税率を35%から15%に引き下げ)
2)個人所得税の減税(現行の7段階の累進税率を12%、25%、33%に引き下げ、最高税率は現行の39.6%から33%に引き下げ)
3)キャピタルゲイン並びに配当に対する減税延長(現行の0%、15%、20%の税率を維持)
4)相続税の撤廃

などからなる。

これが本当に実施されるとしたら驚くべき大幅減税です。富裕層は大歓迎でしょうね。しかし、グレートウォール建設やISIS殲滅などいろいろあるのに、財源は大丈夫なのでしょうか・・・。本当にメキシコに出させるつもりなのですかね。

公約24:家族関連法制度整備

A childcare plan that allows parents to deduct child-care expenses from their income taxes, give new mothers six weeks of paid leave, and an Expanded Earned Income Tax Credit for low-income families.

低所得者や新生児がいる家庭にも、手厚いサポートを約束しています。

所得税から育児費用を控除できるチャイルドケアプランや、母親に6週間の有給休暇を与える制度、低所得者家族のために所得税額控除拡大など。

これは共働きの家庭にとってはうれしいですね。ぼくも子どもがいたらこの制度は大賛成です。これだけで彼に投票する理由になるかもしれません。

移民をこれ以上アメリカにいれないという前提に立つと、なるべく現在のアメリカ国民の数を増やさなければなりません。そのため、子どもを生み育てるインセンティブを与えるために、このような施策を打っていると考えられます。

もちろん一定の効果はあるでしょうが、どこまで出生率および人口増加率に効いてくるのかは未知数です。

公約25:銃規制緩和および撤廃

Trump has been an outspoken (sometimes too outspoken) defender of the Second Amendment which includes a promise to remove all "gun-free zones".

銃規制の緩和および撤廃ですね。これは恐ろすぎると個人的には思います。移民排斥と銃規制緩和を合わせて考えると、下手したら内戦状態や虐殺が起こるのではないでしょうか。

トランプは、すべての「ガンフリーゾーン」を撤廃するという条項を含む、アメリカ合衆国憲法補正第2条の率直な(あまりにも率直な)支持者である。

トランプ氏は、「銃乱射を止めるのは銃である」という発言もしています。

jp.wsj.com

「銃を持つ人の数が増えれば防御力が上がるだろう。正しい人間が銃を持つことになるのだから」

トランプ氏は、番組司会者チャック・トッド氏とのインタビューで、乱射事件の広がりに寄与しているのは全米規模の厳しい銃規制の欠如ではなく、心の病や「模倣犯罪」的な殺人だと指摘。自身もニューヨーク市での銃携行免許を持っているという同氏は「銃の有無は問題ではない」とし、「精神を病んでいる人々がいる。彼らは見過ごされているのだ。彼らは人々が可能だと信じさえしないことをやろうとするのだ」と述べた。

これは少々暴論といわざるを得ません。少し検証すれば、銃規制があるところとないところで銃を使った犯罪発生率は有意に差が出るはずです。

もう少し論理を練らないと、このままでは格好の批判の的になってしまうのではないかと個人的には考えています。

公約26:銃購入のための権利

He wants to reform background checks for gun purchases and implement right to carry in all 50 states.

銃購入の権利についても、もちろん彼は肯定的です。

トランプ氏は銃購入のための身元確認制度を改革し、全50州に実施しようとしている。

ここについては、ヒラリー氏との争点にもなっていたポイントでした。ヒラリー氏は身元調査を強化しようとしていましたが、トランプ氏はそれに反対していました。

www.sankei.com

大統領選では、民主党候補のクリントン前国務長官が「個人の銃保有の権利は尊重する」としながらも、銃購入者の身元・犯歴調査や、殺傷力の高い銃の販売制限など規制強化を訴えた。これに対し、全米ライフル協会(NRA)の強力な支持を受けたトランプ氏は、「全米でもっとも銃規制が厳しいシカゴ市では銃犯罪が多発している」などとして、規制に反対した。

公約27:治安維持強化

He has promised to bring back the controversial police policy of stop-and-frisk, at least in Chicago.

