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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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アレッポ虐殺の現状と、虐殺にいたるまでの過程をまとめてみた

社会

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こんにちは、Shin(@Speedque01)です。2016年12月15日現在、シリアのアレッポで未曾有の虐殺が行われようとしています。

Twitterでは、現在もアレッポにいる人たちの悲痛なメッセージが流れています。

私の名前はBanaです。7歳です。現在アレッポから世界に話しかけています。生きるか死ぬかの瀬戸際に立っています。

もう夜だが、戦闘機はまだ私たちの上を飛び回り、クラスター爆弾を無作為に落としていく。

多くの死体と怪我人。誰も生きては帰れない。 

いったい、アレッポの地で何が起きているのでしょうか。そして、それはなぜ起こってしまったのでしょうか。

立命館大学の末近教授の下記の記事を引用しながら、事態を理解してみようと思います。

gendai.ismedia.jp

2011年:シリア政府に抗議する民主化運動が発端

現在の状況は、シリア政府への国民による民主化運動が発端だったとのこと。

現在のアサド政権の成立は、1970~71年に起こったクーデタにまでさかのぼる。2000年に「先代」ハーフィズの後を襲うかたちで次男のバッシャールが大統領に就任し、実に40年以上にわたってアサド一家による独裁政治が続いていた。市民の不満は、軍や治安部隊、秘密警察によって監視・抑圧されていた。

こうしたなか、2011年3月、「アラブの春」がシリアにも飛び火した。チュニジアとエジプトでの政変を受けて、シリアでもアサド政権に対して市民が政治改革を要求する声を上げたのである。

これに対して、アサド政権は憲法改正など一定の政治改革を行うこと市民の声に応えようとした。しかし、市民による民主化運動が全国規模へと拡大していくなかで、軍・治安部隊を用いてこれを激しく弾圧した。

弾圧を受けた民主化運動のなかから、やがて武器を取る者が現れるようになった。革命闘争の開始である。これを象徴したのが、2011年9月の「自由シリア軍」の結成であり、その後も各地で無数の武装組織が生まれていった。

シリアは現大統領であるアサド氏の一族が独裁を敷いている国であり、なんと40年以上にも渡ってその政権が維持されていたとのこと。さらに、どちらかというと「圧政」に近しいものであったようです。

「軍や治安部隊、秘密警察による監視・抑圧」というのは、第二次世界大戦時代の日本やドイツを彷彿とさせますが、これらがアサド一族の強権のもと、なされていたということでしょう。

2011年3月に「アラブの春(アラブ世界での大規模反政府デモ。2010年のチュニジアのジャスミン革命が発端)」が起こったことにより、シリアでも民主化運動への機運が高まります。

その動きが本格化し、アサド政権に対抗する反政府組織が活動を開始します。

2011年:3つのプレイヤーによる反政府組織支援

いくら民主化への機運が高まったからといっても、普通に考えたら強大な軍事力を有している政府側が、反政府組織を圧倒するというのがシナリオです。しかし、そうはならなかった。

それは、反政府組織を支援する3つのプレイヤーがいたからである、と末近教授は語ります。

なぜ、反体制諸派は政権軍と対峙し続けられたのか。それは、次の3つのプレイヤーが、シリア国外から武器や資金を提供したからであった。

第1に、米国、欧州連合、トルコ、サウジアラビアなどの湾岸産油国である。これらの諸国は、独裁者であるアサド大統領の退陣を求め、反体制諸派をシリアの「正式な代表」として政治的・軍事的に支持した。

第2に、シリア国外で活動してきた反体制派の諸組織である。彼らは、アサド政権の反体制派に対する弾圧や取り締まりを逃れて、数十年にわたって欧州や中東の各国で細々と活動してきた。「アラブの春」は、祖国への帰還と政権奪取のための千載一遇のチャンスであり、国内で蜂起した反体制諸派を支援した。

第3に、過激なイスラーム主義者である。彼らは、独裁政治と社会の「脱イスラーム化」を行ってきた「不義の体制」であるアサド政権を打倒するために、世界中からシリア国内の反体制諸派に合流していった。

この3つのプレイヤーはそれぞれ異なる背景やイデオロギーを有しながらも、「アサド政権の打倒」で奇妙な一致を見せ、シリア国内の反体制諸派の勢力拡大を後押ししたのである。

