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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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仕事って、「最善」を求めて右往左往することだよね

成長

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こんにちは、Shinです。Tips系の記事を書くことにちょっと飽きてきたので、日々の仕事とその中で感じたことをつらつら書いてみます。

今の仕事をざっくりと言うと、「大企業の海外展開戦略を練るお仕事」になります。よく「なんか具体的に何やってるのか良くわからない」「コンサルタントって胡散臭いよね」などなどの感想を友人達からいただいたりします。

ただ、おそらくやっていることは他の会社の人とほとんど変わらないんじゃないかな、とも思うんですよね。ぼくはコンサルティングファームが最初の職場であり、他の会社の働き方を本当の意味で把握できてはいませんが、お客様と関わったり友人の話を聞いたりしていると、「実際あんま変わらないな?」と思ったり。

クライアントに寄り添い、理想を描く

まずやらなくてはいけないのが、クライアントの声を引き出しつつ、理想的な状況を想像することです。

コンサルタントがルーティンワークをすることはほとんどありません。ルーティンワークだったらもっとコストが安いやり方はいくらでもありますからね。コンサルティングワークの場合、最初はかなり漠然とした依頼であることがほとんどです。

海外で売上を上げたい、競合他社に勝つ方法を考えたい、事業範囲を広げるためにM&Aしたい、新規事業がぽんぽん生まれるような土壌を作りたい、などなど・・・。だいぶふわふわしているため、そのまま突撃しても空中分解間違いなしです。

なぜクライアントはそのようなことがしたいのでしょう。もちろん企業のゴールの一つは利益を上げることですから、重要な変数の一つである売上を上げることを目標としていても全然おかしなことではありません。

でも、なぜ海外に展開しないといけないのでしょう。なぜM&Aを仕掛けないといけないのでしょう。なぜ新規事業を立ち上げなければいけないのでしょう。単なる利益のため?だったら他にも取りうる戦術はあるはずでは?

専門知識など何もなくても、そのような疑問はどんどん出てくるはずです。そして、当事者であるクライアントでもそこに答えを持っていない場合が多い。とはいえ、彼らも手をこまねいているわけにはいかない。今までやっていたことを今までどおりやっていたら、すぐに淘汰される。そういう中で、彼らはコンサルタントに戦略立案を依頼するのです。「これから、どうしていけばいいでしょうか」と。

そういうときに、それっぽいソリューションを単純に提供してもうまくいくはずがありません。ビッグデータ、IoT、クラウド、マーケティングオートメーション・・・。もちろん使いようによっては非常に強力な概念/ツールであることは否定しませんが、それらありきでの戦略策定は十中八九失敗します。

クライアントは今までどのようなことをして今の地位を築いてきたのか、利益の源泉は何か、競合他社と比較した場合の強み/弱みはどこか、マクロな政治や経済、規制の状況はどうなっているのか、どのような国に展開しているのか、国ごとに取っている戦略は違うのか、今有しているプロダクト/サービスはどのようなものがあるのか。そういうことを徹底してヒアリングし、分析し、可視化しなければ、どんなソリューションも無力です。

そして、それらの情報を必死に集め、議論を重ねた後にやっと、彼らが理想とするゴールが見えてきます。逆に言うと、そうまでしないと「理想」というものは見えてこないものなのです。情報収集は果てがない、でもそれをやらないとクライアントが真に望んでいるものはけしてわからない。そういう仕事がコンサルティングワークのフェーズ1なのかな、とぼくは感じています。

工数と期間、理想と限界

クライアント自身のStrengthやWeakness、競合他社の分析、マクロな経済や政治の状況、対象市場のビジネスモデル・・・それらを調査、分析し、誰にでもわかるレベルまで落とし込むのは想像を絶するほどに大変です。

Webでの検索はもちろん、有料レポートの購入や独自に実施するインタビュー、知見を持つ人にリーチして詳しく話を聞く等々、そういう泥臭いことをしないとそもそものインプットが集まりません。そして、そうやって情報を集めるにも、その業界特有のフレームワークを自分の頭の中に保持しておく必要があります。そうしないと、情報を見つけてもどんどん零れ落ちていきますし、インタビューを実施する際に相手の話を理解できないということにもなってしまいます。

さらに、ぼくの場合は基本的に「海外」という視点が絡むことがほぼ100%。つまり、母国である日本語ではなく、付け焼刃でなんとかしてきた英語を用いてそのようなリサーチやインタビューをこなしていかなければならないのです。

もちろん、ぼく一人でカバーはできません。海外のコンサルタント達に、クライアントの要望、理想を伝え、それをかなえるためにはどのような調査が必要かすり合わせ、実施してもらう必要があります。

しかし、ここにも落とし穴があるのです。

もしぼくたちに無限の時間があったら、無限の金があったら、無限の知識があれば、もちろんクライアントの要望を完膚なきまでにかなえることができるでしょう。しかしながら、得てしてコンサルティングプロジェクトに与えられた時間は短く、金は少なく、メンバーの知識ももちろん無限ではない。