治安改善にとってもトランプ氏は言及しています。

少なくともシカゴでは、しっかりした警察政策を取り戻すと約束している。

シカゴの治安は悪化の一途をたどっており、ここの治安を回復することをトランプ氏は約束しています。

www.newsweekjapan.jp

「残念だがシカゴは死にかけている。うわべはまともな社会に見えるかもしれないが、ダウンタウンから2ブロックも歩けばすぐに荒れ地にぶち当たる」。シカゴのラッパー、ルーペ・フィアスコはそう語る。暴力によって崩壊しつつある街──それがシカゴだ。犯罪件数は増加を続け、昨年の殺人件数は506件と前年比16%増。500件を超えたのは4年ぶりだ。人口270万人と全米第3位の大都市だが、殺人発生率ではトップを独走している。

シカゴはスマートシティ等の取り組みも積極的にしている都市ではあるのですが、確かに治安が悪いイメージもまたありますね。「ダウンタウンから2ブロック歩けばすぐに荒れ地」って怖すぎる。

公約28:サイバーセキュリティ強化

Creating a "Cyber Review Team" made up of members of "the military, law enforcement, and the private sector," whatever that means, is Trump's primary proposal to fight hacking and cyber crimes.

サイバーレビューチームの創設も大々的に主張しています。これはさすがアメリカといったところでしょうか。

軍、法的機関、プライベートセクターで構成された「サイバーレビューチーム」の創設。ハッキングやサイバー犯罪と戦うためのトランプ氏の提案である。

具体的な政策については見えないですが、どのように実施されていくか興味深いところではありますね。

scan.netsecurity.ne.jp

2016年10月の大統領選テレビ討論会において、トランプ氏はサイバーセキュリティを「優先して取り組む最重要政策のひとつ」と位置づけ、軍、司法当局、民間部門の専門家から構成される「サイバー・レビュー・チーム」を結成し、国家の重要インフラなどにおけるサイバー攻撃からの脆弱性検知および防衛強化にあたる方針を示している。

このほかにも、いくつかの政策を提案しているが、どの程度実行するかについてはまったく予想できない状況としている。

公約29:退役軍人省改革

Another large pillar of Trump's platform has been a 10-point plan to reform the Department of Veteran Affairs, including a total staff overhaul and a White House "hotline" for vets.

トランプ氏は退役軍人省を一気に改革する意向もあるようです。

トランプ氏には、職員やホワイトハウスの「ホットライン」総点検のため、退役軍人省を改革する10の計画がある。

退役軍人省はだいぶ大きな規模がある省ですね。ここの改革はなかなか骨が折れそうです。

アメリカ合衆国退役軍人省(アメリカがっしゅうこくたいえきぐんじんしょう、英語:United States Department of Veterans Affairs、略称:VA)は、アメリカ合衆国連邦政府の官庁で退役軍人に関わる行政を所掌している。本省はアメリカ合衆国国防総省に次いで連邦政府で2番目の規模を有している。

2009年度は約876億米ドルの予算が与えられ、約28万人の職員を雇用し数百の退役軍人用医療施設、診療所および給付事務所を有し、そして退役軍人とその家族および遺族に対して退役軍人給付プログラムを管理する責任を負う。

提供される福利厚生には障害補償、年金、教育、住宅ローン、職業リハビリテーション、遺族給付、医療給付および埋葬給付が含まれ、これらはアメリカ合衆国退役軍人長官の責任下で提供される。

アメリカ合衆国退役軍人省 - Wikipedia

公約30:アメリカ軍再構築

Trump has focused on a dramatic build-up of the U.S. military, including 540,000 active U.S. Army soldiers, new missile defense system, and a full audit of the Pentagon.

ISISと戦うにあたっての米軍大改革をトランプ氏は目指してします。これは確実に実行されるでしょう。

トランプ氏は、54万人の米軍兵士、新たなミサイル防衛システム、ペンタゴンの全面監査など、米軍を劇的に改革しようとしている。

www.nikkei.com

共和党の大統領候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(70)は7日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで演説し、大統領就任後の軍事政策を発表した。米陸軍の規模を46万人(予算要求ベース)から54万人に増強、海兵隊を24大隊から36大隊に、海軍の艦船などを約300隻から350隻に増やすと表明した。

過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦については「就任から30日以内に司令官に計画を提出させる」と述べるにとどめた。これまでトランプ氏は「ISのことは軍司令官よりよく知っている」などと豪語していたが、具体的な作戦は明かしていなかった。

トランプ氏は演説で「我々がとてつもない安全保障を提供しているドイツや日本、韓国、サウジアラビアのような国に、もっと対価を払うよう謹んで求める」と発言。日本などの同盟国に駐留米軍の経費負担を増やすよう改めて求めた。

公約31:石油掘削量増大

Oil is a big focus for Trump, including his promise to drill into the nation's reported "$50 trillion in untapped shale, oil, and natural gas reserves" by increasing offshore drilling and drilling on federal lands.

