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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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知的生産の5ステップとは。名著「イシューからはじめよ」を紹介する

おススメ本

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★厳選オススメ記事!

こんにちは、Shin(@Speedque01)です。コンサルタントが口をそろえてオススメする本の一つが、元マッキンゼーの安宅氏が書かれた「イシューからはじめよ」です。

こちらですね。

この本は、コンサルタントのみならず、頭を使う仕事に従事している人ならば必読です。長時間考えても全然成果が出ない人と、さくさくクオリティの高いものを作り続ける人の差がとてもわかりやすく書いてあります。

まず、全然成果が出ない人の仕事の進め方について引用してみましょう。

まず、何も考えずにビジネスや研究を行うとどうなるのかを考えてみよう。

月曜日から金曜日までの5日間で、あるテーマについてまとめる必要があるとする。すると、よくこんなことが起こらないだろうか?

  • 月曜・・・やり方がわからずに途方にくれる
  • 火曜・・・ まだ途方にくれている
  • 水曜・・・ひとまず役立ちそうな情報・資料をかき集める
  • 木曜・・・引き続きかき集める
  • 金曜・・・山のような資料に埋もれ、再び途方にくれる

途方にくれすぎワロタ。でも気持ちはわかります。

ぼくも入社してすぐのときは本当にこんなかんじでした。「これ調べといて」といわれても、何をどのように進めればいいかまったくわからず、時間だけが過ぎ去って結局アウトプットはほぼゼロ、みたいなことが・・・思い出したくない悪夢の記憶。

安宅さんは、本来あるべき知的生産のステップを5つに分けて、非常に丁寧に説明してくれています。下記でひとつずつ解説していきますね。

イシュードリブン:今本当に答えを出すべき問題(イシュー)を見極める

この本のキモ、「イシュー」について徹底的に解説してくれています。この概念は、知的生産に携わる人なら確実に理解しておきたいものですね。

問題はまず「解く」ものだと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを「見極める」ことだ。ただ、これは人間の本能に反したアプローチでもある。詳細がまったくわからない段階で「最終的に何を伝えようとするのか明確に表現せよ」と言われたら、きちんとものを考える人であればあるほど生理的に不愉快になるだろう。

よって、「やっていくうちに見えてくるさ」と成り行きまかせが横行するが、(多くの人が経験しているとおり)これこそがムダが多く非生産的なアプローチだ。

「とりあえずググる」というやり口をとってしまう人に、特に叩き込んでおいて欲しいポイントです。

コンサルティングで取り組まなければならない仕事は、非常にふわふわしたものです。「海外に進出したい」「新規事業創出を進めたい」「M&Aで事業範囲を広げたい」などなど。それをそのまま真に受けてリサーチを始めてしまったら、お金と時間の無駄遣いになってしまいます。クライアントからある程度の内部情報を貰ったら、そこから「本当に解決すべき問題 = イシュー」を特定することからはじめないといけません。

もちろん、問題は大小さまざまなものがあります。しかしながら、それをすべて一つずつ精査し、解決していくリソースはありません。「これがもっともインパクトがある、根源的な問題だ」というところを特定し、チームメンバともクライアントも共有することが大事になってきます。

具体的にどうやってイシューを特定するの?ということに関しても、じっくり書いてありますので、ぜひお読みください。

仮説ドリブン①:イシューを可能な限り細かく砕き、ストーリーの流れを整理する

 「本当に解くべき問題 = イシュー」を特定したら、次はそれを砕き、ストーリーとして整理することが必要になってきます。

多くの場合、イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えを出せるサイズ」にまで分解していく。分解したイシューを「サブイシュー」という。サブイシューを出すことで、部分ごとの仮説が明確になり、最終的に伝えたいメッセージが明確になっていく。

