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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

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これこそハードワークの醍醐味!「なれる!SE」1巻をガチでレビューするよ

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こんにちは、Shinです。この世にライトノベルは数あれど、「なれる!SE」ほどリアルで面白くて勉強になるラノベをぼくは知りません。ということで、本日は第一巻をレビューします。

と、その前に、「そもそもどんなラノベなんだよ」というところを簡単に解説します。ストーリーの概要はこんなかんじ。

厳しい就職活動を乗り越え、偶然目に留まった求人広告に魅かれシステム開発会社のスルガシステムに就職が決まった桜坂工兵。期待や不安が入り混じる中、入社した彼を待っていたのは、説明とはまったく異なる実態と、あまりに過酷な会社の業務環境だった。中学生の少女にしか見えないが凄腕のSEである室見立華の下でOJTを受けることになった工兵は厳しく指導される中、システムエンジニアとしての第一歩を踏み出すことになる。

入社早々のトラブルを乗り切った工兵は以降新卒1年目とは思えない働きぶりを見せる。大手企業のDRサイト構築、出版社の移転プロジェクトの完遂、客先の常駐業務、新サービスの開発、管理職業務の担当など幅広い業務をこなし貪欲に働いた工兵は新卒2年目を迎え、新入社員の教育を担当する。(Wikipediaより)

簡単に言うと、どこにでもいそうな私大文系卒の桜坂工兵くんが、可哀想にドブラックベンチャーSIerに入社してしまい、周りのかわいい女性たちに翻弄されつつ必死に仕事を頑張っていく成長譚です。

話自体はメチャクチャリアル。その中で語られる仕事の進め方やマネジメント、クライアントフェーシングやプロフェッショナルの覚悟等々、ハンパなく勉強になります。リアルじゃないのは可愛い女の子がいることぐらい。リアルな場で可愛い女の子がいることはほとんどなく、百戦錬磨のオジサマたちが大半ですからね・・・。

アマゾンの紹介文はこちら。

平凡な社会人一年生、桜坂工兵は過酷な就職活動を経て、とあるシステム開発会社に就職する。そんな彼の教育係についた室見立華は、どう見ても十代にしか見えないスーパーワーカホリック娘で!?

多忙かつまったく優しくない彼女のもと、時に厳しく指導され、時に放置プレイされながら奮闘する工兵。さらには、現場を無視して仕事を取ってくる社長のおかげで、いきなり仕事を担当させられることになり!? 

SEの過酷な実態を萌えかつコミカルに描くスラップスティック・ストーリー登場!

ではでは、レビューしていきましょう。

まずは就職活動からスタート

ストーリーは、工兵くんが就職活動に苦労しているところから始まります。この就職活動もなかなかリアル。

大学三年生の二月、初めての採用面接が不合格に終わった時、工兵の感想は「バイトの面接と随分雰囲気が違うもんだなぁ」という暢気なものだった。

三月になり不合格の数が十を超えると、初めて「これは何か対策を立てたほうがよいのかも」と思い始めた。

四月になり一次採用が終盤を迎えると、携帯の圏外が怖くなり始めた。電波の届かないところに移動した瞬間、採用担当から電話があったら。電話が通じないことで面接予定者のリストから外されたら。

- そう思うと、携帯を数分おきに確認しないと安心できなくなった。 

むちゃくちゃあるあるですね。携帯をずっと見ていた大学生時代を思い出します。

そんな感じで焦りだす工兵くんですが、内定は相変わらずゼロのまま。そんなときに、「スルガシステム」という会社のサイトを見つけます。

スルガシステムの求人広告は独特だった。

求める人材像やキャリアパスの説明はほとんどなく、Yさんという新米エンジニアの日常が淡々と書きつづられていた。

Yさんは文系出身でコンピュータに関して素人同然だった。

慣れない業界で基礎となる知識もない。だが顧客にはスルガシステムのエンジニアとして一人前の働きを期待される。

挫折と再起、挑戦と失敗。

何度となく「もうやっていけないのでは」と思い、その都度先輩社員に励まされ立ち上がっていく。そしてついに大規模プロジェクトをやりとげ、顧客から感謝の言葉を勝ち取るのだ。

『ありがとうYさん、あなたのおかげで当社の新システムは無事稼動(カットオーバー)しました』

ー。

最後まで読み終わった瞬間、工兵は不覚にも涙していた。

実は、後ほどこの場面はネタ扱いされてしまうのですが、ここは非常に大事なポイントだと思っています。

いろんな人の経験を本で読み、話を聞き、さらにいえば実際にインターンで働いてみて、五感でその会社のことを腹の底から理解すること。さらに、そこでどうしても働きたいという気持ちを自分の中に持つこと。それがまず何を差し置いても就職活動でやるべきことではないでしょうか。

会社を理解するのに一番いいのは長期インターンですかね。下記参考になると思います。

www.outward-matrix.com

そんなこんなでスルガシステムに就職した工兵くん。地獄のハジマリです。

無茶振り?プロフェッショナル?