これは、一見しただけでもだいぶやばそうな布陣ですね・・・。 

もともとは民主化を求めて圧政に対抗した反政府組織ですが、アサド政権を快く思わない3つのグループが、反政府組織を支援するようになってしまった。しかも、どこもまったく思想を異とするグループ。

アメリカやEUのようないわゆる西側諸国、シリア国外でずっと活動してきた革命家たち、脱イスラーム化に強く反対する過激なイスラーム主義者・・・。

特に、アメリカやEUと過激なイスラーム主義者が手と手を取り合えるわけはないですよね。完全に反対のイデオロギーを有しているグループです。

ともあれ、3グループが反政府組織を支援した結果、反政府組織は強力になり、アサド政権は簡単には彼らをつぶすことができなくなりました。

2014年:イスラム国(IS)の台頭

そして内戦が泥沼化していく中、国際社会を騒がしているイスラム国までもがこの状況に参入してきます。

長期化する「内戦」で消耗したアサド政権と反体制諸派の間の「漁夫の利」を得るかたちで急速に台頭したのが、「イスラーム国(IS)」であった。

「内戦」による混乱と破壊は、シリアをいわゆる破綻国家の淵へと追いやっていった。中央政府による統治や国民としての一体感が失われていくなかで、国内外から参戦した過激なイスラーム主義者たちの存在感が増していった。当初は「助っ人」であったはずの彼らは、反体制諸派の戦闘能力や組織規模を徐々に凌駕するようになった。

そして、その一部の組織が、破綻国家となったシリアの領土の一部を実効支配するようになり、2014年6月、同国北東部の街ラッカを「首都」とする「国家」の建国を宣言したのである。 

もともと「イラクのアルカイダ」として誕生したイスラム国。「イラク・イスラム国」や「カリフ制イスラム国家」の樹立など、一時期急速に勢力を伸ばしました。

しかし、世界各国からの攻撃や経済制裁により一時期は弱体化。次なる寄生先を探していました。

そして、その矛先が向いたのがシリアだったのです。

もともとは民主主義を求める抗議運動だったのが、西欧諸国やISまで含めたカオスなプレイヤーによる代理戦争の色を呈してきたシリア内戦。これが2014年までの話です。

2015年:ロシアによる大規模軍事介入

しかし、まだまだ終わりません。なんとロシアまでもがシリアに大規模な軍事介入を開始します。

ここまで見てきたように、シリア「内戦」は軍事的にも政治的にも膠着が続いてきたが、2015年9月末、それを破るゲームチェンジャーが現れた。ロシアが、アサド政権の正式要請を受けるかたちで、シリアへの大規模な軍事介入を開始したのである。

軍事介入は「対テロ戦争」の名目で進められ、ターゲットはISやアル=カーイダ系のヌスラ戦線に限定するとされた。しかし、実際には、欧米諸国が支援してきた反体制諸派の拠点も空爆の対象にされ、ロシア軍の圧倒的な火力による航空支援を受けたアサド政権の部隊は「失地」を次々に回復していった。

これに対して、欧米諸国をはじめとする反体制諸派の支援国は打つ手を欠き、ロシアの行動を事実上黙認した。 

アサド政権がロシアに正式な支援要請を出し、ロシアはそれを受けて大規模な軍事介入を実施。ロシアは「対テロ戦争」という名目を掲げているものの、欧米諸国の息がかかった反体制派も含めて一気に空爆。

そして、ロシアの後押しを得たアサド政権がどんどん勢力を回復、反体制派の支援国はロシアとアサド政権の軍事行動を黙認しているという流れになります。

まさに、現在の世界のメインプレイヤーが一同にシリアに介しており、もはや「内戦」といえるレベルではなくなってしまっています。

2011年から現在まで、世界中を巻き込んだこの騒乱のことを「シリア騒乱」と呼ぶのです。

アレッポでの戦闘がシリア騒乱で最悪のもの

ここまでの理解を元に、アレッポについて解説します。

アレッポはシリア最大の都市であり、ここを支配したほうがこの騒乱の勝者となるといっても過言ではありません。

シリア北部のアレッポ県に属する都市アレッポは、シリア最大の都市でもある。大統領バッシャール・アル=アサド率いるシリア政府軍と自由シリア軍やアル=ヌスラ戦線(アルカイダ系)を中心とする反体制派の間でアレッポの支配をめぐり戦闘が行われている。

アレッポの戦いの行方はシリア騒乱の趨勢を決すると思われているため、ここでの戦闘はシリアで最も激しいものとなっている。激しい戦闘の結果、深刻な人道危機が発生し、市民にも多くの犠牲が生じている。