具体例として、市場ニーズの分解方法をあげてくださっています。

  • どのようなセグメントに分かれ、どのような動きがあるか・・・ニーズ視点でのセグメンテーション・セグメントごとの規模と成長度
  • 時代的に留意すべきことはあるか・・・不連続的な変化の有無と内容、ユーザーのスイッチトレンドの有無と内容、国内外先端事例からの気づき
  • 具体的にどの市場ニーズを狙うべきか・・・取り得るオプション、競争視点からの評価・自社の強み、取り組みやすさからの評価

という3つのサブイシューにまで落とし込めば仮説が立てやすくなり、具体的な検討につなげることができる。

仕事のみならず勉強でもそうですが、問題がどうしても解けない場合は、その問題があまりに漠としすぎていることが原因です。いったい何について答えを出さなければいけないのか、そこが明確になっていないと、いつまでたっても頭をひねるだけで答えが出なくなります。

クライアント企業の成長戦略を策定する、といっても何をすればいいのやら全くわかりませんが、こんな感じで砕けばちょっとできそうな気がしてきますよね。

  • 対象の業界をいくつかの切り口からセグメントごとにわける
  • セグメントごとに市場規模と成長率を出す
  • 各セグメントでの、クライアントの強みと弱みを理解する
  • 各セグメントでの最近のトレンドや競合他社の動きを把握する
  • 各セグメントでの、顧客のニーズを把握する
  • 上記を理解したうえで、クライアントが注力すべきセグメントを特定する
  • 注力すべきセグメントで、どのようなサービス・製品に注力し、どの地域で、どうやって展開するのか明確にする

そうやってイシューをうまく砕くことができたら、次はそれをストーリーとして流れを整理する必要があります。

イシューを分解し、そのサブイシューに個々の仮説が見えれば、自分が最終的に何を言わんとするのかが明確になる。ここまでくればあと一歩だ。

イシュー分析の次のステップは、分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てることだ。分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える。

典型的なストーリーの流れは次のようなものだ。

  1. 必要な問題意識・前提となる知識の共有
  2. カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
  3. それぞれのサブイシューについての検討結果
  4. それらを総合した意味合いの整理

一連のプレゼンテーション、あるいは論文に必要な要素を整理して、流れをもった箇条書きの文章として統合していく。

イシューやサブイシューについての解説をいきなりはじめても、聞く側からしたら「?」となってしまいます。

現在陥っている状況とは何か、そしてそこからどうやってイシューを抽出したのか。また、そのイシューをどういう切り口でサブイシューとして分解し、どういう結果が出たのか。最終的にそれらの答えを統合すると、何が取るべき行動なのか。そういう流れで資料にまとめる必要があります。

仮説ドリブン②:ストーリーを検証するために必要なアウトプットのイメージを描き、分析を設計する

首尾よくストーリーラインを作りこめたら、次はアウトプットイメージの明確化に入ります。

イシューが見え、それを検証するためのストーリーラインもできれば、次は分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をデザインしていく。ここでも「分析結果が出ないと考えようがない」とは言わない。

基本はいつでも、「最終的に伝えるべきメッセージ(=イシューの仮説が証明されたもの)」を考えたとき、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、そして相手を納得させられるかと考えることだ。そこから想定されるものをストーリーラインに沿って前倒しで作る。

ぼくは実はこれが結構ニガテです。分析すべきサブイシューが出ていても、それに沿ったアウトプットイメージを描くのに時間が掛かってしまいます。もともと文章を書くのはすきなのですが、絵を描くのが嫌いだからでしょうか・・・なんかいまひとつかっこよくないものになってしまいます。

ちょっとずつできるようにはなってきましたが、まだぼくのスライドはセンスがないですね。上司がさっと作ったものがとてもキレイでわかりやすいと、とっても悔しくなります。コンサルタントとしては必須のスキルなので、ちゃんと磨かないとなー。

アウトプットドリブン:ストーリーの骨格を踏まえつつ、段取りよく検証する

さて、ほぼほぼ終わりが見えてきました。アウトプットをまとめていきましょう。

イシューが見え、ストーリーラインができ、それに合わせて絵コンテができれば、あとはその絵コンテを本物の分析にしていく。ついに実際に走り出す段階だ。

ただ、ここでやみくもに走るとケガをしたり、場合によってはコースアウトで退場(=プロジェクト中断)になってしまう。本章では、この実際の分析なりチャートをまとめていくプロセスにおいて、何に留意すればケガなく無事に走り切れるかをみていきたい。