もともと超有能なビジネスパーソンでもあるトランプ氏。シェールガスや石油採掘にも積極的に取り組もうとしています。

沖合いの掘削量を増加させ、シェールガスや石油など、50兆ドル分以上ともいわれる埋蔵エネルギーを確保しようとしている。

これは、国務長官にエクソンモービルのCEOであるティラーソン氏を指名していることからも、本気であることがうかがえます。

www.sankei.com

米共和党のトランプ次期米大統領は12日、最重要閣僚の国務長官に米石油大手エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏(64)を指名する方針を固め、13日に正式発表する。米メディアが一斉に報じた。大企業を経営した手腕や原油国のロシアと取引をしてきた経験が評価されたとみられる。

「石油の時代は終わった」という声もちらほら聞かれますが、やはりまだまだ石油依存は続くのでしょう。それを見越して、石油の掘削量を増加させ、自国のエネルギー状況を安定化させたいという意図が汲み取れます。

クリーンな自然エネルギーだけで全人類の消費を賄えるようになるのは、まだまだ先の話ということなのでしょうね。

公約32:OPECからの独立

Trump has further promised to have the United States become energy independent from OPEC and "any nations hostile to our interests."

先述のように、アメリカ国内でのエネルギー採掘を増やすことで、OPECからの影響力を減少させようともしています。

トランプ氏はさらに、米国をOPECと「アメリカに敵対する国家」から独立させることを約束した。

jp.sputniknews.com

トランプ氏の発言はOPECの石油大臣たちに不安と悲観を植え付けた。OPEC諸国は今極めて複雑な選択に直面している。

一方には、一部の加盟国の予算は均衡を要求しており、そのためより高い原油価格が必要となっている。それはOPECを産油割当量削減の決定へと押しやるはずだ。他方、米国で、国内のシェール生産増大を公約したトランプ氏が勝利した。

公約33:イラクの石油備蓄接収

Additionally, Trump has spoken on his plans to seize oil deposits in Iraq.

唐突で驚きましたが、イラクの石油備蓄を接収しようとする計画もあるようです。

さらに、トランプはイラクの石油備蓄を接収しようとしている。

イラクに対するアメリカの影響力は強いですから、それを生かした政策でしょうか。もうすこし詳しく調べてみたいところ。

公約34:拷問の認可

Trump has made pledges in the war on terror that have raised eyebrows, including his pledge to "take out" the families of terrorists and bring back torture protocols, like waterboarding, as interrogation techniques.

拷問の認可についてもトランプ氏はたびたび言及しています。

トランプ氏は、テロリストの家族の「Take out」、ウォーターボーディングのような拷問認可などにより、恐怖との戦いに備えようとしている。

ウォーターボーディングについて調べてみましたが、これはだいぶエグいですね・・・。

背中を板に固定して頭に袋をかぶせて、頭を下に向けた逆立ちの状態で顔の上、あるいは袋に穴をあけ口や鼻の穴に水を直接注ぎ込むことで急速に窒息を生じさせる。頭を水槽などに押さえつけると息を止めて抵抗されるが、逆さまの状態で水を口や鼻の穴に注ぎ込まれると気管の咽頭反射で肺から空気が放出され即に溺水状態に追い込めるため溺れ死ぬ感覚が簡単に誘導できる。日本語では「水責め尋問」と訳されることが多い。

殴るあるいは感電などの拷問は苦痛を与えることはできるが死の恐怖を実演することは難しい。一方でこの水攻めの内容を予め知らない場合は簡単に溺死する錯覚に陥り、死の恐怖で短期間に自白を強要できるとされている。さらに身体を殴るなどの拷問に比べて傷が一切残らないなどの利点が存在する。

各国の軍隊の特殊部隊においては捕虜となった時のことを想定して、この拷問の経験が訓練に取り込まれている。溺死の錯覚は正確には痛覚ではない。このことからアメリカ合衆国政府は、身体を損傷しない限りは拷問ではなく強度の尋問(英: enhanced interrogation)であり拷問を禁止するジュネーヴ条約に違反しないと主張している。

一部のメディアなどでウォーターボーディングの実演が行われたが、場合によっては事故死もありえる拷問であり、被験者は免責の条項にサインしているだけでなく必ず医師が現場に同伴するという安全措置がとられている。

公約35:イスラム教委員会設置

Continuing his controversial platform with regards to relations with Muslims, Trump has promised to create a Commission on Radical Islam to explain aspects of Radical Islam to Americans.

イスラム過激派についての委員会を設置し、アメリカ人にイスラム過激派について説明するという公約もあります。

トランプ氏は、ムスリムとの関係について論争を続けているが、イスラム過激派についてアメリカ人に説明するためのイスラム教委員会を設置することを約束している。

どのようなものになるのかわかりませんが、一方に拠りすぎた説明にならないようにはしてほしいですね。難しいと思いますが。

公約36:ISISの殲滅

He will apparently "crush and destroy ISIS" like it's NBD.