アレッポ - Wikipedia

ここには反体制派が巣くっていましたが、アサド政権とロシア軍の激しい攻撃により、反体制派は白旗を上げました。

headlines.yahoo.co.jp

内戦が続くシリアの激戦地アレッポから、反体制派が完全に撤退することでアサド政権側と合意しました。これにより、政権軍は最大の都市アレッポを完全に制圧することになります。

2012年に反体制派がアレッポ東部に支配地域を確立して以降、政権軍との間で激しい戦闘が続いてきましたが、反体制派の事実上の降伏で政権軍がアレッポを完全に制圧することになります。 

反体制派が撤退するということは、政権軍にはアレッポを攻撃する理由はなくなります。やっとアレッポにいる民間人も一息つけるはず。よかった。

しかし、そのような甘い予測は裏切られることとなります。アレッポの撤退合意は履行されず、虐殺が始まっている、とニュースは伝えています。

www.afpbb.com

ロシア軍とシリア政府軍の戦闘機は、アレッポの包囲地区へ波状攻撃を行い、密集し崩れ落ちる民間住宅の中で多くの犠牲者が出ている。同地区への攻撃では初めてとなる武器も使用。一連の空爆では地中貫通爆弾(バンカーバスター)と呼ばれる爆弾が19回、クラスター爆弾および白リン弾も約200回使われた。バンカーバスターを使用すると、犠牲者の遺体はがれきの中に埋もれてしまうという。

サレハ氏は「死者と負傷者を合わせると1000人に上る」と訴えている。同氏が主張する犠牲者数を確認することは不可能だが、各国際団体は空爆を非難しており、国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は戦争犯罪にあたる恐れがあると述べている。

www.afpbb.com

シリア第2の都市アレッポ(Aleppo)東部で14日、激しい戦闘が勃発し、反体制派支配地域から市民と戦闘員を避難させるとした合意が履行されないままとなっている。

アレッポから反体制派が撤退するとの合意が前日夜に発表された後、同市では家族を連れた人々が市内からの脱出を期待して、14日の早朝から集合していた。だが、現地時間の午前5時(日本時間同日正午)に予定されていた第1陣の出発が延期されると、数時間後には激しい戦闘が再び始まった。

数年にわたる戦闘の後、反体制派の抵抗に終止符を打つはずだった画期的な合意の行方は、政権と反体制派、さらにそれぞれの同盟勢力が非難合戦を繰り広げる中、不透明さを増している。

せっかく撤退合意ができたと思ったのに、残念ながらそれが履行されることはなかったのです。結局、ロシアおよび政権軍がアレッポを包囲し、断続的に攻撃を続けています。

その攻撃が、「反体制派の武装組織」と「民間人」を分けて行われているとは考えられません。おそらく、「味方以外は殺せ」というような指令が出ているのではないでしょうか。

そこで巻き添えを食ってしまっている民間人の悲痛な叫びが、Twitterにより全世界に届けられているのです。

これが、シリアの難民が彼らの故郷に帰れない理由だ。

親愛なる世界のみなさま。今、激しい爆撃が行われています。なぜあなたは何も言ってくれないのですか?どうして? どうして? どうして?

恐怖が、私と私の子供たちを、今まさに殺しています。

2016年12月16日のニュースでは、民間人と戦闘員合わせて数千人が退避したと言われています。しかし、それでもまだアレッポには約5万人いるのです。そして、そのほとんどが民間人なのです。

www.afpbb.com

シリア内戦で激戦地となっていた北部アレッポ(Aleppo)では15日、政府軍との合意に基づき、東部の反体制派地域から民間人と戦闘員ら数千人が退避した。しかし、国連(UN)特使と仏外務省によると、いまだ約5万人が東部に取り残され、その多くは民間人だという。

国連のスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)シリア問題担当特使は15日、フランス・パリ(Paris)でジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)仏外相と共に記者会見し「不幸なことに、まだ5万人が(アレッポ東部に)とどまっており、このうち4万人は民間人だ。残りは戦闘員1500~5000人とその家族だ」と述べた。

そして、2016年12月17、残念ながらアレッポからの避難は白紙に戻ってしまいました。

www.cnn.co.jp

シリア政府軍がほぼ全域を制圧した同国北部アレッポをめぐる情勢で、国際赤十字委員会(ICRC)は16日、同市東部の反体制派が残る地区からの数千人の避難が停止したと発表した。