直上の上司が「室見立夏」という、女子中学生か女子高生にしか見えない可愛い女の子。ちなみにドSでワーカホリック。部下への仕事は基本ムチャ振り。

「既存機器のコンフィグは取得済みでネットワーク図はこれ。新しく入れる機器はCiscoのアクセスルータ。現状の構成を見た限り大してややこしいことしてないから、機能的には十分なはず。そうね、NATの記述方式が大分違うからそこだけ気をつけて」

「NAT・・・?」

「アドレスの変換規則。細かい用語はネットで調べて。いちいち説明するのも面倒だし。ま、いきなり実機渡されても使えないだろうし、とりあえず机上で一からコンフィグ作ってみて。イニシャルのコンフィグをテキストにはりつけとくから、それをローカルで編集する感じで」

室見の指がウィンドウを切替えメモ帳に文字列を張りつける。瞬く間に大量のアルファベットがウィンドウを埋め尽くした。室見は「はい」とノートPCを差し出した。

「はい?」

「準備完了、作業にとりかかって」

インターンへの対応がどうだとかブラックがどうだとかいろいろうるさい昨今ですが、その生ぬるい空気を切り裂くこのムチャ振りっぷり、最高です。

思い出して欲しいのですが、工兵くんは私大文系卒で、PCなんかネットサーフィンにしか使ったことがないレベル。「コンフィグ?なにそれおいしいの???」ぐらいの知識しかないのです。いきなりコンフィグやらNATやらアクセスルータやらいわれても、何がなにやら。

「こんなんできるか!」とブチ切れた工兵くんへの、室見さんのプロフェッショナリズム溢れる一言に痺れるんですよね。

無茶な納期も経験のない業務を振られるのも、この業界じゃ日常茶飯事。そういうものが出た時に、やれ終電だ、やれ教育を受けてないって言い訳する人間を、仕事仲間と認められないって言ってるのよ。一事が万事。今日逃げた人間は明日も逃げると思われる。そんなことも分からないの?

これこそがプロのあるべき姿です。

「ワークライフバランス」「勉強したい」などといっている人と、ぼくは一緒に働きたいとは思いません。やったことがない仕事でも、どんなにきつい状況下でも、必死に考えて行動してクライアントのためになろうとする、そういう人と一緒に働きたいですし、自分もそうなろうと努力しています。

そういう意味では、スルガシステムは本物のプロフェッショナルの集まり。読んでいるだけで胸が熱くなります。(ブラックですが)

やりきったときの達成感

工兵くんがすごいのはここからです。何がすごいって、彼はやりきるんですよ。

自分にはー基礎となる知識がない。

それはもう嫌となる程思い知らされている。ならば基礎知識がなくてもできるやり方ーサンプルコンフィグの使用や、既存コンフィグの切り貼りでやるしかないと思っていた。だがそれではいつまでたっても室見のOKはもらえない。であればどうする?・・・いや、もう考えるまでもない。そう。

今から基礎を身につける。 

わからないなら、わかるまでやるしかない。当然のことなのですが、この「当然」をしっかりできている人がどれだけいるでしょうか。

20数年生きてきて、学生のようなぬるいことを言って真剣に生きることから逃げる若者、年だけ食って部下に丸投げするような40代課長 ・・・そういう人を見ていると溜息しか出ませんが、工兵くんを見ると一気に気合が入ります。

必死に勉強し、コンフィグを組み上げた彼を、ついに室見さんも認めます。

画面を数字とアルファベットが流れていく。

Reply From-意味は、・・・応答あり。

つな・・・がった?

工兵は喘いだ。

一瞬遅れて、ざわりと鳥肌が立つ。なんともいえない感覚が意識を満たした。背筋がぞくぞくする。うわ、やばい。なんというか、これはー

「気持ちいいでしょ?」

振り向くとすぐ傍に室見の顔があった。瞳に艶っぽい光をたたえ画面を覗き込んでいる。彼女は全てを見透かすような表情で工兵に告げた。

「あんたの作ったネットワークよ」 

ぼくが新卒フリーランスや「好きなように生きていく」的思想に賛同できないのは、ここにあるような経験ができないからなんです。

好きなことしかやらない、自分のできることしかやらない・・・それって「ラク」ではありますが、工兵くんが体験しているような「ぞくぞくする感じ」を味わうことはできません。これは、どう考えてもムリゲーな状況を必死にこなすことでしか味わえないのです。

もちろん、その途上には辛く苦しいことがたくさん。でもそれを乗り越えたときに、何事にも代えがたい高揚感、達成感、快感が押し寄せてくる。ぼくがコンサルタントというアレな仕事をしているのも、この感覚を楽しみたいからかもしれません。

そんなこんなでOJTを苦しみつつもやりきっていく工兵くん。そこに、「絶対失敗できない案件」が、室見さんと工兵くんのもとに依頼されてきて・・・?

後は本編をお読みください。

「仕事のリアル」がビンビンにわかる、最高のラノベ

さて、いかがでしたでしょうか。

ガチなところのみ紹介しましたが、ギャグパートも面白いですし、女の子たちも可愛い素晴らしいラノベです。気晴らしに読みつつも、仕事に対する姿勢やネットワークやプロジェクトマネジメントについての勉強もできるので、コスパとしては最高といえるでしょう。

ホント最高にいいラノベなので、全力で購入を推奨します。