このステップで何を目指すのかを再度確認しよう。序章の「犬の道」の話に立ち返るが、僕たちがやっているのは「限られた時間で、いかに本当にバリュー(価値)のあるアウトプットを効率的に生み出すか」というゲームだ。どれだけ価値のあるイシュー度の高い活動に絞り込み、そのアウトプットの質をどこまで高めることができるか、それを競うゲームだ。この段階はほかのどのステップよりもスポーツ的だ。正しい心構えとゲームの理解が重要になる。

絵コンテを描き終えたら、本格的なリサーチをして、各サブイシューの根拠となるデータをまとめなければなりません。リサーチには、大きく分けてプライマリーリサーチとセカンダリーリサーチの二種類があります。

プライマリーリサーチとは、本やネットを介して編集されていない実際の情報(一次情報)を集めるためのリサーチ方法です。事前に準備したディスカッションガイドをもとに、電話や対面でのインタビューを実施して情報を収集します。

セカンダリーリサーチとは、すでにネットや本に出ている情報(二次情報)を検索、収集するリサーチ方法のことです。プライマリーリサーチほど価値のある情報はありませんが、手早く大量の情報を集められるという利点があります。

ここでは、今までとは別種のスキルであるリサーチスキルが求められます。

  • どのような情報が必要なのか?
  • それはどうやったら集められるのか?
  • もし想定と違うデータが集まってしまったらどうするのか?

そういうようなことを考え続けながらデータの収集、意味づけをしていきます。理系の大学院生は、こういうやり方に慣れているかもしれませんね。

メッセージドリブン:論拠と構造を磨きつつ、まとめる

さて、ついに最後のステップ、メッセージドリブンにはいっていきます。

まとめの作業にとりかかる前には、「どのような状態になったらこのプロジェクトは終わるのか」という具体的なイメージを描く。単に資料や論文ができればいいわけではない。

ここまで目指してきたのは、価値のあるアウトプットだ。「イシュー度」が高く、「解の質」も高いアウトプットだ。それだけが人の心にインパクトを与え、価値を納得させ、本当に意味のある結果を生み出すことにができる。それがこのメッセージドリブン、つまり最後のステップを終えて私たちが目指す到達点であり、そのために何が必要なのかを再度深く考えたい。 

検討報告の最終的なアウトプットは、ビジネスではプレゼンテーション、研究では論文という形を取ることが多いだろう。これらは第一に聞き手・読み手と自分の知識ギャップを埋めるためにある。聞き終わったとき、あるいは読み終わったときに、受け手が語り手と同じように問題意識を持ち、同じように納得し、同じように興奮してくれているのが理想だ。このためには、受け手に次のようになってもらう必要があるだろう。

  1. 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
  2. 最終的なメッセージを理解してもらう
  3. メッセージに納得して、行動に移してもらう

今まであなたはずっとこの問題に取り組んできていたため、伝えるべきメッセージは自明かもしれません。しかし、プレゼンを聞く役員や研究論文を読む教授は、その問題についてそこまで深い理解があるわけではない。

いくらイシューを特定し、それに対する解の質を上げても、最終的に伝えたいことが伝わらなければ、まったくの無駄足となってしまうのです。この章で紹介されている具体的な磨きこみ方(1チャート1メッセージ、タテとヨコの比較軸を磨く、メッセージと分析表現を揃える)を使い、まっすぐメッセージを投げ込んでいきましょう。

終わりに:自分で経験しよう

安宅氏は、最後にこんなことを仰っています。

「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。あとは、あなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ。」 

知的生産の本質に限らずですが、どのようなことも読んだだけでできるようにはなりません。ぜひ、タフな知的生産の現場に自らを投げ込み、知的生産の5ステップを体得してみてください。

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