赤十字やシリア赤新月社のスタッフ、世界保健機関(WHO)の関係者はアレッポ東部から立ち去るよう指示を受けた。

ICRCの中東担当報道官はCNNの取材に、「避難は停止された」と指摘。「避難を前進させられるよう関係勢力が合意に達することを望んでいる」と述べた。
国営シリア・アラブ通信(SANA)によれば、武装組織「ヌスラ戦線」がアレッポにとどまる民間人1250人の脱出を阻止したという。

そこにいればただ殺されるだけとわかっていながら、避難もできないというのはまさに悲劇です。この状況に、国連事務総長も「地獄」という強い言葉で懸念を表明しています。

国連の潘基文(パンギムン)事務総長も「シリアの大虐殺は世界の良心に空いた穴だ」「アレッポは地獄と同義語だ」と述べ、避難の再開を求めた。

一刻でも早く避難が再開され、民間人の犠牲が少なくなるよう、祈るばかりですね。

虐殺はすぐにでも止められるべきであるとぼくは考えています。どのような経済的・思想的・宗教的背景があったとしても、無実の民間人の大量虐殺は防がれるべきです。

ただ、ロシアとシリア政府のみに非を求めるのもまたおかしな話であることも事実。中途半端に反政府組織を支援してきた西洋諸国にもこの問題を複雑化させた責任があります。

toyokeizai.net

シリア内戦への西側の中途半端な対応は、まったくもって失敗だった。反政府勢力を支援はしたものの、シリアとロシアに勝つには不十分なものにとどめた米国や英国などの罪は重いと言わざるを得ない。

中東をめぐる構図も書き換えられた。アサド政権は内戦の初期段階ではイランに大きく依存していたが、ここ2年間はロシアに頼りきっている。

自国の利益を考え、アサド政権を倒そうとする組織を中途半端に支援し、ロシアが大規模介入を始めても沈黙を貫いてきた、というのはいかがなものでしょうか。

ロシアやシリア政府の虐殺はすぐにでも止めなければならないと思いますが、それで終わる問題ではありません。自国外への支援について、各大国も今までの行動を振り返り、シリアの地に平和を取り戻す方策を考える必要があります。

2016年12月20日、アレッポから1万7000人以上の市民が避難したというニュースが入ってきました。

www3.nhk.or.jp

赤十字国際委員会によりますと、15日からこれまでに、取り残されていた数万人のうち、合わせて1万7000人以上がアレッポの外に出たということで、これまでのところ、政権側と反政府側の間の大きなトラブルは報告されていません。赤十字国際委員会では、撤退が完了するのにどのくらいかかるかはわからないとしています。

避難が本格的に再開されたのはとても喜ばしいことですね。このまま避難が何事もなく続けばいいな・・・と思います。まだまだ数万人民間人は残されていますから、可及的速やかに避難を完了させなければ、さらに虐殺が起こってしまう可能性はあります。

6カ国首脳による即時停戦の共同声明。しかしそこに日本はいない

2016年12月7日には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの6カ国による、アレッポ即時停戦の共同声明が出ています。また、国連安保理でも停戦決議案が採択されていますが、中国とロシアが拒否権を発動しています。

mainichi.jp

米英仏独伊とカナダの6カ国首脳は7日、激戦が続くシリア北部のアレッポ情勢について、人道支援のために即時停戦を求めるとともに、外交努力により平和的な解決を望むとする共同声明を発表した。

アレッポの停戦をめぐっては、国連安全保障理事会が5日、停戦決議案を採決したが、ロシアと中国が拒否権を行使して否決されており、国連安保理が機能しない状況が続いている。

なお、この共同声明の提唱国には日本はいません。2016年12月15日のプーチン大統領の来日および安倍首相との会談を意識したものなのか、はたまたほかの理由があるのか。

www.sankei.com

安倍首相とプーチン大統領の会談の中で、このアレッポに関する議題も出たようです。

www.newsweekjapan.jp

このほか両首脳は、情勢が悪化するシリアについて議論した。安倍首相は、ロシアが支持するアサド政権の政府軍がアレッポに進攻したことに言及。「人道状況のさらなる悪化を強く懸念している」と伝え、ロシアに建設的な対応を強く求めた。