トランプ政策の本丸、ISISの殲滅です。

トランプ氏は、「たいしたことないよ」といいながらISISを殲滅するでしょう。

これについては改めて言う必要もないほど強調されています。もちろん、これについては徹底的に実施されるでしょうね。

ISISに対して、オバマ氏は若干逃げ腰だったという批判もあります。トランプ氏はここを見事について支持を得たという側面があるため、中途半端な政策をすることは許されないでしょう。後にも出てきますが、ロシア等他の軍事大国とも協働し、ISIS殲滅のための施策をどんどん実施するはずです。

それをするため、もともと軍に所属していた強硬派の軍人たちを政権に参加させたりしていますしね。次期国土安全保障長官ジョン・ケリー氏は海兵隊退役大将ですし、次期国防長官のジェームズ・マティス氏は元海兵隊中央軍司令官です。

★参考記事

公約37:ロシアとの協力(特にISIS関連)

Amidst rumors of the Trump's campaign connections to Russia, Trump has suggested an alliance with Russia to defeat ISIS.

ISIS殲滅を契機に、ロシアとの関係を一気に改善しようともしています。トランプ氏はプーチン氏が好きなようですしね。

ロシアとの結びつきに関して、トランプ氏はISISを殲滅するためにロシアと同盟を組むことを提案している。

www.bbc.com

ロシア政府が米国による外交官追放への報復措置をただちにはとらないと表明したことについて、ドナルド・トランプ次期米大統領はツイッターで30日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を称賛した。

トランプ氏は「(プーチン氏が)先送りを決めたのは非常に賢明だ。頭がいい人だとずっと思ってた」とツイートした。 プーチン氏のこの声明の前には、トランプ氏は「最新状況の事実関係」について報告を受けるため、来週にも米政府の複数の情報機関の幹部たちと会談する予定だと話していた。

「強烈なリーダーシップ」という意味で、トランプ氏とプーチン大統領は相通ずるところがあるのかもしれません。何はともあれ、一食触発状態であるよりはだいぶマシなのではないかと個人的に思います。

ふとした行き違いでアメリカとロシアの核の応酬なんてことになったらまさに世界の終わりですからね。

公約38:ISIS活動地域でのインターネットシャットダウン

In another effort to fight ISIS, Trump has promised to try to shut down internet service in areas of the world occupied by ISIS.

これもまた斬新な政策ですね。ISISの影響力が強い地域でのインターネットシャットダウンを試みるようです。

ISISと戦うために、トランプはISISの占領地域でインターネットをシャットダウンしようとしている。

一見非現実的に見えますが、意外と効果的かもしれないという意見もまたあります。

www.huffingtonpost.jp

こうして見ると、このトランプ氏の発言は一考に値すると思える。ISISがインターネットを上手く使って共感者を集め、メンバーだけでなく資金も集めているのは事実であり、問題意識としては多くの人が抱いているものと共通しているからだ。

米国でも今月ホームグロウン型のテロが起こった。ISISなどのテロ組織に直接所属する個人は治安・情報機関から常にマークされ事前に摘発もしやすい。一方、その国で生まれ、その国の国籍を有する若者たちがテロリストになるというホームグロウン型の場合、摘発は困難である。テロ組織はネット上で積極的に情報を発信し、若者に過激思想を植え付けていく。今、欧米諸国ではこのホームグロウン型テロの対策に頭を抱えている。こうした問題意識からトランプ氏は"インターネットの一部を閉鎖すべき"だと発言した訳だ。

公約39:アフガニスタンでの米軍維持

Trump has also said he would keep U.S. troops on the ground in Afghanistan even though he acknowledged the war was a "mistake."

アフガニスタンでの米軍展開は引き続き続けるとトランプ氏は主張しています。

トランプ氏は、戦争が「間違い」であったとしても、アフガニスタンで米軍を展開し続けると述べた。

アフガニスタン大統領も、これについては好意的なようです。

www.news24.jp

アフガニスタンのガニ大統領は、トランプ氏の勝利を祝福する声明を発表した。声明でガニ大統領は「アメリカはアフガニスタンの対テロ戦略において欠くことの出来ない重要なパートナーであり、アフガン政府として2国の関係がさらに広がることを願う」とした。

今後の政策を注視したい

これらはトランプ氏の現時点の考えであり、実際の政策がどうなるかはわかりません。ただ、盲目的に批判するのではなく、トランプ氏が何を主張しているのか、具体的に何をやるのか、理解したうえで批判すべきだとぼくは考えています。

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