それはぼくだけではなく、海外のコンサルタント達にも言えることです。彼らはプロフェッショナルとしてクライアントのために一生懸命働きます。とはいえ、クライアントの要望を全てかなえることができるかというと、答えはNoになります。

コンサルタントは神ではありません。理想的には、どんな手を使ってもクライアントの要望を100%かなえなければなりません。しかしながら、それでもやはりできることとできないことがあります。

クライアントが進出しようとしている市場が分散的市場であった場合、競合の情報を全て手に入れて分析することは不可能といっても過言ではないですし、将来の売上を完璧に予測することもできません。しかも、非常に限られた時間でそれをこなさなければいけないとするとなおさらです。

限られた工数、期間のなかで、いかにクライアントにとって価値のある提案ができるのか。それがプロジェクトマネージャとしての腕の見せ所ではないかなと感じています。

プロジェクトマネジメントに答えはない

そうやって限られたリソースを用いてプロジェクトを運営していくと必ずぶち当たる壁が、「プロジェクトマネジメント」です。

どのように仕事の全体量を定義し、どうやってその進捗を見える化するか。コミュニケーションフローはどうするか、マイルストンはどうするか、クライアントへの報告頻度、会議体はどうするか、そして何よりも、どうすれば全員が気持ちよく働けるか。そういうことを考えて具体的な形に落としていくのがプロジェクトマネジメントです。

ぼくは、内部向けにも外部向けにも報告頻度は高めに設定し、みなが納得して進めるべきという立場を取るタイプです。なので、クライアントへの報告も可能な限り頻繁にしたいと考えていますし、内部向けにも定期的な報告はしてほしい。そうすることでみなプロジェクトの状況についての理解が深まり、幸せに働けるのではないかなと考えていました。

しかし、それはあるときはうまくいくし、あるときはうまくいかない。そして、うまくいかなくなるとどんどん悪いスパイラルにハマります。

ある人は余計な口出しはして欲しくない、なるべくレポートもしたくないようなタイプかもしれませんし、ある人はどんどん上の人からコミュニケーションを取ってもらいたいタイプかもしれない。そういう個々の特性を勘案せずに杓子定規のプロジェクトマネジメントをすると、その方式にあわせられないメンバはいつか爆発します。

特に、文化的な背景を共有していない海外コンサルタントと働くときは特に気をつけなければならない。日本では通常のプロジェクトマネジメント方式でも、海外コンサルタントにとっては完全にマイクロマネジメントと感じられるものかもしれないのです。

彼らはいったいどのような価値観を持って働いているのか、理想の働き方は何なのか、その理想の働き方を今のプロジェクトでどれほど実現できているのか。プロジェクトマネージャとしてプロジェクトを統括するのであれば、そういうことを常に常に考え続けないとなりません。

とはいえ、メンバが多いとそこまでひとりひとりケアすることもできず・・・そういう矛盾ってどうやって解消するんでしょうね。規模が大きくなるにつれ、自分だけでは見切れないことが多くなってきます。そのときは、やはり信頼できる部下にまるっと任せる形になるのかな。

どういう風にすれば理想のプロジェクトマネージができるのか、まだまだ試行錯誤が必要かもしれません。

しつこくしつこく「最善」を求め続ける

仕事って全然うまくいかないです。

いくらクライアントの気持ちを考えても、いくら自分自身の知識やスキルをあげようと頑張っても、どんなに時間をかけて調査分析しても、プロジェクトメンバ全員に気持ちよく働いてもらおうと思っても、うまくいかないです。

もしかしたら世の中の大半の人はもっと仕事をうまく回せているのかもしれませんが、ぼくは残念ながらその域まで達することはできていません。

クライアントの要望にびしっとヒットするような提案や示唆を出せる確率はまだまだ低いですし、英語やオフィス、思考力やプレゼンテーション等の当然持つべき基礎スキルのレベルも全然ダメ。プロジェクトマネージをうまくできるようになるのはいつのことか。

でも、そこであきらめてはダメなのです。

うまくいかなかったのであれば、いったいどんな要素が足りなくてうまくいかなかったのか考え、解決策をひねり出し、次回の糧とする。どんなときでも最善を求め、体力・精神力・思考力の続く限り改善を試みる。その繰り返しが仕事ではないでしょうか。

経験もなく、知識もなく、スキルもない。それは厳然たる事実かもしれません。でも、だからといってそれがあきらめる理由にはならないのではないですか。何もなくても、「どうすればうまくいくんだろう」と考え、うまくいかせるために全身全霊を賭け、行動する。その繰り返しが大事なのではないでしょうか。

そうしていくうちに、いつの日かふと、何者かになれるかもしれません。多くの人を助けることができるかもしれません。

その日が来るまで、ぼくは頑張ってみようと思います。