どこまで意味のあるものかはわかりませんが、何もなしでスルーされるよりはマシ、といった感じでしょうか。

新たな停戦合意・・・しかし、アレッポの病院は大量虐殺状態

こんなニュースもありました。新たに停戦合意がなされ、2016年12月15日から市民が避難を開始できるとのこと。そして、アレッポの病院はそこかしこに遺体が転がっており、医者もさじを投げてしまっているとのことです。

www.cnn.co.jp

国境なき医師団によると、アレッポにいる医師たちは「恐怖に駆られ、希望を失いつつある」という。

CNNの取材に応じたアレッポの住民は、病院の状況について「まるで大量虐殺現場。至る所に遺体がある。負傷者はあまりに多く、医師たちももう対応し切れなくなった。医薬品などの供給も底を突いた」と語った。

目を覆いたくなるような惨状ですが、新たな停戦合意により、無実の人たちが虐殺されることがこれ以上ないことを願うばかりです。

このような極限状態で医療に当たっている医者はすごいな・・・と改めて感じます。自分たちも生きるか死ぬかの瀬戸際なのに、運び込まれてくる重傷の人たちの処置を日夜続けているというのは、本当に尊敬できます。

フランスではエッフェル塔を消灯、抗議活動も

フランスの首都パリでは、この状況に抗議するため、エッフェル塔を消灯しているとのことです。

www.afpbb.com

エッフェル塔は午後8時(日本時間15日午前4時)に消灯された。アレッポでは前日に反体制派支配地域から市民と戦闘員を避難させるとした合意が発表されたにもかかわらず、14日にも激しい戦闘が行われた。

アンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長はエッフェル塔の消灯について、アレッポで暮らす市民の「耐え難い」境遇に対する抗議と説明した。

このように、先進各国でも現在のアレッポの状況に対する抗議活動が激しくなってきています。

日本ではあまり報道されていないように感じますが、なぜでしょうか・・・。芸能人の麻薬問題や不倫問題、プレミアムフライデーもいいですが、このような問題こそ大きく取り上げられるべきだとぼくは考えています。

トルコではロシア大使が射殺

2016年12月19日、トルコの首都アンカラにて、さらに事態を混迷に叩き落すかもしれない事件が起こってしまいました。トルコの警官が、ロシア大使を射殺したのです。

headlines.yahoo.co.jp

トルコの首都アンカラ(Ankara)で開かれていた展覧会の会場で19日、ロシアのアンドレイ・カルロフ(Andrei Karlov)駐トルコ大使が警察官の男に撃たれ、死亡した。男は「アレッポ(Aleppo)」や「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」などと叫んでいたとされ、ロシア政府は事件を「テロ」と断定した。

トルコ当局は容疑者を「無力化」したと伝えられていますが、ロシアからしてみたらたまったものではありません。自国の大使が、赴任先の国の首都で射殺された・・・というのは、「はいそうですか」で流せる問題ではないでしょう。

報復の連鎖が始まってしまったように思えます。

人間には虐殺の本能が備わっているのか

この虐殺事件の経過を見ていると、どうしても伊藤計劃氏のSF小説『虐殺器官』を思い出さざるを得ません。

【参考】伊藤計劃「虐殺器官」感想。人間に備わる「虐殺のための器官」の正体とは。(ネタバレ有) - Outward Matrix

ぼくは、虐殺器官が完全なるフィクションだとは思えません。

ナチスのユダヤ人大虐殺、ルワンダでのツチ族大虐殺、アメリカによる日本への原爆投下・・・これらの歴史的な事件を見ていると、人間には「虐殺」をすることができるなんらかのシステムが備わっているように思えてならないのです。

「自分には関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、上記であげたような虐殺を敢行した人たちも、そもそもは「普通の人」だったかもしれません。家族や友人を愛し、平和を望む心優しい人たちだったのかもしれません。

彼らを「狂人」「虐殺者」と非難することは簡単です。しかし、本当にそうだったのでしょうか。彼らは、ぼくらとは違う異常な人たちだったのでしょうか。

それよりも、伊藤計劃氏が述べるように、すべての人に「虐殺器官」があり、何らかの方法でそれを活性化する術がある、というほうがぼくには納得できます。

もし本当にぼくたちに虐殺器官が備わっていて、ジョン・ポールが虐殺の文法を全世界にばら撒いたら、そのときこそ「虐殺器官」がノンフィクションとなるのでしょう。

果たしてこの騒乱はアレッポのみでとどまるものなのでしょうか。それともこれを発端とし、全世界に"虐殺の文法"がばら撒かれてしまうのでしょうか。

一刻も早い平和的解決を望んでいます。

★次はこの記事をどうぞ